ワクチン接種後の抗体産生について正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
ワクチン接種後の抗体産生について正しいものを問う。同じワクチンを2回接種すると抗原に対する抗体の産生量が増加する、である。
この問題で問われていること
一次応答と二次応答の違いを説明できるか。
しくみから理解する
初めて抗原に曝露されたとき(一次応答)は、抗体が作られ始めるまでに数日から2週間かかり、産生量も少なく、主にIgMが作られる。同じ抗原に再び曝露されると(二次応答)、記憶B細胞が速やかに反応し、より短い時間で、より大量の抗体が、主にIgGとして産生される。加えて、抗体の抗原に対する結合の強さ(親和性)も高まる。ワクチンを複数回接種するのは、この二次応答を利用して、十分な量と質の抗体を作り、また記憶を長く保つためになる。
選択肢ごとの確認
抗原を提示するのは好中球ではなく、樹状細胞、マクロファージ、そしてB細胞といった抗原提示細胞になる。これらが抗原を取り込み、分解して、その断片を主要組織適合抗原とともに細胞の表面に提示し、ヘルパーT細胞に認識させる。好中球は、細菌を貪食して殺す食細胞で、抗原提示の主役ではない。
最初に産生される抗体はIgAではなくIgMになる。IgAは、分泌型として粘膜面と母乳に存在し、粘膜での防御を担う。
血中濃度が最も高くなる抗体はIgMではなくIgGになる。IgGは血中の免疫グロブリンのおよそ7〜8割を占め、二次応答の主体になる。IgMは一次応答で最初に作られるが、量としてはIgGに及ばない。
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混同しやすいポイント
誤肢は、抗原提示細胞の取り違え、そして免疫グロブリンの種類の取り違え(2つ)になる。免疫グロブリンの5種類と、その特徴を正確に持っていれば、すべて判断できる。IgM=最初、5量体、補体。IgG=最多、胎盤を通過、二次応答。IgA=分泌、粘膜、母乳。IgE=アレルギー、寄生虫。IgD=B細胞の表面。
理解を深める
予防接種の免疫学的な基礎を整理する。生ワクチン=弱毒化した病原体を用いる。自然感染に近い形で、体液性免疫と細胞性免疫の両方を誘導する。BCG、麻疹風疹混合、水痘、おたふくかぜは1〜2回の接種で長期の免疫が得られる。接種回数は製剤ごとに定められており、経口生ワクチンであるロタウイルスワクチンには3回接種の製剤もある。妊婦と免疫が低下した人には禁忌になる。不活化ワクチン=病原体を殺したもの、またはその一部を用いる。安全性が高いが、免疫の誘導が弱いため、複数回の接種と、追加接種が必要になる。ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ、ヒブ、肺炎球菌、B型肝炎、日本脳炎、インフルエンザ、ヒトパピローマウイルス。トキソイド=毒素を無毒化したもの。ジフテリア、破傷風。新しい種類=メッセンジャーRNAワクチン、ウイルスベクターワクチン、組換え蛋白ワクチン。接種の間隔=異なる注射生ワクチンどうしは27日以上あける(経口生ワクチンはこの規則の対象外)。同一の製剤を反復して接種する際の間隔は、これとは別に製剤ごとに定められている。それ以外の組み合わせには制限がなく、同時接種もできる。同時接種は、複数のワクチンを1回の受診で接種する方法で、接種の機会を逃さず、免疫を早く獲得できる利点がある。副反応=局所の腫脹と発赤、発熱、そしてまれにアナフィラキシー。接種後30分程度は院内または近くで待機する。血管迷走神経反射(緊張による失神)も、とくに思春期以降で起こりやすいため、坐位または臥位で接種し、しばらく安静にする。
間違えやすい考え方
免疫の仕組みを問う型で、誤肢が細胞と抗体の種類の取り違えである。一次応答と二次応答の違いで切る。
5分で振り返る
①一次応答=初回の曝露。数日〜2週間かかり、産生量は少なく、主にIgM。②二次応答=再曝露。記憶B細胞により、短時間で大量に、主にIgGが産生され、親和性も高まる。③ワクチンを複数回接種するのは、この二次応答を利用するため。④抗原を提示するのは樹状細胞、マクロファージ、B細胞。好中球は食細胞で抗原提示の主役ではない。⑤血中で最も多い抗体はIgG(7〜8割)。⑥IgAは分泌型として粘膜と母乳に存在する。⑦生ワクチンは1〜2回で長期の免疫が得られるものが多いが、接種回数は製剤ごとに定められる(経口のロタウイルスワクチンには3回接種の製剤もある)。不活化ワクチンは複数回と追加接種が必要。異なる注射生ワクチンどうしは27日以上あける(経口生ワクチンは対象外)。
1分チェック
- 同じワクチンを2回接種すると。→ 抗体の産生量が増える(二次応答)。
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