臥床患者の体位変換とボディメカニクスの原則との組合せで正しいのはどれか。
公式正答:1
解説
臥床患者の体位変換とボディメカニクスの原則との組合せで正しいものを問う。仰臥位から側臥位とトルクの原理である。
この問題で問われていること
力学の原理と、実際の動作を対応づけられるか。
しくみから理解する
トルクとは、物体を回転させる力のはたらきを指す。仰臥位から側臥位への体位変換は、身体を長軸まわりに回す動作であり、まさに回転になる。このとき、両膝を立て、両腕を胸の前で組んで身体を小さくまとめると、回転の軸から質量までの距離が短くなり、少ない力で回せる。加えて、膝を倒すことで骨盤が回り、それに続いて体幹と肩が回るという連鎖が生まれる。これらはいずれも、トルクの原理を利用した方法になる。
選択肢ごとの確認
仰臥位から長座位への動作は、摩擦力を利用するものではない。むしろ、摩擦を減らすことが介助を楽にする(スライディングシートの使用など)。この動作では、てこの原理と、患者自身の力を引き出すことが中心になる。
ベッドの片側への水平移動は、力のモーメント(回転の力)ではなく、摩擦を減らし、水平に滑らせる操作になる。スライディングシートを用いる、身体を小さくまとめる、そして介助者が重心を移動させることが要点になる。
ベッドの頭部への水平移動も、てこの第1種の原理を主に用いるものではない。同様に、摩擦を減らして水平に滑らせる操作になる。ベッドをやや頭低位にして重力を利用する方法もとられる。
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混同しやすいポイント
「回転させる動作=トルク」という対応を押さえる。誤肢は、水平移動と起き上がりに、回転や摩擦の原理を当てはめており、動作の性質と合わない。ボディメカニクスの原則を、動作ごとに整理する。回転(体位変換)=身体を小さくまとめ、トルクを利用する。水平移動=摩擦を減らす。起き上がり=てこの原理と、患者の力の利用。移乗=支持基底面を広げ、重心を低くし、対象に近づく。
理解を深める
ボディメカニクスの原則を整理する。①支持基底面を広くとる(足を前後左右に開く)。②重心を低くする(膝を曲げ、腰を落とす)。③重心を近づける(対象に近づく。離れるほど負担が大きくなる)。④大きな筋群を使う(腕だけでなく、下肢と体幹の筋を使う)。⑤身体をねじらない(足の向きを変えて、体全体で向く)。⑥てこの原理を使う(支点、力点、作用点)。⑦対象を小さくまとめる(腕を組み、膝を立てる。摩擦と回転の抵抗が減る)。⑧水平に滑らせる(持ち上げない)。⑨患者の力を引き出す(できることは自分でしてもらう)。⑩摩擦を減らす道具を使う(スライディングシート、スライディングボード、そして移乗用リフト)。看護師の腰痛=介護と看護の現場で最も多い職業性疾病の一つになる。厚生労働省の腰痛予防対策指針では、「人力による人の抱え上げは、原則として行わない」とされ、福祉用具の使用が求められている。つまり、ボディメカニクスは「上手に持ち上げる方法」ではなく、「持ち上げずに済ませる方法」を含めて考えるものになる。腰痛は、看護職の離職の理由にもなるため、個人の技術に頼らず、組織として用具と体制を整えることが必要になる。
間違えやすい考え方
原理の対応を問う型で、誤肢が動作の性質と合わない原理を当てている。回転=トルクで切る。
5分で振り返る
①トルク=物体を回転させる力のはたらき。仰臥位から側臥位は回転の動作になる。②両膝を立て、両腕を胸の前で組んで身体を小さくまとめると、回転の軸から質量までの距離が短くなり、少ない力で回せる。③膝を倒すと骨盤が回り、体幹と肩が続いて回る。④水平移動は摩擦を減らして滑らせる操作(スライディングシート)。⑤ボディメカニクスの原則=支持基底面を広く、重心を低く、対象に近づく、大きな筋群を使う、ねじらない、てこの原理、小さくまとめる、水平に滑らせる、患者の力を引き出す。⑥腰痛は看護職に最も多い職業性疾病の一つ。⑦腰痛予防対策指針では「人力による人の抱え上げは原則として行わない」とされ、福祉用具の使用が求められる。
1分チェック
- 仰臥位から側臥位への体位変換は。→ トルク(回転)の原理を利用する。
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