全介助が必要な臥床患者の口腔ケアで適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
全介助が必要な臥床患者の口腔ケアで適切なものを問う。スポンジブラシは水を含ませた後、絞って使用することである。
この問題で問われていること
誤嚥を防ぐという観点から、方法を選べるか。
しくみから理解する
臥床している患者では、口腔内の水分と汚れが咽頭へ流れ込み、誤嚥する危険がある。スポンジブラシに水を含ませすぎると、口腔内に水がたまり、そのまま気道へ入る。したがって、水を含ませた後、しっかり絞って(滴らない程度に)使用する。加えて、①上体を可能な範囲で挙上する、②顔を横に向ける、③少量ずつ、奥から手前へ拭き取る、④吸引を併用する、⑤汚れたスポンジは、その都度きれいにする(汚れを口腔内に広げない)、という配慮を組み合わせる。
選択肢ごとの確認
頸部を後屈した体位では、気道が直線的に開き、水と汚れが気管へ流れ込みやすくなる。口腔ケアでは、頸部を軽く前屈させる(顎を引く)姿勢をとる。仰臥位のままであれば、枕で頭部をやや高くし、顔を横に向ける。
終了後に口腔内を乾燥させることは適切でない。乾燥は、粘膜の損傷、細菌の増殖、そして口臭の原因になる。また、痛みと不快感も強まる。終了後は、保湿剤(ジェル、スプレー、そして口腔用の保湿剤)を塗布して、粘膜を保護する。とくに、経口摂取をしていない患者と、口呼吸の患者では乾燥が進みやすい。
舌苔を強くこすって除去することも適切でない。舌の粘膜は薄く、強い刺激で傷つき、出血と痛みを招く。また、味蕾を損なうこともある。舌苔は、保湿剤で軟らかくしてから、やわらかいブラシまたはスポンジで、奥から手前へ、軽い力で少しずつ取り除く。一度で完全に取ろうとせず、数日かけて改善させる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、体位(後屈)、乾燥、そして強くこすることの3つになる。いずれも、口腔ケアの原則(誤嚥を防ぐ、粘膜を守る、湿潤を保つ)に反する。「水は少なく、姿勢は前屈、力は弱く、最後は保湿」という4点を押さえると、判断できる。
理解を深める
口腔ケアの実際を整理する。目的=①口腔内の清潔(細菌の減少)、②誤嚥性肺炎の予防、③唾液の分泌の促進、④口腔機能の維持(咀嚼、嚥下、構音)、⑤爽快感と生活の質、⑥観察の機会(粘膜、歯、義歯、舌、口臭、出血、腫瘍)。準備=体位(可能なら坐位または30度以上の挙上、顔を横に向ける)、吸引の準備、必要物品(歯ブラシ、スポンジブラシ、舌ブラシ、保湿剤、ガーグルベースン、タオル、手袋、マスク、必要に応じてゴーグル)。実施=①声をかけ、口を開けてもらう(無理に開けない。開口が難しい場合は、開口器または指ガードを用いる)、②歯は歯ブラシで機械的にこすって清掃する(含嗽と拭き取りだけでは歯垢は落ちない)、③粘膜、舌、口蓋はスポンジブラシで、④奥から手前へ、⑤汚れを吸引または拭き取る、⑥最後に保湿する。注意=出血傾向のある患者ではやわらかいブラシを、意識障害のある患者では誤嚥にとくに注意する。開口が困難で噛まれる危険がある場合は、2人で行う。抗癌薬と放射線療法による口内炎がある場合は、刺激の少ない方法を選ぶ。経口摂取をしていない患者でも、口腔内は乾燥して細菌が増えるため、ケアは必要になる。むしろ、唾液の分泌が減るぶん、より丁寧なケアが要る。
間違えやすい考え方
方法を問う型で、誤肢が体位・乾燥・強い力で誤っている。誤嚥を防ぎ粘膜を守るという原則で切る。
5分で振り返る
①臥床患者では、口腔内の水分と汚れが咽頭へ流れ込み誤嚥する。スポンジブラシは滴らない程度に絞る。②上体を挙上し、顔を横に向け、奥から手前へ拭き取り、吸引を併用する。③頸部の後屈は気道が直線的に開き誤嚥しやすい。軽く前屈させる。④終了後は乾燥させず、保湿剤で粘膜を保護する。⑤舌苔は強くこすらない。保湿剤で軟らかくしてから、軽い力で少しずつ、数日かけて取り除く。⑥歯は歯ブラシで機械的にこすって清掃する(含嗽だけでは歯垢は落ちない)。⑦経口摂取をしていない患者でも、唾液が減るぶん、より丁寧なケアが必要になる。
1分チェック
- 臥床患者の口腔ケアでは。→ スポンジブラシは絞って使う(水が咽頭へ流れ込むのを防ぐ)。
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