慢性膵炎〈chronic pancreatitis〉患者 の食事療法で制限が必要なのはどれか。
公式正答:4
解説
慢性膵炎患者の食事療法で制限が必要なものを問う。アルコールである。
この問題で問われていること
疾患の原因から、制限すべきものを導けるか。
しくみから理解する
慢性膵炎の原因として、日本では男性でアルコールが最も多く、全体のおよそ7割を占める。アルコールは、膵液の分泌を刺激し、また膵管の閉塞と膵臓の直接の障害を引き起こして、炎症を繰り返させる。したがって、断酒が治療の基本であり、これができなければ、進行を止められない。断酒により、腹痛の頻度と程度が減り、膵臓の機能の低下も緩やかになることが示されている。あわせて、禁煙も重要で、喫煙は慢性膵炎の進行と膵癌のリスクを高める。
選択肢ごとの確認
蛋白質は制限しない。慢性膵炎が進行すると、消化酵素の分泌が減って消化と吸収が障害され(膵外分泌機能不全)、脂肪便と体重の減少をきたす。したがって、十分な蛋白質とエネルギーが必要になる。消化酵素薬を補いながら、必要な栄養を摂ることが方針になる。
カリウムの制限は、腎機能が低下した場合に必要になるもので、慢性膵炎の食事療法とは関係しない。
食物繊維も制限しない。ただし、脂肪については、腹痛のある時期には制限し、症状が落ち着けば、消化酵素薬を併用しながら、極端な制限をせずに必要な量を摂る方針になる(過度な脂肪制限は、脂溶性ビタミンの不足と低栄養を招く)。
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混同しやすいポイント
「アルコール性が最も多い→断酒が基本」という因果で判断できる。誤肢のうち、蛋白質と食物繊維は、むしろ必要な栄養素であり、制限すると低栄養を招く。慢性膵炎の食事療法は、「何を減らすか」より「消化を助けながら必要な栄養を摂る」という方向で考える。
理解を深める
慢性膵炎の管理を整理する。病態=膵臓の炎症が繰り返され、線維化が進んで、外分泌と内分泌の両方の機能が失われていく。代償期=腹痛が主症状。膵臓の機能はまだ保たれる。移行期を経て、非代償期=腹痛はむしろ軽減するが、消化吸収の障害(脂肪便、体重減少、脂溶性ビタミンの不足)と、糖尿病(膵性糖尿病)が現れる。原因=アルコール(男性で最多)、特発性(女性で多い)、胆石、遺伝、自己免疫性、そして高中性脂肪血症。合併症=膵仮性囊胞、膵石、胆管の狭窄、糖尿病、そして膵癌(リスクが高まる)。治療=①断酒と禁煙、②腹痛の管理(鎮痛薬、膵酵素阻害薬、内視鏡治療、そして手術)、③消化酵素薬の補充(十分な量を、食事とともに服用する)、④脂溶性ビタミンの補充、⑤糖尿病の管理(インスリンが必要になることが多く、また低血糖を起こしやすいため注意する)。看護=①断酒の支援(アルコール依存を伴う場合は、専門的な治療につなぐ)、②栄養の評価と支援(体重、血清アルブミン、脂肪便の有無)、③服薬の指導(消化酵素薬を食事とともに、十分な量を飲む)、④疼痛の管理、⑤血糖の管理、⑥定期的な受診の支援。断酒が続かない背景には、依存、生活の困難、そして孤立があることが多く、責めるのではなく、続けられる方法を一緒に探す姿勢が求められる。
間違えやすい考え方
食事療法を問う型で、誤肢が必要な栄養素と無関係な制限である。疾患の原因から導いて切る。
5分で振り返る
①慢性膵炎の原因は、日本の男性ではアルコールが最も多く全体の約7割。②アルコールは膵液の分泌を刺激し、膵管の閉塞と膵臓の障害を引き起こす。断酒が治療の基本になる。③禁煙も重要で、喫煙は進行と膵癌のリスクを高める。④蛋白質は制限せず、十分なエネルギーとともに摂る。消化酵素薬で消化を助ける。⑤脂肪は腹痛のある時期に制限し、落ち着けば極端な制限をしない(脂溶性ビタミンの不足と低栄養を招く)。⑥代償期は腹痛が主症状、非代償期は消化吸収の障害と膵性糖尿病が現れる。⑦膵性糖尿病では、グルカゴンも減るため低血糖を起こしやすい。
1分チェック
- 慢性膵炎で制限するのは。→ アルコール(断酒が治療の基本)。
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