A さん(32 歳、男性)は慢性副鼻腔炎と診断され経過観察をしていたが、症状が 改善せず手術を受けることになった。 A さんへの術後の生活についての説明で適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
慢性副鼻腔炎の手術を受ける32歳男性への術後の生活についての説明を問う。物が二重に見えるときは看護師に伝える、である。
この問題で問われていること
手術の部位と、周囲の構造の関係から合併症を導けるか。
しくみから理解する
副鼻腔のうち、篩骨洞と上顎洞は、眼窩と薄い骨板を隔てて接している。内視鏡下副鼻腔手術では、この骨板が損傷されると、眼窩内へ出血が及び、あるいは外眼筋(とくに内直筋)が傷つくことがある。その結果、複視(物が二重に見える)、眼球の運動の障害、眼球突出、そして視力の低下が生じる。これらは、直ちに対応を要する合併症であり、早期の発見が視機能を守る。したがって、患者に、これらの症状が現れたら直ちに知らせるよう説明することが必要になる。
選択肢ごとの確認
咽頭にたまった分泌物は、飲み込まずに口から出すよう説明する。術後は、鼻腔から咽頭へ血液と分泌物が流れる(後鼻漏)。これを飲み込むと、①出血の量が分からなくなる、②胃を刺激して悪心と嘔吐を招き、嘔吐によって再出血する、という問題が生じる。したがって、飲み込まずに、ガーグルベースンへ出してもらい、量と性状を観察する。
手術当日からの入浴はできない。入浴により血管が拡張し、鼻出血を招く。当日は洗面と清拭にとどめ、入浴は医師の指示に従って(通常は数日後から)再開する。同様に、飲酒、激しい運動、そして鼻をかむ動作も、一定期間控える。
臥床時に頭部を低く保つことも誤りになる。頭部を低くすると、静脈のうっ血により出血が増える。上半身をやや挙上した体位(半坐位、あるいは枕を高くする)をとり、出血と腫脹を抑える。
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混同しやすいポイント
誤肢は、分泌物の扱い、入浴の時期、そして体位という3点で誤っている。いずれも「出血を増やさない」という原則で判断できる。加えて、正答は「眼窩の合併症」という、手術の部位と周囲の構造から導かれる知識を問うている。解剖を知っていれば、なぜ複視が問題になるのかが分かる。
理解を深める
内視鏡下副鼻腔手術の看護を整理する。手術=鼻腔から内視鏡を入れ、副鼻腔の病変を取り除き、自然孔を広げて換気と排泄を改善する。外切開を伴わないため、侵襲が小さく、回復も早い。合併症=①出血(術中と術後。とくに術後24時間以内)、②眼窩の合併症(複視、眼球運動の障害、眼球突出、視力低下、そしてまれに失明)、③頭蓋内の合併症(髄液漏、髄膜炎。前頭蓋底に接するため)、④嗅覚の障害、⑤鼻内の癒着。術後の看護=①出血の観察(鼻からの出血、後鼻漏の量と性状、そして嚥下の回数の増加は出血の徴候になる)、②体位(上半身の挙上)、③安静と冷罨法、④疼痛の管理、⑤鼻をかまない(強くかむと出血と、眼窩気腫を招く。くしゃみは口を開けて)、⑥入浴、飲酒、激しい運動を控える、⑦鼻内の清掃と処置(外来で継続する)、⑧感染の徴候(発熱、膿性の鼻汁、疼痛の増強)。患者への説明=症状が改善するまでに時間がかかること(鼻閉と嗅覚は数週間から数か月かけて改善する)、そして再発を防ぐために、術後の通院と処置が重要であることを伝える。慢性副鼻腔炎では、術後の管理が結果を大きく左右する。
間違えやすい考え方
術後の説明を問う型で、誤肢が出血を増やす方向のものである。解剖から眼窩の合併症を導いて切る。
5分で振り返る
①篩骨洞と上顎洞は、眼窩と薄い骨板を隔てて接している。②手術でこの骨板が損傷されると、眼窩内の出血と外眼筋(内直筋)の損傷により、複視、眼球運動の障害、眼球突出、視力低下が生じる。③直ちに対応を要する合併症であり、患者に症状を伝えてもらう。④咽頭にたまった分泌物は飲み込まず口から出す(出血量が分からなくなり、悪心と嘔吐で再出血する)。⑤当日の入浴は血管を拡張させ出血を招く。数日後から医師の指示で再開する。⑥頭部を低くすると静脈のうっ血で出血が増える。上半身をやや挙上する。⑦鼻を強くかまない(出血と眼窩気腫)。くしゃみは口を開けて行う。
1分チェック
- 副鼻腔の手術の後、複視が出たら。→ 直ちに知らせてもらう(眼窩の合併症)。
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