幻肢痛について正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
幻肢痛について正しいものを問う。切断し喪失した部位に生じる、である。
この問題で問われていること
現象の定義と機序を説明できるか。
しくみから理解する
幻肢痛は、切断によって失われた四肢の部分に、痛みを感じる現象になる。「ないはずの足の指が締めつけられる」「なくなった手が握りしめられて痛い」といった形で訴えられる。機序は完全には解明されていないが、①切断端の神経の異常な興奮、②脊髄での過剰な反応、③大脳皮質の体性感覚野における身体の地図の再構成(切断された部位に対応する領域が、隣接する領域に置き換わる)が関わるとされる。切断した人の多くが経験し、痛みを伴わない感覚(幻肢感覚)は、さらに高い割合でみられる。
選択肢ごとの確認
術前から発症するのではない。切断の後に生じる。ただし、術前の疼痛が強いほど、術後の幻肢痛が生じやすいことが知られており、術前からの十分な鎮痛が、予防につながる可能性が指摘されている。
抗うつ薬は禁忌ではない。むしろ、幻肢痛は神経障害性疼痛の性質を持つため、三環系抗うつ薬とセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬、そしてプレガバリンなどが用いられる。通常の鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)は効きにくい。
細菌感染が原因ではない。切断端の感染は、別の合併症として起こりうるが、幻肢痛の原因ではない。感染では、発赤、腫脹、熱感、そして膿性の滲出液がみられ、幻肢痛とは所見が異なる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、時期、治療、そして原因という3点で誤っている。とくに「抗うつ薬は禁忌」は、実際とは正反対になる。神経障害性疼痛に対して抗うつ薬と抗けいれん薬が用いられることは、疼痛管理の基本の知識になる。「ないはずの部位が痛む」という現象を、患者の訴えとして真剣に受け止めることも重要で、「気のせい」として扱わない。
理解を深める
切断後の看護を整理する。断端の管理=①創部の観察(感染、壊死、離開)、②浮腫の管理(弾性包帯による断端管理。末梢を強く、中枢へ向かうほど弱くする圧の勾配をつけて巻き、浮腫を中枢へ移動させる。局所にしわを作らず圧が一点に集中しないようにするが、長軸方向の圧を均一にするという意味ではない。中枢側が締まると駆血となって末梢の浮腫を悪化させる)、③断端の形を整える(義肢の装着に適した円錐形に)、④拘縮の予防(下肢では股関節と膝関節の屈曲拘縮を防ぐため、腹臥位をとり、枕を膝の下に入れない)、⑤脱感作(断端に触れる、たたく、そして布でこするといった刺激により、過敏を減らす)。疼痛=①断端痛(切断端そのものの痛み。創、感染、神経腫、そして血流の障害による)と、②幻肢痛を区別する。幻肢痛には、薬物療法(神経障害性疼痛の薬)に加えて、鏡を用いた治療(鏡療法。健側の動きを鏡に映して、失われた側が動いているように見せる)、そして脱感作とリハビリテーションが有効とされる。心理=身体の一部を失うことは、ボディイメージの大きな変化であり、喪失の体験になる。否認、怒り、抑うつを経て受容へ向かう過程を支える。義肢の装着と歩行の獲得は、大きな転機になる。社会復帰=義肢の作製と訓練、身体障害者手帳、そして就労と生活の調整。糖尿病と末梢動脈疾患による切断では、反対側の下肢の管理(フットケア)も重要になり、再切断の予防が課題になる。
間違えやすい考え方
現象を問う型で、誤肢が時期・治療・原因で誤っている。とくに「抗うつ薬は禁忌」は正反対になる。
5分で振り返る
①幻肢痛=切断によって失われた四肢の部分に感じる痛み。②機序=切断端の神経の異常興奮、脊髄での過剰な反応、大脳皮質の体性感覚野の再構成。③切断の後に生じる(術前ではない)。ただし術前の疼痛が強いほど生じやすく、術前からの鎮痛が予防につながる可能性がある。④神経障害性疼痛の性質を持つため、三環系抗うつ薬、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬、プレガバリンが用いられる。抗うつ薬は禁忌ではない。⑤通常の非ステロイド性抗炎症薬は効きにくい。⑥断端痛(創、感染、神経腫、血流障害による)とは区別する。⑦鏡療法、脱感作、リハビリテーションも有効とされる。
1分チェック
- 幻肢痛は。→ 切断して失われた部位に生じる痛み。
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