老年期の発達課題を引退の危機、身体的健康の危機および死の危機の3つの段階 で示したのはどれか。
公式正答:3
解説
老年期の発達課題を、引退の危機、身体的健康の危機、そして死の危機の3つの段階で示したものを問う。ペックである。
この問題で問われていること
老年期を扱った理論を、提唱者ごとに区別できるか。
しくみから理解する
ペックは、エリクソンの理論を発展させ、老年期に固有の課題を3つの危機として示した。①引退の危機(自我の分化対仕事役割への没頭)=仕事の役割を失った後も、他の役割と関心によって自分の価値を見出せるか。②身体的健康の危機(身体の超越対身体への没頭)=身体の衰えにとらわれず、精神的な活動と人間関係に価値を見出せるか。③死の危機(自我の超越対自我への没頭)=自分の死を超えて、次の世代と社会へ何を残せるかという視点を持てるか。これらを乗り越えることが、老年期の適応につながるとした。
選択肢ごとの確認
エリクソンは、生涯を8段階に分け、老年期の課題を「統合性対絶望」とした。人生を振り返り、意味づけて受け入れられれば統合性が、後悔と失望が残れば絶望が優位になる。3つの段階では示していない。
レビンソンは、成人期の発達を「人生の四季」として捉え、児童期と青年期、成人前期、中年期、老年期という約25年ずつの発達期を置いた。各発達期の中では6〜8年の安定期と約5年の過渡期が交互に現れ、発達期のつなぎ目に成人への過渡期、人生半ばの過渡期、老年への過渡期がある。とくに中年期の過渡期における危機を論じたことで知られる。
ユングは、人生を日の出から日没にたとえ、40歳前後を「人生の正午」と呼んだ。人生の後半では、外へ向かっていた関心が内へ向かい、自己の統合(個性化)へ向かうとした。老年期の3つの危機を示したのはペックになる。
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混同しやすいポイント
老年期を扱った理論を、提唱者と内容で対応づける。エリクソン=統合性対絶望(8段階の最後)。ペック=老年期の3つの危機(引退、身体的健康、死)。ハヴィガースト=老年期の発達課題(体力と健康の衰退への適応、退職と収入の減少への適応、配偶者の死への適応、同年代との親密な関係、社会的役割の受容、そして満足な住まいの確保)。レビンソン=人生の四季と過渡期。ユング=人生の正午と個性化。バルテス=選択・最適化・補償(できることを選び、それに資源を集中し、失った機能を別の手段で補う)。
理解を深める
老年期の理解と看護を整理する。喪失の体験=老年期は、①健康と身体機能、②配偶者と友人(死別)、③仕事と社会的役割、④経済的な基盤、⑤住まいと生活の場、という多くの喪失が重なる時期になる。これらへの適応が課題になる。一方で、獲得もある=経験にもとづく知恵、時間の余裕、そして世代を超えたつながり。サクセスフルエイジング=①疾患と障害がない、②高い身体的・認知的機能を保つ、③人生への積極的な関与、という3つで説明される考え方。ただし、疾患や障害があっても、その人なりの充実した老いはありうるという批判もあり、より広く「その人にとっての良い老い」として捉える見方が広がっている。看護の関わり=①喪失を体験している人として理解する、②これまでの人生に関心を向ける(ライフレビュー)、③できることに着目する、④役割と社会とのつながりを保つ、⑤自己決定を尊重する、⑥住み慣れた場所での生活を支える、⑦人生の最終段階について、本人の意思を聞き、繰り返し話し合う。高齢者を「支えられる人」としてのみ捉えず、その人が持っているもの、してきたこと、そしてこれからしたいことに関心を向けることが、看護の質を大きく変える。
間違えやすい考え方
提唱者を問う型で、誤肢がいずれも発達を論じた理論家である。老年期の3つの危機=ペックで切る。
5分で振り返る
①ペックは老年期の課題を3つの危機で示した。②引退の危機=仕事の役割を失った後も、他の役割と関心で自分の価値を見出せるか。③身体的健康の危機=身体の衰えにとらわれず、精神的な活動と人間関係に価値を見出せるか。④死の危機=自分の死を超えて、次の世代と社会へ何を残せるかという視点を持てるか。⑤エリクソンは老年期を「統合性対絶望」とした(8段階の最後)。⑥レビンソンは人生の四季と過渡期、ユングは人生の正午と個性化を論じた。⑦ハヴィガーストの老年期の課題=体力と健康の衰退への適応、退職と収入の減少、配偶者の死、同年代との関係、社会的役割、住まいの確保。
1分チェック
- 老年期を3つの危機で示したのは。→ ペック(引退・身体的健康・死)。
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