30 歳を100 % とした生理機能と比較して、老年期において機能の残存率の平均 値が最も低下するのは次のうちどれか。
公式正答:2
解説
30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において機能の残存率の平均値が最も低下するものを問う。最大換気量である。
この問題で問われていること
機能ごとに、加齢による低下の程度が異なることを知っているか。
しくみから理解する
加齢による生理機能の低下の程度は、機能によって大きく異なる。神経の伝導速度は比較的よく保たれ、およそ85%が残る。基礎代謝率はおよそ80%、細胞内水分量はおよそ70%で、両者は同じ水準ではない。一方、最大換気量(1分間に換気できる最大の量)は、3〜4割程度まで低下する。これは、①肺の弾性の低下、②胸郭の硬化(肋軟骨の石灰化、脊柱の後弯)、③呼吸筋の筋力の低下、が重なるためになる。腎血流量と、腎の糸球体濾過量も、大きく低下する機能になる。
選択肢ごとの確認
基礎代謝率は、30歳と比べておよそ80%が保たれる。筋肉量の減少に伴って低下するが、最大換気量ほどではない。
細胞内水分量も、およそ7割程度が保たれる。筋肉量の減少により減るが、著しい低下ではない。
神経伝導速度は、最もよく保たれる機能の一つで、8割以上が残る。反応が遅くなるのは、伝導速度そのものより、中枢での情報の処理と、判断に要する時間の増加によるところが大きい。
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混同しやすいポイント
「よく保たれるもの」と「大きく低下するもの」を対にして覚える。よく保たれる=神経伝導速度、細胞内水分量、基礎代謝率。大きく低下する=最大換気量、肺活量、腎血流量、糸球体濾過量、そして最大酸素摂取量。予備力の低下は、安静時には問題にならなくても、負荷がかかったとき(運動、感染、手術、脱水)に対応できないという形で現れる。
理解を深める
加齢による変化を系統ごとに整理する。呼吸=肺の弾性の低下、残気量の増加、肺活量と1秒量の低下、最大換気量の著しい低下、線毛運動の低下(分泌物の排出が悪い)、そして咳嗽反射と嚥下反射の低下(誤嚥性肺炎のリスク)。循環=心拍出量の低下、最大心拍数の低下、血管の弾性の低下(収縮期血圧の上昇と脈圧の増大)、そして圧受容器反射の低下(起立性低血圧)。腎=糸球体濾過量の低下、尿濃縮力の低下、そして薬物の排泄の遅延。消化=唾液の減少、嚥下機能の低下、胃酸の減少、そして腸蠕動の低下。内分泌と代謝=耐糖能の低下、基礎代謝の低下。感覚=視力(老視、白内障)、聴力(高音域から)、味覚と嗅覚の低下、そして皮膚感覚の低下。運動=筋肉量と筋力の低下(サルコペニア)、骨密度の低下、関節可動域の減少、そして平衡機能の低下。免疫=細胞性免疫の低下、ワクチンへの反応の低下、そして炎症反応の乏しさ。神経=脳の萎縮、情報処理の速度の低下、短期記憶の低下(一方、言語能力と経験にもとづく判断は保たれる)。これらの変化は個人差が非常に大きく、暦年齢だけで判断できない。「高齢者だからこうである」と決めつけず、その人の機能を実際に評価することが基本になる。
間違えやすい考え方
加齢の程度を問う型で、誤肢がいずれもよく保たれる機能である。よく保たれるものと大きく低下するもので切る。
5分で振り返る
①加齢による低下の程度は機能により大きく異なる。②最大換気量は3〜4割程度まで低下する。肺の弾性の低下、胸郭の硬化、呼吸筋の筋力低下が重なる。③神経伝導速度はおよそ85%、基礎代謝率はおよそ80%、細胞内水分量はおよそ70%が保たれる。機能ごとに残存率は異なる。④腎血流量と糸球体濾過量も大きく低下する。⑤予備力の低下は、安静時ではなく、負荷がかかったとき(運動、感染、手術、脱水)に現れる。⑥反応が遅くなるのは、伝導速度より中枢の情報処理と判断に要する時間の増加による。⑦個人差が非常に大きく、暦年齢だけで判断せず、実際に機能を評価する。
1分チェック
- 加齢で最も低下するのは。→ 最大換気量(3〜4割程度まで)。
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