高齢者の健康障害の特徴で正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
高齢者の健康障害の特徴で正しいものを問う。薬物の副作用(有害事象)が発生しやすい、である。
この問題で問われていること
加齢による変化が、薬の効き方にどう影響するかを説明できるか。
しくみから理解する
高齢者では、薬物有害事象が起こりやすい。理由は複数ある。①肝臓の代謝能と腎臓の排泄能が低下し、薬が体内に留まりやすい(血中濃度が上がる)、②体内水分量と筋肉量が減り、脂肪の割合が増えるため、薬の分布が変わる、③血漿アルブミンが低下し、蛋白と結合していない遊離型の薬が増える、④受容体の感受性が変化する(とくに中枢神経に作用する薬に対して感受性が高まる)、⑤複数の疾患を持ち、多くの薬を服用している(多剤併用)ため、相互作用が起こりやすい、⑥服薬の管理が難しく、飲み間違いと飲み忘れが生じる。これらが重なって、副作用の頻度が高くなる。
選択肢ごとの確認
症状の出現は定型ではなく、非定型になる。肺炎で咳と発熱がない、心筋梗塞で胸痛がない、そして甲状腺機能亢進症で活気の低下として現れる(無欲性甲状腺機能亢進症)といったことが起こる。「なんとなく元気がない」「食欲がない」「転倒した」「せん妄が出た」という変化が、疾患の唯一の徴候になることも多い。
治療の効果は現れにくい。予備力が乏しく、回復に時間がかかり、また複数の疾患と機能の低下が重なるため、若年者と同じようには改善しない。加えて、治療そのものが新たな問題(安静による廃用、薬の副作用、入院によるせん妄)を生むこともある。
疾患の発生に心理的要因の影響は少なくない。むしろ大きくなる。配偶者との死別、孤立、役割の喪失、そして経済的な不安が、抑うつ、食欲の低下、そして身体の症状として現れることが多い。身体と心理と社会的な要因が、密接に絡み合っている点が、高齢者の健康障害の特徴になる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも方向が逆になっている。定型ではなく非定型、効果が現れやすいのではなく現れにくい、心理的要因の影響は少ないのではなく大きい。高齢者の健康障害の特徴は、「教科書どおりにならない」「複数の要因が絡む」「予備力が乏しい」という3つで整理できる。
理解を深める
高齢者の薬物療法を整理する。多剤併用=6種類以上の服用で有害事象が増えるとされる。減らすべき薬を検討する(処方の見直し)が、単に数を減らすのではなく、必要性を評価して行う。とくに慎重な投与を要する薬=抗コリン作用のある薬(抗ヒスタミン薬、三環系抗うつ薬、一部の抗パーキンソン病薬、過活動膀胱の薬。認知機能の低下、口渇、便秘、尿閉、せん妄を招く)、ベンゾジアゼピン系(転倒、認知機能の低下、依存)、非ステロイド性抗炎症薬(消化性潰瘍、腎障害)、利尿薬(脱水、電解質異常)、ジゴキシン(中毒)、そしてスルホニル尿素薬(低血糖)。処方カスケード=ある薬の副作用を、新たな症状と誤って捉え、別の薬を追加すること。これを避けるため、新しい症状が現れたら、まず薬の影響を疑う。服薬の支援=①一包化、②服薬カレンダーとお薬ケース、③回数を減らす、④剤形の工夫(口腔内崩壊錠、貼付剤、液剤)、⑤家族と訪問看護、訪問薬剤師による支援、⑥お薬手帳の一元化(複数の医療機関と薬局を使っている場合、重複と相互作用が起こりやすい)。看護の役割=服薬の実際を確認し(「飲んでいますか」ではなく、残薬を見る)、飲めていない理由を聞き、その人に合う方法を一緒に考えることになる。
間違えやすい考え方
特徴を問う型で、誤肢がすべて方向の逆である。非定型・効果が出にくい・心理的要因が大きいで切る。
5分で振り返る
①高齢者で薬物有害事象が多い理由=肝の代謝能と腎の排泄能の低下、体内水分量と筋肉量の減少、アルブミンの低下による遊離型の増加、受容体の感受性の変化、多剤併用、服薬管理の困難。②症状は非定型(肺炎で咳と発熱がない、心筋梗塞で胸痛がない)。「元気がない」「食欲がない」「転倒」「せん妄」が唯一の徴候のこともある。③予備力が乏しく治療の効果は現れにくい。治療そのものが新たな問題を生むこともある。④心理社会的要因(死別、孤立、役割の喪失、経済的不安)の影響が大きい。⑤6種類以上の服用で有害事象が増えるとされる。⑥慎重な投与を要する薬=抗コリン作用のある薬、ベンゾジアゼピン系、非ステロイド性抗炎症薬、利尿薬、ジゴキシン、スルホニル尿素薬。⑦処方カスケード(副作用を新たな症状と誤り薬を追加する)を避ける。
1分チェック
- 高齢者の健康障害の特徴は。→ 薬物の副作用が発生しやすい。
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