発育と発達に遅れのない生後6か月の男児。BCG 接種の翌日に接種部位が赤く 腫れ次第に増悪して膿がみられたため、母親は接種後4日目に医療機関に電話で相 談し、看護師が対応した。児に発熱はなく、哺乳や機嫌は良好である。 このときの看護師の説明で適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
BCG接種の翌日に接種部位が赤く腫れ、次第に悪化して膿がみられた生後6か月児について、接種後4日目の電話相談への説明を問う。「速やかに来院してください」である。
この問題で問われていること
通常の反応と、異常な反応を区別できるか。
しくみから理解する
BCG接種の通常の反応は、接種から2〜4週間後に、接種部位に発赤と小さな膿疱が現れ、その後かさぶたになって、2〜3か月で瘢痕を残して治まるという経過をたどる。つまり、反応が現れるまでに数週間かかることが特徴になる。これに対し、この事例では、接種の翌日から発赤と腫脹が現れ、4日目には膿がみられている。この「早期の強い反応(コッホ現象)」は、接種の時点で既に結核に感染していた可能性を示す。したがって、速やかに受診し、結核の感染の有無を調べる必要がある。
選択肢ごとの確認
「通常の反応です」という説明は誤りになる。通常の反応は2〜4週間後に現れるものであり、翌日からの反応は明らかに異なる。
「1週間後にまた電話をください」も適切でない。結核に感染している可能性がある以上、家族内に感染源がいる可能性も高く、早期の検査と対応が必要になる。待つことで、児の結核が進行し、また周囲への感染も広がりうる。
「患部をアルコール消毒してください」も適切でない。BCGの接種部位は、通常、消毒せずに自然な経過に任せる(絆創膏も貼らない)。加えて、この場面で必要なのは局所の処置ではなく、原因の検索になる。
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混同しやすいポイント
「通常は2〜4週間後、この事例は翌日から」という時間の違いが、判断の決め手になる。コッホ現象という名称を知らなくても、通常の経過を知っていれば、これが異常であると分かる。「早すぎる反応は、既に感染している」という理屈も、免疫の記憶という観点から理解できる(既に感作されていれば、速やかに強い反応が起こる)。
理解を深める
BCGと結核の予防を整理する。BCG=ウシ型結核菌を弱毒化した生ワクチン。管針法(スタンプ式)により、上腕外側の2か所に押しつけて接種する。定期接種の対象は、生後1歳に至るまで(標準的には生後5か月から8か月未満)。目的は、乳幼児の重症の結核(粟粒結核と結核性髄膜炎)を防ぐことにあり、成人の肺結核を防ぐ効果は限られる。通常の経過=接種後2〜4週間で発赤と膿疱、その後かさぶた、2〜3か月で瘢痕を残して治まる。この間、消毒も絆創膏も不要で、自然に任せる。入浴は通常どおり可能で、接種部位をこすらないようにする。コッホ現象=接種後10日以内(多くは数日以内)に、強い発赤、腫脹、そして化膿が現れる現象。既に結核に感染していることを示唆する。速やかに受診し、インターフェロンγ遊離試験、胸部X線検査、そして家族の検査を行う。副反応=腋窩リンパ節の腫脹(多くは自然に消退する)、骨炎、そしてまれに全身播種性BCG感染症(免疫不全がある場合)。接種の禁忌=免疫不全、そして結核の既感染。注意=BCGの接種部位は、後年、乳児の川崎病で発赤することがあり、これは特徴的な所見として診断の参考になる。
間違えやすい考え方
反応を問う型で、誤肢が通常の反応との誤認、待機、そして局所処置である。時間の違いで切る。
5分で振り返る
①BCGの通常の反応は、接種から2〜4週間後に発赤と小さな膿疱、その後かさぶた、2〜3か月で瘢痕を残して治まる。②接種後10日以内(多くは数日以内)の強い発赤・腫脹・化膿はコッホ現象で、既に結核に感染している可能性を示す。③速やかに受診し、インターフェロンγ遊離試験、胸部X線、家族の検査を行う。④BCGは生ワクチンで、管針法により上腕外側の2か所に接種する。⑤定期接種は生後1歳に至るまで(標準は生後5〜8か月)。⑥目的は乳幼児の粟粒結核と結核性髄膜炎の予防。成人の肺結核を防ぐ効果は限られる。⑦接種部位は消毒も絆創膏も不要で、自然に任せる。
1分チェック
- 接種の翌日からの強い反応は。→ コッホ現象を疑い速やかに受診(既に結核に感染している可能性)。
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