A さん(80 歳、女性)は1人暮らし。要介護2の認定を受け、長男(50 歳、会社 員)、長男の妻(45 歳、会社員)、孫(大学生、男性)と同居することになった。長男 の家の間取りは、洋室5部屋、リビング、台所である。A さんは同居後に訪問看 護を利用する予定である。訪問看護を利用するにあたりA さんの家族から「在宅介 護は初めての経験なのでどうすればよいですか」と訪問看護師に相談があった。 訪問看護師の説明で最も適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
要介護2の80歳女性と同居することになった家族から、在宅介護が初めてでどうすればよいかと相談された際の説明を問う。「特定の同居家族に介護負担が集中しないように家族で話し合いましょう」である。
この問題で問われていること
在宅介護を続けるために、最初に整えるべきことを判断できるか。
しくみから理解する
在宅介護が続くかどうかを最も大きく左右するのは、負担が一人に集中しないことになる。この家族は、長男(会社員)、長男の妻(会社員)、そして孫(大学生)の3人であり、全員が就労または就学している。何も決めなければ、慣習的に長男の妻へ負担が集中しやすい。始まる前に、誰が何を、いつ担うかを家族で話し合っておくことで、無理のない形を作れる。加えて、話し合いの過程で、家族それぞれの事情と気持ちが共有され、後の不満と対立を防げる。訪問看護師は、その話し合いを促し、必要に応じて場を設ける役割を担う。
選択肢ごとの確認
介護用ベッドをリビングに置くと決めることは、家族の生活のあり方を一方的に決めることになる。洋室が5部屋あるため、本人の希望、プライバシー、家族の動線、そして介護のしやすさを考えて、家族と本人が選ぶべきことになる。リビングは、家族の目が届く一方、本人のプライバシーと休息が確保されにくい。
介護に家族の生活リズムを合わせることも適切でない。家族全員が就労と就学をしており、生活のリズムを介護に合わせれば、仕事と学業が成り立たなくなる。むしろ、家族の生活を保ちながら介護できるよう、サービスを組み合わせる方向で考える。
サービスをできる限り多く利用することも、適切な助言とはいえない。必要なサービスを、必要な分だけ利用することが原則になる。多く入れれば、費用の負担が増え、また本人の生活に他人が入る時間も増える。本人ができることを奪うことにもつながる。何が必要かを、状態と生活に照らして選ぶ。
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混同しやすいポイント
誤肢は、生活のあり方を決めつけるもの、家族の生活を犠牲にするもの、そして量を増やせばよいとするものになる。在宅介護の支援では、①家族の生活も守る、②本人の力を活かす、③必要な分を選ぶ、④負担を分散する、という4つが原則になる。「介護のために生活を変える」のではなく、「生活の中に介護を組み込む」という発想が要点になる。
理解を深める
在宅介護を始める家族への支援を整理する。最初に確認すること=①本人の状態(日常生活動作、認知機能、医療的な処置、生活の希望)、②家族の状況(誰が、どの時間帯に在宅できるか。就労、健康、他の家族の世話)、③住環境(部屋の配置、段差、トイレと浴室、寝室の位置)、④経済状況、⑤これまでの家族の関係、⑥本人と家族の希望。整えること=①役割の分担(誰が何を担うか。全員で少しずつ担う形が続きやすい)、②サービスの導入(訪問看護、訪問介護、通所介護、短期入所、福祉用具、住宅改修)、③介護技術の指導(移乗、食事、排泄、清潔、体位変換。実際にやってみてもらう)、④緊急時の対応(誰に、どう連絡するか)、⑤休息の確保(短期入所、レスパイト)、⑥相談先の明示。続けるための工夫=①完璧を目指さない、②できないことは無理をせずサービスへ、③介護者自身の健康と生活を守る、④気持ちを話せる場を持つ(家族会、相談)、⑤定期的に見直す(状態が変われば、必要な支援も変わる)。訪問看護師は、身体の管理だけでなく、この家族全体の営みを支える立場にある。最初の関わりで、「何でも相談できる」という関係を作れるかが、その後を大きく左右する。
間違えやすい考え方
説明を問う型で、誤肢が決めつけ・生活の犠牲・量の増加である。負担の分散という原則で切る。
5分で振り返る
①在宅介護が続くかを最も左右するのは、負担が一人に集中しないこと。②何も決めなければ、慣習的に特定の人へ集中しやすい。始まる前に、誰が何をいつ担うかを話し合う。③話し合いの過程で、家族それぞれの事情と気持ちが共有され、後の不満と対立を防げる。④介護用ベッドの位置は、本人の希望、プライバシー、動線、介護のしやすさを考えて家族と本人が選ぶ。⑤家族の生活リズムを介護に合わせると、仕事と学業が成り立たなくなる。⑥サービスは必要な分だけ選ぶ。多く入れれば費用が増え、本人ができることも奪う。⑦介護者自身の健康と生活を守ることが、在宅の継続につながる。
1分チェック
- 在宅介護を始める家族には。→ 負担が一人に集中しないよう、家族で話し合うことを勧める。
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