A さん(73 歳、男性)は慢性閉塞性肺疾患〈chronic obstructive pulmonary disease〉で在宅酸素療法〈HOT〉を受けている。 受診時にA さんが「1人でお風呂に入っているが、息切れが強い」と訴えたため、 外来看護師は入浴時の具体的な状況を確認した。 外来看護師がA さんに確認した内容で、息切れの原因と考えられるのはどれか。
公式正答:3
解説
在宅酸素療法を受けている73歳男性が、入浴時の息切れが強いと訴えた際、その原因と考えられるものを問う。洗髪時に鼻カニューレを外していることである。
この問題で問われていること
酸素の供給が途切れる場面を特定できるか。
しくみから理解する
在宅酸素療法では、処方された流量の酸素を、必要な時間、確実に吸入することが治療の前提になる。洗髪の際に鼻カニューレを外せば、その間、酸素の供給が途絶える。加えて、洗髪は上肢を挙上する動作であり、呼吸補助筋を使えなくなり、また胸郭の動きも制限されるため、酸素の需要が増える一方で換気が不十分になる。供給が減り需要が増えるという二重の負担がかかるため、息切れが強くなる。したがって、洗髪中も鼻カニューレを装着したまま行うこと、そして必要に応じて流量を上げること(医師の指示による)が対応になる。
選択肢ごとの確認
シャワー浴にしていることは、むしろ負担を減らす方向になる。浴槽につかると、水圧により胸郭が圧迫されて呼吸が制限され、また温熱により酸素の需要も増える。シャワー浴の方が負担が小さく、また浴槽をまたぐ動作も避けられる。
椅子に座って更衣を行っていることも、適切な工夫になる。立位での更衣は、バランスを保つ必要があり、また上肢を挙上する動作も伴うため、息切れを招く。座って行えば、負担が減る。
浴室の扉を開けたまま入浴していることも、問題ではない。むしろ、換気と、緊急時に気づいてもらいやすいという点で、勧められることがある。密閉された浴室では、湿度と温度が上がり、呼吸が苦しくなることがある。
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混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも負担を減らす工夫であり、息切れの原因にはならない。「酸素の供給が途切れる場面」と、「酸素の需要が増える動作」の2つを探すと、洗髪時のカニューレの取り外しが該当する。日常の動作を細かく聞き取ることで、原因が特定できるという点も、この設問の要点になる。
理解を深める
慢性閉塞性肺疾患の患者の日常生活の工夫を整理する。息切れを招く動作=①上肢を挙上する(洗髪、洗濯物を干す、高い所の物を取る、上着を着る)、②前かがみになる(靴下と靴を履く、床の物を拾う、洗顔)、③息を止める(排便でいきむ、重い物を持ち上げる、話しながら動く)、④反復する(階段、歩行)、⑤腹部を圧迫する(食後、締めつける衣類)。工夫=①息を吐きながら動く(動作の前に息を吸い、動作中に口すぼめ呼吸で吐く)、②動作を分割し、間に休息を入れる、③座って行う(洗面、更衣、調理)、④物の配置を工夫する(よく使う物を手の届く高さに)、⑤道具を使う(長柄のブラシ、靴べら、リーチャー、シャワーチェア)、⑥前かがみを避ける(足を組んで靴下を履く、足台を使う)、⑦ゆっくり動く。入浴の工夫=シャワー浴、または浴槽の湯を浅くする。湯温はぬるめ(38〜40℃)。脱衣所と浴室を暖める。洗髪は座って、カニューレを装着したまま。洗体はタオルではなくスポンジで、力を入れずに。長湯を避け、途中で休む。入浴の前後に休息をとる。酸素の管理=処方された流量を守る(苦しいからと自己判断で増やさない。二酸化炭素ナルコーシスの危険)。カニューレを外さない。チューブの長さと引っかかりに注意する。火気から2m以上離す(入浴中の喫煙は厳禁)。看護では、実際の動作を聞き取り、どの場面で苦しくなるかを特定して、その場面に合う工夫を一緒に見つけることが有効になる。
間違えやすい考え方
原因を問う型で、誤肢がすべて負担を減らす工夫である。酸素の供給が途切れる場面を探して切る。
5分で振り返る
①在宅酸素療法では、処方された流量を必要な時間、確実に吸入することが前提。洗髪でカニューレを外せば供給が途絶える。②洗髪は上肢を挙上する動作で、呼吸補助筋を使えず胸郭の動きも制限されるため、需要が増える。供給が減り需要が増える二重の負担になる。③対応=装着したまま洗髪する、必要に応じて流量を上げる(医師の指示による)。④シャワー浴は、水圧による胸郭の圧迫を避けられ負担が小さい。⑤座っての更衣も負担を減らす工夫。⑥浴室の扉を開けることは、換気と、緊急時に気づいてもらいやすい点で勧められることがある。⑦息切れを招く動作=上肢の挙上、前かがみ、息を止める、反復、腹部の圧迫。
1分チェック
- 入浴時の息切れの原因は。→ 洗髪時に鼻カニューレを外していること。
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