気管切開下で人工呼吸器を装着している利用者に対して、訪問看護事業所が災害 に備えて行うことで適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
気管切開下で人工呼吸器を装着している利用者に対して、訪問看護事業所が災害に備えて行うことで適切なものを問う。災害時の個別支援マニュアルを作成することである。
この問題で問われていること
事業所として何ができるかを判断できるか。
しくみから理解する
災害時の個別支援マニュアル(個別避難計画に相当するもの)は、その利用者に固有の情報と、災害が起きたときの行動を、あらかじめ文書にまとめたものになる。内容には、①利用者の状態と必要な医療(人工呼吸器の設定、吸引、注入、薬剤)、②機器の情報(機種、電源、バッテリーの持続時間、業者の連絡先)、③連絡先(家族、主治医、訪問看護、業者、電力会社、市町村)、④停電時の対応(用手換気への切り替え、非常用電源)、⑤避難の判断と経路、避難先、⑥支援者と役割分担、が含まれる。これを、本人・家族、訪問看護、そして関係機関で共有しておくことで、実際の災害時に、誰が何をするかが分かる。事業所として作成でき、かつ最も有効な備えになる。
選択肢ごとの確認
人工呼吸器の予備の回路を事業所で預かることは適切でない。回路は、必要になったときに利用者の自宅ですぐ使えなければ意味がない。災害時には、事業所へ取りに行けない可能性が高い。予備の回路と物品は、利用者の自宅に、持ち出しやすい形で備えておく。
医療機関から非常用の人工呼吸器を借りることも、訪問看護事業所が行うことではない。人工呼吸器は、業者との契約により貸与され、保守も業者が担う。予備機の確保についても、業者と主治医、そして本人・家族との間で調整する。
事業所内に避難場所を確保することも適切でない。訪問看護事業所は、医療機器の電源、酸素、そして人員を備えた施設ではない。避難先としては、福祉避難所、協力医療機関、そして受け入れが可能な施設を、あらかじめ調整しておく。
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混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも「事業所が物や場所を用意する」という方向になっている。しかし、災害時には、事業所も被災し、また移動もできない可能性がある。したがって、事業所ができる最も確実な備えは、「あらかじめ計画を立てて共有しておくこと」になる。物ではなく、情報と段取りを整える、という考え方が要点になる。
理解を深める
在宅の人工呼吸器利用者の災害への備えを整理する。本人と家族=①非常用電源(外部バッテリー、自動車からの給電、発電機。定期的に充電し、使い方を練習する)、②用手換気の器具(バッグバルブマスク)を手元に置き、家族全員が使えるようにする、③予備の回路、カニューレ、吸引器(足踏み式または手動)、そして消耗品の備蓄(1週間分程度)、④薬と栄養剤の備蓄、⑤電力会社への登録、⑥避難行動要支援者名簿への登録、⑦個別避難計画の作成、⑧近隣との関係づくり。事業所=①個別支援マニュアルの作成と共有、②安否確認の方法と優先順位の設定(重症度に応じて、誰から確認するか)、③事業所自身の事業継続計画(職員の参集、連絡手段、移動の手段)、④関係機関との連携(主治医、市町村、保健所、機器の業者、電力会社)、⑤定期的な訓練と見直し。市町村=①避難行動要支援者名簿の作成、②個別避難計画の作成(努力義務)、③福祉避難所の指定、④情報の伝達の仕組み。災害時に最も重要なのは、「誰が、いつ、どこへ、どうやって」が事前に決まっていることになる。当日に考えていては間に合わない。訓練により、計画が実際に動くかを確かめることも欠かせない。
間違えやすい考え方
備えを問う型で、誤肢がすべて「物や場所を用意する」方向である。情報と段取りを整えるという考え方で切る。
5分で振り返る
①個別支援マニュアルには、利用者の状態と必要な医療、機器の情報、連絡先、停電時の対応、避難の判断と経路、支援者と役割分担を記す。②本人・家族、訪問看護、関係機関で共有し、誰が何をするかを事前に決めておく。③予備の回路と物品は、事業所ではなく利用者の自宅に持ち出しやすい形で備える。④人工呼吸器は業者との契約により貸与され、予備機も業者と調整する。⑤訪問看護事業所は、電源・酸素・人員を備えた避難先にはなれない。福祉避難所と協力医療機関を調整する。⑥事業所は、安否確認の方法と優先順位、事業継続計画も整える。⑦災害時は「誰が、いつ、どこへ、どうやって」が事前に決まっていることが最も重要になる。
1分チェック
- 訪問看護事業所ができる備えは。→ 災害時の個別支援マニュアルの作成と共有。
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