チューブ型の胃瘻の管理について、介護する家族に看護師が指導する内容で正し いのはどれか。
公式正答:1
解説
チューブ型の胃瘻の管理について、介護する家族に看護師が指導する内容で正しいものを問う。「栄養剤の注入後に白湯を注入してください」である。
この問題で問われていること
チューブの閉塞を防ぐという目的から、手順を導けるか。
しくみから理解する
栄養剤は粘稠であり、チューブの内腔に残ると、乾燥して固まり、閉塞を招く。加えて、残った栄養剤は細菌の増殖の場にもなる。したがって、注入の後に白湯(30〜50mL程度)を注入して、チューブの内腔を洗い流す。あわせて、注入の前にも白湯を通して、チューブが詰まっていないことを確かめる方法もとられる。ただし白湯が通ることは内腔が開通していることを示すだけで、カテーテルが胃内にあることの確認にはならない。逸脱して腹腔内や瘻孔内にあっても液体は流れうるため、位置が不確かなときは妥当性の確認された方法で位置を確かめる。閉塞が起これば、チューブの交換が必要になり、また注入ができない間、栄養と水分、そして薬が入らなくなるため、日々の予防が重要になる。
選択肢ごとの確認
胃瘻のチューブを家族が交換することはできない。交換は医療行為であり、医師が行う(施設によっては、医師の指導のもとで看護師が行う場合もある)。交換の目安を決めるのは、外形(チューブ型かボタン型か)ではなく内部固定板の型で、バルーン型がおよそ1〜2か月、バンパー型がおよそ4〜6か月になる。チューブ型にもボタン型にもそれぞれバルーン型とバンパー型があるため、実際の間隔は製品の添付文書で確認する。誤って腹腔内へ挿入すると、腹膜炎を起こす危険があるため、交換後は位置の確認が必要になる。
チューブを同じ位置に固定し続けることも適切でない。同じ位置での固定は、瘻孔の同じ部分に圧が加わり続け、皮膚のびらん、潰瘍、そして不良肉芽を招く。加えて、外部ストッパーを締めすぎると、胃壁と腹壁の間の組織が圧迫されて壊死する(バンパー埋没症候群)。固定の位置と向きは、日ごとに変え、ストッパーと皮膚の間に1〜2cm程度の余裕を持たせる。
下痢のときに注入速度を速めることは逆になる。速い注入は、消化管への負担を増やし、下痢を悪化させる。下痢のときは、速度を遅くする、栄養剤の温度を常温に戻す、濃度を薄める、そして半固形化を検討する。加えて、感染(細菌の混入、抗菌薬による腸内細菌叢の変化)、薬剤(下剤、抗菌薬)、そして乳糖不耐といった原因も検索する。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
誤肢は、医療行為の範囲、固定の方法、そして下痢への対応という3点で誤っている。「チューブを詰まらせない」「皮膚を傷めない」「消化管に負担をかけない」という3つの目的から、それぞれの手順が導ける。家族への指導では、なぜそうするのかを添えて伝えると、実行されやすくなる。
理解を深める
胃瘻の管理を整理する。種類=チューブ型とボタン型(外部)、バルーン型とバンパー型(内部)の組み合わせで4種類になる。ボタン型は目立たず、自己抜去も少ないが、接続の操作が要る。バルーン型は交換が容易だが、耐久性が短い。注入=①上体を30〜45度以上挙上し、注入後も30分から1時間はその姿勢を保つ、②栄養剤は常温から体温程度、③速度を守る(速いと下痢とダンピング様の症状)、④注入の前に胃内の残留を確認する、⑤注入の後に白湯でフラッシュする、⑥薬は、簡易懸濁法(55℃程度の湯に10分ほど浸けて崩壊させる)を用い、注入の前後に白湯を通す。瘻孔の管理=①毎日、周囲の皮膚を洗浄して乾燥させる(消毒は原則として不要)、②発赤、びらん、滲出液、不良肉芽、そして出血を観察する、③ストッパーの位置と締め具合を確認する(1〜2cmの余裕)、④固定の向きを変える、⑤入浴は可能(瘻孔が完成していれば、そのまま湯につかれる)。合併症=瘻孔周囲の皮膚炎、不良肉芽、バンパー埋没症候群、チューブの閉塞と自己抜去(抜けた場合は、瘻孔が数時間で閉じ始めるため、直ちに連絡する)、逆流と誤嚥、下痢と便秘、そして脱水。家族への指導=手順だけでなく、困ったときの連絡先と、緊急時の対応(自己抜去、閉塞、発熱、嘔吐)をあらかじめ伝えておく。
間違えやすい考え方
指導を問う型で、誤肢が医療行為の範囲・固定の方法・下痢への対応で誤っている。3つの目的から導く。
5分で振り返る
①栄養剤は粘稠で、チューブに残ると固まって閉塞し、細菌も増える。注入後に白湯30〜50mL程度でフラッシュする。②チューブの交換は医療行為で、家族は行わない。交換の目安は内部固定板の型で決まり、バルーン型がおよそ1〜2か月、バンパー型がおよそ4〜6か月。外形(チューブ型・ボタン型)とは別の軸なので、製品の添付文書で確認する。③同じ位置での固定は、皮膚のびらんと不良肉芽、そしてバンパー埋没症候群を招く。位置と向きを日ごとに変え、1〜2cmの余裕を持たせる。④下痢のときは速度を遅くする(速めるのは逆)。温度、濃度、半固形化も検討し、感染と薬剤の原因も探る。⑤注入時は上体を30〜45度以上挙上し、注入後も30分〜1時間保つ。⑥薬は簡易懸濁法を用いる。⑦自己抜去では瘻孔が数時間で閉じ始めるため、直ちに連絡する。
1分チェック
- 胃瘻では注入の後に。→ 白湯を注入する(チューブの閉塞と細菌の増殖を防ぐ)。
この問題に対応する教材の確認中です。