咀嚼運動にかかわる脳神経はどれか。
公式正答:3
解説
噛む筋肉を動かしているのは三叉神経の第3枝(下顎神経)。三叉神経は顔の知覚神経という印象が強いが、咀嚼筋への運動線維も含む混合神経である点が問われている。
この問題で問われていること
三叉神経が混合神経であること、そして運動成分がどこへ行くかを知っているか。他の選択肢はいずれも純粋な感覚神経か眼球運動の神経で、咀嚼とは無関係。
しくみから理解する
三叉神経(V)は橋から出て三叉神経節(半月神経節)で3枝に分かれる。第1枝の眼神経と第2枝の上顎神経は純粋な知覚枝だが、第3枝の下顎神経だけが知覚線維に加えて運動線維をもつ。この運動線維が咀嚼筋——咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋——を支配する。口を閉じる(噛みしめる)のが咬筋・側頭筋・内側翼突筋、口を開けたり下顎を前や横へ動かすのが外側翼突筋。加えて顎二腹筋前腹と顎舌骨筋も下顎神経が支配する。 【接地元】人体の構造と機能 第5版 脳神経、解剖学の講義録(桂先生)
選択肢ごとの確認
におい専用の感覚神経(I)。運動成分をもたない。
眼球運動の神経(IV)で、上斜筋だけを支配する。12対のなかで唯一、脳幹の背側から出る。
第3枝の下顎神経が咀嚼筋(咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋)を支配する。
眼球運動の神経(III)で、上直筋・下直筋・内側直筋・下斜筋と上眼瞼挙筋を支配し、副交感成分で瞳孔括約筋と毛様体筋も動かす。咀嚼には関係しない。
聴覚と平衡覚の感覚神経(VIII)。運動成分をもたない。
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混同しやすいポイント
顔の筋肉といえば顔面神経、という強い連想があるため三叉神経を選びにくい。顔面神経(VII)が支配するのは表情筋であって咀嚼筋ではない。「表情をつくる=顔面神経、噛む=三叉神経」と用途で分ける。
理解を深める
三叉神経は知覚領域も問われる。第1枝は前頭部から上眼瞼まで、第2枝は下眼瞼から上唇まで、第3枝は下唇から下顎まで(ただし下顎角の皮膚は頸神経叢の大耳介神経が担当し、三叉神経の領域から外れる)。角膜反射の求心路は三叉神経第1枝、遠心路は顔面神経で、この2つを組み合わせて脳幹の機能を調べる。三叉神経痛は第2枝・第3枝に多い。
間違えやすい考え方
「顔=顔面神経」の連想を利用した型。顔面神経は表情筋・涙腺・唾液腺(顎下腺と舌下腺)・舌前方2/3の味覚を担当し、咀嚼筋は担当しない。
5分で振り返る
三叉神経(V)は橋から出る混合神経。第1枝眼神経・第2枝上顎神経は知覚のみ、第3枝下顎神経だけが運動線維をもち、咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋の4つの咀嚼筋を支配する。顔面神経(VII)は表情筋・涙腺・顎下腺と舌下腺・舌前方2/3の味覚。角膜反射は求心路が三叉神経第1枝、遠心路が顔面神経。
1分チェック
- 咀嚼筋を支配する神経はどれか
- 咀嚼筋を4つ挙げられるか
- 三叉神経の3つの枝のうち運動線維をもつのはどれか
- 顔面神経が支配するのは何か
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