次の文を読み、問いに答えよ。Aちゃん(生後24日、女児)は両親と3人暮らし。母親が母子健康手帳の便色カードを見て、Aちゃんの便色が気になったため、Aちゃんを連れて近所の小児科医院を受診した。Aちゃんは在胎39週、出生体重3,100g、出生時に異常はない。現在、混合栄養で体重は3,700gである。体温37.2℃、呼吸数36/分、心拍数108/分、整、血圧78/44mmHg。眼球結膜に黄染を認める。血液検査結果:Hb12.6g/dL、白血球7,800/μL、血小板21万/μL、プロトロンビン時間〈PT〉88%、総ビリルビン11.3mg/dL、直接ビリルビン9.5mg/dL、AST96U/L、ALT126U/L。紹介先の病院で腹部超音波検査を実施した結果、Aちゃんは胆道閉鎖症biliaryatresiaの疑いがあり入院した。
術後5日、A ちゃんは経口摂取が可能になり順調に経過している。医師から母 親に、胆汁の排泄を促すために利胆薬の内服が重要であると説明があり、散剤が処 方された。母親から看護師に「赤ちゃんに粉の薬をどうやって飲ませたらよいので しょうか」と質問があった。看護師は散剤を( )に混ぜて飲ませることを説明し た。 ( )に入るのはどれか。
公式正答:2
解説
利胆薬の散剤を乳児に飲ませる方法について、何に混ぜるかを問う。白湯である。
この問題で問われていること
乳児への与薬で、避けるべきものを判断できるか。
しくみから理解する
散剤は、少量の白湯で練って団子状にし、頬の内側または上顎に塗りつけて、その後に水または乳汁を飲ませる方法がとられる。あるいは、少量の白湯に溶かしてスポイトまたは哺乳瓶の乳首で飲ませる。白湯を用いる理由は、①他の成分と反応せず、薬の効果に影響しない、②味と匂いを変えないため、特定の食品への嫌悪を生じさせない、③常に用意でき、量も調整しやすい、になる。加えて、薬を混ぜる量は少量にとどめる(多いと飲みきれず、必要な量が入らない)。
選択肢ごとの確認
果汁に混ぜることは適さない。酸性の果汁は、薬によっては苦味を強める(とくにマクロライド系抗菌薬のドライシロップ)、また薬の性質を変えることがある。加えて、グレープフルーツ果汁は薬物の代謝を妨げる。乳児期の果汁は、栄養学的にも必要でないとされている。
人工乳(ミルク)に混ぜることも適さない。①ミルクの味が変わり、その後ミルクそのものを嫌がるようになる可能性がある、②量が多く飲みきれないと、必要な薬の量が入らない、③薬の成分がミルクと反応することがある。ミルクは栄養の中心であり、それを嫌がるようになれば、栄養の問題に直結する。
はちみつは、1歳未満の乳児には絶対に与えてはならない。はちみつには、ボツリヌス菌の芽胞が含まれていることがあり、腸内細菌叢が未熟な乳児では、腸管内で発芽して毒素を産生し、乳児ボツリヌス症を起こす。便秘、哺乳力の低下、泣き声の弱まり、筋緊張の低下、そして呼吸障害をきたし、死亡することもある。この禁忌は、与薬の場面に限らず、離乳食全般で守られるべき原則になる。
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混同しやすいポイント
誤肢のうち、はちみつは明確な禁忌であり、絶対に避ける。人工乳は、栄養の中心を嫌がらせる危険があるため避ける。果汁は、味と薬の性質への影響から適さない。「薬に影響せず、他のものを嫌わせない」という基準で、白湯が選ばれる。
理解を深める
小児への与薬を整理する。剤形=散剤(顆粒、細粒)、シロップ、そして錠剤とカプセル(学童以降)。散剤の飲ませ方=①少量の白湯で練って団子状にし、頬の内側または上顎に塗り、水または乳汁で流す(乳児)、②少量の白湯に溶かして、スポイト、哺乳瓶の乳首、またはスプーンで飲ませる、③服薬補助のゼリーとムースを使う(幼児以降)、④アイスクリームとプリンに混ぜる(味を隠せるが、その食品を嫌がるようになる可能性を考える)。避けるもの=はちみつ(1歳未満は禁忌)、ミルクと主食(嫌がるようになる)、果汁(薬によっては苦味が増す)。注意=①与薬の前後に授乳する場合、満腹だと飲まない、空腹すぎると機嫌が悪いため、タイミングを工夫する、②嘔吐したときの対応(どの程度時間が経ったか、再度飲ませるかを医師に確認する)、③無理に押さえつけて飲ませることは、次回以降の抵抗を強めるため避ける、④飲めたことをほめる、⑤保護者が確実に実施できるよう、実際にやってみてもらう。年齢が上がれば、なぜ薬が必要かを本人に説明し、自分で飲めるよう支える。学童期以降は、自己管理へ移行する準備を始める。
間違えやすい考え方
与薬の方法を問う型で、誤肢に明確な禁忌(はちみつ)が含まれる。薬に影響せず他を嫌わせないという基準で切る。
5分で振り返る
①散剤は、少量の白湯で練って団子状にし、頬の内側または上顎に塗って、水または乳汁で流す。あるいは少量の白湯に溶かして飲ませる。②白湯を用いる理由=薬に影響しない、味と匂いを変えない、量を調整しやすい。③混ぜる量は少量にとどめる(多いと飲みきれない)。④はちみつは1歳未満に禁忌。ボツリヌス菌の芽胞により乳児ボツリヌス症を起こす(便秘、哺乳力の低下、筋緊張の低下、呼吸障害)。⑤人工乳に混ぜると、ミルクそのものを嫌がるようになり、栄養の問題に直結する。⑥果汁は、薬によっては苦味を強め、性質を変えることもある。⑦無理に押さえつけて飲ませない。飲めたことをほめる。
1分チェック
- 乳児に散剤を飲ませるときは。→ 白湯に混ぜる(はちみつは1歳未満に禁忌)。
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