次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(30歳、初産婦)はX年2月5日に妊婦健康診査のために来院した。X年2月のカレンダーにAさんの受診日と分娩予定日を示す。
A さんにLeopold〈レオポルド〉触診法で触診を行ったところ、第2胎向で、子宮 底付近にやや柔らかい球状の塊を、恥骨結合側に硬い球状のものを触れた。 腹部前面を図に示す。 A さんの胎児心音聴取部位で適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
レオポルド触診法の所見(第2胎向、子宮底付近にやや柔らかい球状の塊、恥骨結合側に硬い球状のもの)から、胎児心音の聴取部位を問う。母体の右下腹部にあたる③である。
この問題で問われていること
胎位と胎向から、胎児心音が最もよく聴こえる場所を導けるか。
しくみから理解する
胎児心音は、胎児の背中側から最もよく聴こえる。したがって、聴取部位は、①胎位(縦位か横位か、頭位か骨盤位か)と、②胎向(児背が母体の左を向くか右を向くか)から決まる。この事例では、子宮底付近にやや柔らかい球状の塊=殿部、恥骨結合側に硬い球状のもの=児頭であり、頭位になる。加えて第2胎向は、児背が母体の右側を向くことを意味する。頭位では児背が母体の下方に位置するため、聴取部位は臍より下になる。両者を合わせると、母体の右下腹部になり、図では③がそこにあたる。
選択肢ごとの確認
①は該当する位置ではない。左上腹部は、骨盤位で第1胎向の場合の聴取部位にあたる。
②も該当しない。右上腹部は、骨盤位で第2胎向の場合の聴取部位にあたる。
④も該当しない。左下腹部は、頭位で第1胎向の場合の聴取部位にあたる。
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混同しやすいポイント
覚え方は、「上下は胎位、左右は胎向」になる。頭位なら臍より下、骨盤位なら臍より上。第1胎向なら母体の左、第2胎向なら母体の右。この2つを掛け合わせて4通りになり、選択肢の4か所と対応する。混同しやすいのは、胎向が「児背の向き」を指す点になる。児の左右ではなく、児の背中が母体のどちら側を向いているかで決まる。
理解を深める
レオポルド触診法を整理する。第1段=子宮底の高さと、子宮底にあるものを調べる。殿部はやや柔らかく大きく不規則、児頭は硬く球状で滑らか。第2段=子宮の側面を触れ、胎向と胎児の背中の位置を調べる。背中側は平坦で抵抗があり、四肢側は小さな凹凸を触れる。第3段=恥骨結合の上を触れ、下降部(先進部)が児頭か殿部かを調べる。第4段=両手を骨盤の方へ向けて、児頭の下降の程度を調べる。用語=胎位は児の縦軸と母体の縦軸の関係(縦位=頭位・骨盤位、横位、斜位)。胎向は児背が母体のどちら側を向くか(第1胎向=左、第2胎向=右)。胎勢は児の姿勢(屈位が正常、反屈位は異常)。分娩時の児頭の向きは、児頭の後頭部がどこを向くかで表す。分娩の経過=正常な分娩では、児頭が骨盤の入口を横向きに通り、回旋しながら下降し、後頭部が前方を向いて娩出される。実際の観察=現在は超音波検査で胎位と胎向を確認できるが、レオポルド触診法は器械を要さず、いつでもどこでも行えるため、基本の技術として残る。心音の聴取=ドプラ法(超音波)または胎児心音聴取器を用いる。正常な胎児心拍数は110〜160bpm。聴取のときは、母体の脈と区別する(同時に母体の橈骨動脈を触れて確認する)。
間違えやすい考え方
触診の所見から位置を導く型で、誤肢が他の3通りの組み合わせである。上下は胎位、左右は胎向で切る。
5分で振り返る
①胎児心音は胎児の背中側から最もよく聴こえる。②上下は胎位で決まる。頭位なら臍より下、骨盤位なら臍より上。③左右は胎向で決まる。第1胎向は母体の左、第2胎向は母体の右。④子宮底の柔らかい球状の塊は殿部、恥骨結合側の硬い球状のものは児頭。合わせて頭位になる。⑤レオポルド触診法は4段階(子宮底、側面、下降部、下降の程度)。⑥胎位=児の縦軸と母体の縦軸の関係。胎向=児背の向き。胎勢=児の姿勢。⑦正常な胎児心拍数は110〜160bpm。母体の脈と区別する。
1分チェック
- 頭位・第2胎向の胎児心音は。→ 母体の右下腹部。
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