次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(34歳、初産婦)は順調な妊娠経過であった。妊娠40週5日の午前8時、10分毎の規則的な子宮収縮を主訴に来院し、医師の診察の結果、入院となった。入院時の胎児心拍数基線は130bpm、胎児の推定体重は3,300gであった。
午後0時、助産師が内診したところ、子宮口開大4cm であった。A さんは陣痛 発作時に腰痛を強く訴えている。A さんの夫(37 歳)は、夫婦で出産体験を共有し たいと両親学級を受講しており、入院時からA さんに付き添っている。夫はA さ んの陣痛発作時、心配そうにA さんの様子を見つめているが、陣痛間欠時にはう とうとしている。訪室した看護師に、夫から「妻が痛がっているのですが、どうす ればよいでしょう」と質問があった。胎児心拍数基線は140 bpm であった。 このときの看護師の夫への対応で最も適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
腰痛を強く訴える産婦に付き添う夫から「どうすればよいでしょう」と質問された際の対応を問う。産痛を緩和するためのマッサージの実施を促すことである。
この問題で問われていること
「何をすればよいか」という問いに、行動として応えられるか。
しくみから理解する
この夫の問いは、「妻のために自分に何ができるか」を尋ねている。したがって、実際にできる具体的な行動を示すことが直接の応えになる。産婦は陣痛発作時に腰痛を強く訴えており、腰背部の圧迫とマッサージは、この痛みに対して有効で、夫が今この場でできることでもある。加えて、この夫は両親学級を受講し、出産体験を共有したいと考えている。役割を得ることで、不安が和らぎ、出産に参加している実感も得られる。産痛の緩和は、薬物によらない方法から始めるのが基本であり、マッサージ、圧迫、体位の工夫、温罨法、呼吸法が中心になる。
選択肢ごとの確認
別室での休憩を促すことは、この時点では適切でない。夫は出産体験を共有したいと考えており、そばにいることを望んでいる。陣痛間欠時にうとうとするのは自然なことで、休息をとりながら付き添えるよう環境を整えればよい。分娩は長時間に及ぶため、夫の休息も必要になるが、いま質問に応えるべきことは、そばにいてできることになる。
分娩経過について説明することは、有用ではあるが、この問いへの直接の応えではない。「どうすればよいか」と行動を尋ねているのに、情報だけを返すと、夫は依然として何もできないまま見守ることになる。説明は、行動を示したうえで、あわせて行う。
病棟内を歩行するように促すことも、この場面では最も適切とはいえない。歩行は分娩の進行を助ける場合があるが、実施の可否は分娩の進行と母児の状態にもとづいて判断されるべきもので、看護師が夫に促す形にはならない。加えて、腰痛を強く訴えている状況では、まず痛みへの対応が先になる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、そばから離す、情報だけを返す、そして別の行動を促すものになる。問いの言葉に立ち返り、「いま、ここで、この人ができること」を示す。加えて、マッサージは看護師が実際にやってみせ、夫に手を添えて教えることで、確実にできるようになる。「やってみましょう」と言うだけでは、方法が分からず実行できないことがある。
理解を深める
分娩期の産痛の緩和と、家族への支援を整理する。産痛=第1期は子宮の収縮と子宮口の開大による内臓痛で、下腹部と腰背部に放散する。第2期は児頭の下降による会陰と骨盤底の圧迫で、部位が明確な体性痛になる。薬物によらない緩和=①マッサージと圧迫(腰背部、仙骨部を陣痛発作に合わせて圧迫する。テニスボールを用いることもある)、②体位の工夫(側臥位、四つ這い、坐位、立位。楽な姿勢をとる)、③温罨法(腰背部を温める)、④呼吸法(ゆっくりとした深い呼吸。過換気に注意する)、⑤足浴と入浴(破水後は入浴を避ける)、⑥音楽と照明の調整、⑦タッチと声かけ、⑧イメージ法。薬物による緩和=硬膜外麻酔(無痛分娩)。夫・パートナーへの支援=①役割を具体的に示す(マッサージ、水分を渡す、汗を拭く、手を握る、声をかける)、②やり方を実際に見せて教える、③産婦の様子と経過を説明し、いま何が起きているかを伝える、④休息と食事を促す、⑤不安を受け止める(初めての出産では、夫も強い不安を抱く)、⑥立ち会いを望まない場合も尊重する。夫が出産に参加できた体験は、その後の育児への関わりと、家族としての関係に良い影響を与えることが知られている。看護師の役割は、夫を見学者にせず、参加者にすることになる。
間違えやすい考え方
対応を問う型で、誤肢がそばから離す・情報だけ返す・別の行動を促すものである。問いの言葉に応える行動で切る。
5分で振り返る
①問いは「自分に何ができるか」。具体的な行動を示すことが直接の応えになる。②腰痛を強く訴えており、腰背部の圧迫とマッサージが有効で、夫が今できることでもある。③産痛の緩和は薬物によらない方法から。マッサージ、圧迫、体位、温罨法、呼吸法。④第1期の産痛は内臓痛で下腹部と腰背部に放散、第2期は会陰と骨盤底の体性痛。⑤破水後は入浴を避ける。⑥夫への支援=役割を示す、やり方を見せて教える、経過を説明する、休息を促す、不安を受け止める。⑦夫を見学者にせず参加者にする。出産への参加は、その後の育児への関わりに良い影響を与える。
1分チェック
- 「どうすればよいか」と尋ねる夫には。→ できることを示す(腰背部のマッサージ)。
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