次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(68歳、男性、自営業)は、妻(73歳)と2人暮らし。Aさんの就寝時刻は21時で、入眠後90分以上が経過した睡眠中に、大声で叫び、腕や足を振り回し暴れる行動が繰り返しみられたが、昼寝では夜間のような行動はみられない。日中、台所で子どもが遊んでいると言い、妻が台所を確認しても誰もいないことが何度かあった。心配になった妻がAさんとともに病院を受診し、Lewy〈レビー〉小体型認知症dementiawithLewybodiesと診断された。
A さんの入院中に妻は自営業の仕事を減らし、自宅でA さんを介護する準備を 整えた。A さんが退院し、3か月が経過したころ、A さんの妻が3週間程度の予 定で入院して手術をすることになった。A さんは杖を使用し散歩ができるが、入 浴や食事については妻が介護を行っていた。 妻の入院中にA さんに必要なサービスはどれか。
公式正答:1
解説
妻が3週間程度入院するあいだ、杖を使って散歩はできるが入浴と食事に介護を要する認知症の夫に必要なサービスを問う。短期入所である。
この問題で問われていること
介護者が一時的に不在になる状況に、どの制度が対応するかを判断できるか。
しくみから理解する
短期入所生活介護および短期入所療養介護は、介護保険の居宅サービスとして、施設に短期間入所し、日常生活の世話と機能訓練を受けるものになる。介護者の病気、入院、冠婚葬祭、出張、そして休息を目的として利用でき、まさにこの事例の状況に当たる。利用の日数には上限があり、連続して30日まで、また要介護認定の期間の半数を超えないことが原則になる。3週間であればこの範囲に収まる。介護者の休息を目的とする利用は、介護を続けられるようにするうえで重要な役割を持つ。
選択肢ごとの確認
精神科病院への入院は適さない。入院は、精神症状の治療を要する場合に行われるものであり、介護者の不在を理由とするものではない。この患者は、退院して自宅で生活しており、症状のために入院を要する状態ではない。生活の場を医療機関に求めることは、認知症の悪化と、生活機能の低下を招く。
重度訪問介護は、障害者総合支援法にもとづくサービスで、重度の肢体不自由、または重度の知的障害・精神障害があり、常時の介護を要する人に対して、居宅での介護と外出の支援を長時間にわたり総合的に行うものになる。この患者は杖を使って散歩ができ、常時の介護を要する状態ではない。加えて、65歳以上で要介護認定を受けている場合、介護保険のサービスが優先される。
同行援護は、視覚障害により移動に著しい困難がある人に対して、外出時に同行し、移動の援護と情報の提供を行うものになる。この患者に視覚障害はなく、該当しない。
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混同しやすいポイント
誤肢のうち、重度訪問介護と同行援護は、いずれも障害者総合支援法にもとづくサービスで、対象となる障害が異なる。名称から対象を思い出せるようにしておく。制度を選ぶときは、①どの法にもとづくか、②対象は誰か、③何を提供するか、の3つで整理する。この設問では、「介護者が一時的に不在になる」という状況に、そのまま対応する制度を選ぶ。
理解を深める
介護保険の居宅サービスを整理する。訪問系=訪問介護(身体介護と生活援助)、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導。通所系=通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)。短期入所系=短期入所生活介護(福祉施設に短期入所)、短期入所療養介護(医療機関と介護老人保健施設に短期入所。医療的な管理を要する場合)。その他=福祉用具の貸与と購入、住宅改修、特定施設入居者生活介護。地域密着型=小規模多機能型居宅介護(通い・泊まり・訪問を一体で提供)、認知症対応型通所介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護。介護者への支援=①短期入所による休息、②通所サービスによる日中の時間の確保、③家族会と介護者の集い、④相談窓口(地域包括支援センター、認知症疾患医療センター、認知症の人と家族の会)、⑤認知症カフェ、⑥認知症初期集中支援チーム。介護者の負担=身体的(介護の労力、睡眠不足)、精神的(先の見えなさ、行動への対応、喪失感)、社会的(仕事、外出、人づきあいの制限)、経済的。介護者が倒れれば在宅の生活は続かないため、介護者を支えることは、本人を支えることと同じ重みを持つ。制度の利用は、介護支援専門員が作成する計画にもとづいて行われるため、変化があれば早めに相談することを伝える。
間違えやすい考え方
制度を選ぶ型で、誤肢が別の法にもとづくサービスと、入院である。状況にそのまま対応する制度で切る。
5分で振り返る
①短期入所は、施設に短期間入所して日常生活の世話と機能訓練を受ける介護保険の居宅サービス。②介護者の病気、入院、冠婚葬祭、出張、休息を理由に利用できる。③連続30日まで、要介護認定の期間の半数を超えないことが原則。④短期入所生活介護(福祉施設)と短期入所療養介護(医療的な管理を要する場合)がある。⑤入院は精神症状の治療を要する場合のもので、介護者の不在を理由としない。⑥重度訪問介護は、重度の肢体不自由など常時の介護を要する人が対象(障害者総合支援法)。⑦同行援護は視覚障害のある人の外出支援。⑧65歳以上で要介護認定があれば介護保険が優先される。
1分チェック
- 介護者が一時的に不在になるときは。→ 短期入所(介護保険の居宅サービス)。
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