次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(73歳、女性)は夫(73歳)と2人暮らし。6年前にParkinson〈パーキンソン〉Parkinsondisease病と診断され、レボドパ〈L-dopa〉を1日3回内服している。Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉重症度分類のステージⅢ、要介護1である。夫が付き添い神経内科外来に月1回、杖歩行で通院している。外来受診のとき、Aさんは足がすくんで転びやすくなったことを主治医に相談し、レボドパ〈L-dopa〉を1日4回に増量して様子を見ることになった。Aさんと夫は薬の副作用〈有害事象〉について外来看護師に尋ねた。
外来看護師がA さんと夫に説明する副作用〈有害事象〉の内容で正しいのはどれ か。
公式正答:4
解説
パーキンソン病でレボドパを増量することになった73歳女性と夫に説明する副作用を問う。不随意運動である。
この問題で問われていること
レボドパの長期使用と増量に伴って現れる問題を知っているか。
しくみから理解する
レボドパは、脳内でドパミンに変換されて作用する。長期に使用し、また用量が増えると、ジスキネジアと呼ばれる不随意運動が現れる。口をもぐもぐ動かす、首や体幹をゆらゆらと動かす、四肢が勝手に動くといった、本人の意思によらない動きになる。血中濃度が高くなる時間帯に現れることが多く、増量した際にはとくに注意する。加えて、長期の使用では、薬の効果が続く時間が短くなり、効いている時間と効いていない時間の差がはっきりする現象、そして服薬の時間と関係なく急に動けなくなる現象も現れる。
選択肢ごとの確認
低血糖はレボドパの副作用ではない。低血糖は、糖尿病治療薬(インスリン、スルホニル尿素薬)で問題になる。
体重増加も主な副作用ではない。むしろパーキンソン病では、嚥下障害、食欲の低下、そして不随意運動によるエネルギーの消費により、体重が減少しやすい。体重増加が問題になるのは、一部のドパミン受容体作動薬で生じる衝動制御障害(過食、買い物、賭博)に伴う場合になる。
呼吸器症状も主な副作用ではない。パーキンソン病では、進行に伴う嚥下障害から誤嚥性肺炎を起こしやすいが、これは薬の副作用ではなく、疾患の経過によるものになる。
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混同しやすいポイント
レボドパの副作用は、①消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振。服用開始時に多い)、②起立性低血圧、③不随意運動、④幻覚と妄想、⑤日中の眠気、⑥効果の変動、に整理できる。誤肢は、いずれも他の薬または疾患そのものに関わるもので、レボドパとは結びつかない。増量の説明では、期待される効果と合わせて、注意すべき変化を具体的に伝え、現れたら受診するよう促す。
理解を深める
パーキンソン病を整理する。病態=中脳黒質のドパミン神経細胞が変性し、線条体へのドパミンが不足する。四大徴候=①安静時振戦(丸薬を丸めるような動き。動作時には減る)、②筋強剛(歯車様、鉛管様)、③無動・寡動(動作の緩慢、仮面様顔貌、小声、小字症)、④姿勢反射障害(立ち直りが遅れ、転びやすい)。歩行=小刻み歩行、すくみ足(歩き始め、方向転換、狭い場所で足が出ない)、突進現象、前傾前屈姿勢。非運動症状=便秘、起立性低血圧、排尿障害、発汗の異常、嗅覚の低下、睡眠障害(レム睡眠行動障害)、抑うつ、認知機能の低下、疲労。重症度分類=ステージ1(片側のみ)、2(両側だが姿勢反射障害なし)、3(姿勢反射障害あり。日常生活はおおむね自立)、4(起立と歩行はかろうじて可能。介助を要する)、5(車椅子または寝たきり)。ステージ3以上で、生活機能障害度2度以上が、指定難病の医療費助成の対象になる。治療=レボドパ、ドパミン受容体作動薬、モノアミン酸化酵素阻害薬、カテコール-O-メチル基転移酵素阻害薬、抗コリン薬、ドロキシドパ、アマンタジン。進行例では脳深部刺激療法。服薬の注意=①時間を守る(血中濃度の変動が症状に直結する)、②たんぱく質はレボドパの吸収と競合するため、運動症状の日内変動が確認されている人では、栄養士の評価のもとで摂取の時期をずらすことがある。1日のたんぱく質の総量は減らさない(減らすと低栄養とサルコペニアを招く)。内服する人すべてに一律に行う指導ではない、③自己判断で中止しない(悪性症候群の危険)。看護=転倒の予防、すくみ足への対処(かけ声、床の目印、またぐ動作)、嚥下と栄養、便秘、動作の時間を確保する、そして症状の日内変動に合わせた生活の組み立て。
間違えやすい考え方
副作用を問う型で、誤肢が他の薬・他の疾患に関わるものである。ドパミンの作用から導いて切る。
5分で振り返る
①レボドパは脳内でドパミンに変換されて作用する。②長期使用と増量で、ジスキネジア(不随意運動)が現れる。口をもぐもぐ動かす、首や体幹の動揺、四肢の勝手な動き。血中濃度が高い時間帯に多い。③長期使用では、効果の持続時間が短くなり、効いている時間と効いていない時間の差がはっきりする。④その他の副作用=悪心・嘔吐、起立性低血圧、幻覚と妄想、日中の眠気。⑤パーキンソン病では体重は減少しやすい。⑥誤嚥性肺炎は疾患の経過によるもので、薬の副作用ではない。⑦服薬の注意=時間を守る、自己判断で中止しない(悪性症候群の危険)。たんぱく質の摂取時期をずらすのは、運動症状の日内変動が確認された人に対し栄養士の評価のもとで行うもので、1日の総量は減らさない。全員への既定の指導ではない。
1分チェック
- レボドパの増量で注意する副作用は。→ 不随意運動(ジスキネジア)。
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