次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(73歳、女性)は夫(73歳)と2人暮らし。6年前にParkinson〈パーキンソン〉Parkinsondisease病と診断され、レボドパ〈L-dopa〉を1日3回内服している。Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉重症度分類のステージⅢ、要介護1である。夫が付き添い神経内科外来に月1回、杖歩行で通院している。外来受診のとき、Aさんは足がすくんで転びやすくなったことを主治医に相談し、レボドパ〈L-dopa〉を1日4回に増量して様子を見ることになった。Aさんと夫は薬の副作用〈有害事象〉について外来看護師に尋ねた。
3か月後、A さんは「夫は家事を楽しんでいるようで助かっていますが、友人と 外出したいと言っています。私も最近は転ぶこともなくなったので、身体を動かし たり、レクリエーションに参加してみたいです」と訪問看護師に話した。 訪問看護師がA さんに提案するサービスで最も適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
夫が友人と外出したいと言っており、本人も身体を動かしたり集まりに参加してみたいと話す状況で提案するサービスを問う。通所介護である。
この問題で問われていること
本人の希望と介護者の希望を、同時に満たす選択ができるか。
しくみから理解する
この場面には二つの希望がある。①本人が身体を動かし、集まりに参加したい、②夫が友人と外出したい、になる。通所介護は、日中に施設へ通い、入浴、食事、機能訓練、そして他の利用者との交流の機会を得るものであり、この二つを同時に満たす。本人にとっては活動と交流の場になり、その時間帯に夫は自由に外出できる。介護者の負担を軽くする働きを持ちつつ、本人の生活の広がりにもつながる点で、この場面に最も適合する。
選択肢ごとの確認
訪問介護は、自宅へ訪問して身体介護と生活援助を行うものになる。本人が外へ出て活動したいという希望にも、夫が外出したいという希望にも、直接は応えない。
訪問入浴介護は、自宅の浴室での入浴が難しい人に対し、浴槽を持ち込んで入浴を行うものになる。対象は要介護認定と、入浴に関する必要性の評価によって決まり、杖歩行ができることが除外の要件になっているわけではない。この場面で通所介護が適するのは、本人が体を動かし集まりに参加したいという希望と、夫が外出したいという希望の2つに同時に応えられるためである。
短期入所生活介護は、施設に短期間入所するものになる。介護者の休息にはなるが、この場面で求められているのは、日中の数時間の外出であり、宿泊を伴う入所は過剰になる。
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混同しやすいポイント
サービスを選ぶときは、①誰の、②どの希望に、③どの範囲で応えるか、を確認する。この設問では、本人と介護者の両方の希望が示されており、両方に応えるものを選ぶ。通所介護と短期入所生活介護はどちらも介護者の休息につながるが、期間と場所が異なる。数時間なら通所、数日から数週間なら短期入所になる。
理解を深める
介護保険の通所サービスを整理する。通所介護=日中に施設へ通い、入浴、排泄、食事の介護、機能訓練、そしてレクリエーションと交流の機会を提供する。目的は、①心身機能の維持、②社会的な孤立の解消、③介護者の負担の軽減、の3つになる。通所リハビリテーション=介護老人保健施設、病院、診療所で行われ、医師の指示にもとづき、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によるリハビリテーションを提供する。医療的な管理とリハビリテーションを重視する場合に選ぶ。認知症対応型通所介護=認知症のある人を対象とし、少人数で手厚く関わる。地域密着型通所介護=定員18人以下の小規模なもの。パーキンソン病の人にとっての通所の意義=①定期的に体を動かす機会になる(自宅では動かなくなりがちで、動かないことがさらに機能を落とす)、②専門職による評価と訓練、③入浴の安全な機会、④他者との交流(抑うつと孤立の予防)、⑤生活のリズムをつくる、⑥介護者が自分の時間を持てる。導入の際の配慮=①症状の日内変動を伝え、動ける時間帯に合わせる、②送迎の時間と服薬の時間の調整、③転倒の危険と、すくみ足への対処法を施設に伝える、④嚥下の状態と食事の形態を伝える、⑤本人が「行きたい」と思えるようにする(見学、体験利用、内容の説明)。介護者への支援=①介護者自身の生活と健康を保つことの重要性を伝える、②休息を「怠け」と感じさせない、③家族会と相談窓口を紹介する、④役割を家族の中で分担できるよう調整する。この事例のように、介護者が自分の時間を持ちたいと言えることは、健全なことであり、それを支えることが在宅の生活を続ける条件になる。
間違えやすい考え方
サービスを選ぶ型で、誤肢が訪問系と宿泊を伴うものである。本人と介護者の両方の希望に応えるもので切る。
5分で振り返る
①この場面の二つの希望=本人が体を動かし集まりに参加したい、夫が友人と外出したい。②通所介護は、日中に施設へ通い、入浴、食事、機能訓練、交流の機会を提供する。両方の希望を同時に満たす。③訪問介護は自宅での身体介護と生活援助。外で活動したい希望に応えない。④訪問入浴介護は自宅での入浴が難しい人が対象。対象は入浴に関する必要性の評価で決まり、杖歩行ができるかどうかで除外されるわけではない。この場面では、外で活動したいという希望に応えない点で適さない。⑤短期入所は宿泊を伴い、日中数時間の外出には過剰。⑥通所介護の目的=心身機能の維持、孤立の解消、介護者の負担の軽減。⑦導入時は、日内変動、送迎と服薬の時間、転倒の危険、嚥下の状態を施設に伝える。
1分チェック
- 本人は活動したい、介護者は日中外出したい。→ 通所介護。
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