貧血の定義で正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
貧血の定義として正しいものを問う。ヘモグロビン濃度が減少していることである。
この問題で問われていること
貧血が何の減少を指すかを、正確に述べられるか。
しくみから理解する
貧血は、血液中のヘモグロビン濃度が基準値を下回った状態を指す。第111回の出題時点ではWHO 2011基準が用いられ、妊婦は妊娠時期を分けずHb 11.0g/dL未満を貧血とした。現行のWHO 2024基準では、第1・第3三半期は11.0g/dL未満、第2三半期は10.5g/dL未満である。ヘモグロビンは酸素を運ぶ役割を担うため、その濃度が下がると、組織へ運ばれる酸素が減り、易疲労感、息切れ、動悸、頭痛、めまい、そして蒼白(眼瞼結膜、爪床、口唇)が現れる。定義はあくまで濃度であり、症状や他の所見ではない点が要点になる。
選択肢ごとの確認
血圧が低下することは、低血圧であり、貧血とは別の状態になる。日本語では「貧血」という言葉が、日常では立ちくらみや脳貧血の意味で使われるため、混同されやすい。
脈拍が速くなることは、頻脈になる。貧血では、酸素の運搬を補うために脈が速くなるが、これは結果として現れる症状であり、定義ではない。
立ち上がると失神を起こすことは、起立性低血圧による失神になる。急に立ち上がったときに脳への血流が一時的に減って起こるもので、貧血とは機序が異なる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも日常語の「貧血」と混同されやすいものになる。「立ちくらみ=貧血」ではない点を、患者への説明でも意識する。加えて、赤血球数の減少ではなくヘモグロビン濃度の減少で定義される点も押さえる。赤血球数が正常でも、ヘモグロビン濃度が低ければ貧血になる(鉄欠乏性貧血の初期など)。また、脱水では血液が濃縮されてヘモグロビン濃度が見かけ上高くなり、貧血が隠れることがある。
理解を深める
貧血を整理する。分類(赤血球の大きさによる)=①小球性低色素性=鉄欠乏性貧血、鉄芽球性貧血、サラセミア、慢性疾患に伴う貧血の一部。②正球性正色素性=溶血性貧血、再生不良性貧血、急性出血、腎性貧血、慢性疾患に伴う貧血。③大球性=ビタミンB12欠乏(悪性貧血、胃切除後)、葉酸欠乏、骨髄異形成症候群。主な貧血=①鉄欠乏性貧血=最も多い。原因は、月経過多、消化管出血、妊娠、成長、偏った食事、胃切除後。所見は、血清鉄の低下、フェリチンの低下、総鉄結合能の上昇。症状として、さじ状爪、口角炎、舌炎、異食症。治療は鉄剤(吸収を高めるため空腹時が望ましいが、胃腸症状があれば食後。お茶による吸収の阻害は現在では大きな影響はないとされる)。ヘモグロビンが回復した後も、貯蔵鉄を満たすため数か月続ける。②巨赤芽球性貧血=ビタミンB12または葉酸の欠乏。悪性貧血は、胃の壁細胞に対する自己抗体により内因子が失われ、ビタミンB12が吸収されなくなるもの。神経症状(深部感覚の障害、しびれ)を伴う。葉酸欠乏では神経症状は出にくい。③再生不良性貧血=造血幹細胞の障害により、赤血球、白血球、血小板のすべてが減る。指定難病。④溶血性貧血=赤血球の破壊が亢進する。黄疸、脾腫、間接ビリルビンの上昇、網赤血球の増加。⑤腎性貧血=腎からのエリスロポエチンの産生が減る。看護=①酸素の需要を減らす(休息、活動の調整)、②転倒の予防(めまい、ふらつき)、③食事の指導(鉄、タンパク質、ビタミンC)、④服薬の継続(鉄剤で便が黒くなることを説明する)、⑤出血源の検索が必要な場合の説明、⑥息切れと動悸の観察。
間違えやすい考え方
定義を問う型で、誤肢が日常語の貧血と混同されやすいものである。ヘモグロビン濃度で切る。
5分で振り返る
①貧血=血液中のヘモグロビン濃度が基準値を下回った状態。第111回の出題時点ではWHO 2011基準が用いられ、妊婦は妊娠時期を分けずHb 11.0g/dL未満を貧血とした。現行のWHO 2024基準では、第1・第3三半期は11.0g/dL未満、第2三半期は10.5g/dL未満である。③症状=易疲労感、息切れ、動悸、頭痛、めまい、蒼白(眼瞼結膜、爪床、口唇)。④頻脈は酸素運搬を補う結果であり、定義ではない。⑤立ちくらみは起立性低血圧による失神で、機序が異なる。日常語の「貧血」と混同しない。⑥赤血球数が正常でもヘモグロビン濃度が低ければ貧血になる。⑦脱水では血液が濃縮され、ヘモグロビン濃度が見かけ上高くなり貧血が隠れる。⑧鉄欠乏性貧血が最も多い。さじ状爪、口角炎、舌炎、異食症。鉄剤はヘモグロビン回復後も貯蔵鉄を満たすため数か月続ける。
1分チェック
- 貧血の定義は。→ ヘモグロビン濃度の減少(男性13、女性12、妊婦11g/dL未満)。
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