若年者よりも高齢者が熱中症を起こしやすい理由はどれか。
公式正答:3
解説
高齢者は暑さを感じにくく、汗もかきにくく、渇きも覚えにくい。体温調節の自動的な仕組みが全体に鈍っている。
この問題で問われていること
加齢による体温調節機能の変化を、感知・調節・行動の各段階で言えるか。
しくみから理解する
加齢に伴い、皮膚の温度受容器の感度が落ちて暑さを感じにくくなる。発汗が始まる体温(発汗閾値)が高くなり、活動する汗腺1個あたりの発汗量が低下するため、汗の量が減る。活動する汗腺の数そのものは比較的保たれる。皮膚血管の拡張反応も鈍くなり、放熱が進まない。加えて口渇中枢の感受性が低下して喉の渇きを覚えにくくなり、体内の水分量(特に細胞内液)も減っているため脱水になりやすい。腎臓の尿濃縮力も落ちるので水分を保持しにくい。これらが重なって、暑熱環境で体温が上がっても下げられず熱中症に至る。
選択肢ごとの確認
加齢では基礎代謝も筋肉量も減るため、熱産生はむしろ低下する。だから高齢者は寒さにも弱い。
発汗と皮膚血管拡張が鈍るので放熱はむしろ低下する。放熱が増えるなら熱中症にはなりにくい。
発汗・皮膚血管拡張という自動的な放熱反応が鈍る。
セットポイントが下がるなら体はもっと熱を逃がそうとするので、熱中症の説明にならない。加齢でセットポイントが系統的に下がるという事実もない。
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混同しやすいポイント
「熱放散量の増加」が誤りである理由を、方向で考えると分かる。熱中症は体温が下げられずに起こる。放散が増えるなら体温は下がるので、熱中症の理由にならない。設問が結果(熱中症になりやすい)を示しているとき、その結果を招く向きの選択肢を選ぶ。
理解を深める
高齢者の熱中症予防には、感じる力が落ちていることを前提にした関わりが要る。喉が渇く前の定時の水分摂取、室温の数値による管理(体感に頼らない)、エアコンの使用をためらわない働きかけ。高齢者の熱中症は自宅の居室で起こる例が目立ち、エアコンを使っていない状況が危険な条件になる。割合として述べるときは、対象年と地域を特定した公的資料で確認する。また利尿薬・抗コリン薬(発汗抑制)・β遮断薬などの内服が体温調節をさらに妨げることがある。
間違えやすい考え方
結果(熱中症になりやすい)を示して原因を選ばせる型。選択肢の向きが結果と矛盾していないかを確認すれば2つは即座に落とせる。
5分で振り返る
加齢による変化=皮膚温度受容器の感度低下(暑さを感じにくい)、発汗閾値の上昇と、活動する汗腺1個あたりの発汗量の低下(汗をかきにくい。活動する汗腺の数そのものは比較的保たれる)、皮膚血管拡張反応の低下(放熱しにくい)、口渇中枢の感受性低下(渇きを覚えにくい)、体内水分量の減少、腎の尿濃縮力低下。熱産生も放熱も低下しているので暑さにも寒さにも弱い。予防は体感に頼らず、定時の水分摂取と室温の数値管理。
1分チェック
- 高齢者が熱中症になりやすい生理的な理由を3つ挙げられるか
- 加齢で発汗はどう変わるか
- 口渇中枢の感受性は加齢でどうなるか
- 高齢者の熱中症予防で大事なことは何か
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