クリティカル・シンキングで適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
クリティカル・シンキングとして適切なものを問う。根拠に基づいて考える、である。
この問題で問われていること
この思考法が何を指すかを、正しく理解しているか。
しくみから理解する
クリティカル・シンキングは、日本語では批判的思考と訳されるが、物事を否定することではない。情報と主張を鵜呑みにせず、①根拠は何か、②その根拠は確かか、③別の見方はないか、④自分の判断に偏りが入っていないか、を意識的に検討し、合理的な結論に至る思考になる。看護では、観察した事実にもとづいて問題を明らかにし、なぜそう考えたのかを説明できることが求められるため、この思考が看護過程の全体を支える。
選択肢ごとの確認
物事を否定的にみることは、クリティカル・シンキングではない。「批判的」という訳語から誤解されやすいが、否定することが目的ではなく、根拠を吟味することが中心になる。
主観的な情報を重視することも異なる。主観的な情報(患者の訴え、感じ方)は重要な情報源だが、それだけに頼らず、客観的な情報と合わせて検討する。主観と客観の両方を、根拠として吟味する。
直感的に状況を判断することも異なる。経験にもとづく直感は、実践において重要な役割を果たすが、クリティカル・シンキングは、その直感を検証し、根拠づける働きを持つ。直感だけで判断することとは対をなす。
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混同しやすいポイント
「批判的=否定的」という訳語の誤解が、この設問の落とし穴になる。誤肢は、①否定する、②主観に偏る、③検証を経ない、という、いずれも根拠を吟味しない態度になる。判断の基準は「なぜそう考えたのかを、他者に説明できるか」になる。説明できるということは、根拠を持っているということになる。
理解を深める
看護における思考と看護過程を整理する。クリティカル・シンキングの要素=①明確さ(曖昧な言葉を避ける)、②正確さ(事実を確かめる)、③関連性(その情報はこの問題に関わるか)、④論理性(結論が根拠から導かれているか)、⑤公正さ(自分の思い込みを疑う)、⑥深さと広さ(他の可能性を考える)。看護過程=①アセスメント(情報の収集と解釈、分析。主観的情報と客観的情報を集め、意味づける)、②看護問題の明確化(診断)、③計画(期待される成果=看護目標の設定と、具体的な介入の計画)、④実施、⑤評価(看護目標がどの程度達成されたかを判断し、計画を継続、修正、または終了する)。この過程は一方向ではなく、評価の結果が再びアセスメントへ戻る循環になる。関連する思考=①臨床推論(症状と所見から病態を推測する)、②反省的思考(実践を振り返り、次に活かす)、③根拠にもとづく実践(研究の成果、臨床の経験、患者の価値観と希望を統合して意思決定する)。情報の種類=主観的情報(患者が語ること)と客観的情報(観察、測定、検査の結果)。両方を集め、食い違いがあればその意味を考える。思考を妨げるもの=①先入観と決めつけ、②情報の不足、③時間の制約による省略、④権威への追従(上位者の判断を検証せずに受け入れる)、⑤確証バイアス(自分の仮説に合う情報だけを集める)。これらを自覚し、意識的に別の可能性を検討することが、安全な看護につながる。医療事故の分析では、「思い込み」が要因として繰り返し挙げられる。
間違えやすい考え方
用語の意味を問う型で、誤肢が根拠を吟味しない態度である。説明できるかどうかで切る。
5分で振り返る
①クリティカル・シンキングは批判的思考と訳されるが、否定することではない。②情報と主張を鵜呑みにせず、根拠は何か、確かか、別の見方はないか、偏りはないかを検討する。③判断の基準は「なぜそう考えたのかを他者に説明できるか」。④主観的情報も重要だが、それだけに頼らず客観的情報と合わせて検討する。⑤直感は実践で重要な役割を果たすが、それを検証し根拠づけるのがこの思考になる。⑥看護過程=アセスメント、看護問題の明確化、計画、実施、評価。評価の結果が再びアセスメントへ戻る循環になる。⑦思考を妨げるもの=先入観、情報の不足、時間の制約、権威への追従、確証バイアス。
1分チェック
- クリティカル・シンキングとは。→ 根拠にもとづいて考えること(否定することではない)。
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