構音障害がある成人患者への対応で適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
構音障害がある成人患者への対応を問う。選択肢の中では筆談を提案することが適切である。
この問題で問われていること
構音障害が、言語のどの部分の障害かを理解しているか。
しくみから理解する
構音障害は、言葉を音として発する働きの障害になる。口唇、舌、軟口蓋、咽頭、喉頭といった、発声と発音に関わる器官の運動が障害されるために、話す言葉が不明瞭になる。一方で、言葉を理解する力と、考えを言葉として組み立てる力は保たれている。したがって、書いて伝える方法である筆談が有効になることが多い。ただし構音障害の原因となる疾患(脳血管疾患、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症など)では、上肢の運動障害、失語の併存、認知機能の低下、視力の問題を伴うことがあり、読み書きが保たれているとは限らない。筆談を含む代替手段は、書字、認知、視力、上肢の運動を個別に評価したうえで選ぶ。
選択肢ごとの確認
手話で説明することは適さない。手話は、主に聴覚障害のある人が用いる言語で、成人期に構音障害を生じた人が習得しているとは限らない。加えて、この患者は聞くことに問題がない。
耳元で話しかけることも適さない。構音障害は、話すことの障害であり、聞くことの障害ではない。耳元で話すのは、難聴のある人への対応になる。
不明瞭な言語を繰り返し聞き直すことも適さない。何度も聞き返されることは、本人にとって強い負担となり、話す意欲を損なう。1〜2回で伝わらなければ、閉じられた質問(はい・いいえで答えられる形)へ切り替える、文字盤や筆談を用いる、といった別の手段へ移る。
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混同しやすいポイント
構音障害と失語症の区別が、この設問の背景になる。①構音障害=言葉の理解と組み立ては保たれ、発音が不明瞭。筆談が有効。②失語症=言葉そのものを扱う働きの障害。聞く、話す、読む、書くのすべてに影響しうるため、筆談も難しいことが多い。絵、写真、身振り、実物、そして単純な言葉を用いる。誤肢は、聴覚障害への対応(手話、耳元で話す)と、本人に負担をかける対応になる。
理解を深める
コミュニケーションの障害と援助を整理する。構音障害=原因は、脳血管疾患、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脳性麻痺、重症筋無力症、口腔と咽頭の手術、義歯の不適合など。援助=①静かな環境、②時間をかけ、遮らない、③閉じられた質問を用いる、④筆談、文字盤、絵、身振り、⑤意思伝達装置、⑥伝わったことを確認して返す、⑦言語聴覚士との連携、⑧本人が話しやすい姿勢と、口腔の状態を整える。なお、筆談や文字盤が使えるかどうかは、書字、認知、視力、上肢の運動を評価してから判断する。失語症=ブローカ失語(運動性。理解は比較的保たれるが、話すことが困難。本人は自覚があり、もどかしさを感じる)、ウェルニッケ失語(感覚性。流暢に話すが内容が乱れ、理解が困難。本人の自覚が乏しいことがある)、全失語、健忘失語。援助=①ゆっくり、短く、はっきり話す、②一度に一つのことを伝える、③絵、写真、実物、身振りを使う、④はい・いいえで答えられる質問、⑤書いた文字が有効な場合もある(漢字は理解しやすいことがある)、⑥急かさない、訂正しすぎない、⑦子ども扱いしない、⑧成人としての尊厳を保つ、⑨家族への説明。難聴=①正面から、顔が見えるように話す、②口の形が見えるようにする(口を大きく開けすぎない)、③普通の速さで、はっきりと、④低めの声で(高音域が聞こえにくい)、⑤静かな環境、⑥補聴器の確認、⑦筆談、⑧手話(習得している場合)。共通する原則=①その人が使える手段を見つける、②複数の手段を組み合わせる、③伝わらないのは本人の責任ではない、④焦らせない、⑤伝わったときの喜びを共有する。
間違えやすい考え方
対応を問う型で、誤肢が聴覚障害への対応と負担をかける対応である。話す障害か聞く障害かで切る。
5分で振り返る
①構音障害は、発声と発音に関わる器官の運動の障害で、話す言葉が不明瞭になる。②言葉を理解する力と組み立てる力は保たれている。だから筆談が有効になることが多い。ただし原因疾患によっては上肢の運動障害や失語、認知機能の低下を伴い、読み書きが保たれているとは限らないため、書字・認知・視力・運動を評価してから選ぶ。③手話と耳元で話すことは、聴覚障害への対応であり適さない。④繰り返し聞き直すことは本人の負担となり、話す意欲を損なう。閉じられた質問や筆談へ切り替える。⑤失語症は、言葉そのものを扱う働きの障害で、聞く・話す・読む・書くのすべてに影響しうる。筆談も難しいことが多い。⑥失語症では、絵、写真、身振り、実物、単純な言葉を用いる。⑦難聴では、正面から、口の形が見えるように、低めの声で、普通の速さではっきり話す。
1分チェック
- 構音障害がある人には。→ 筆談(理解と組み立ては保たれている。書字・認知・視力・運動を評価してから選ぶ)。
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