医療器材と消毒・滅菌の組合せで正しいのはどれか。
公式正答:2
解説
医療器材と消毒・滅菌の組合せで正しいものを問う。ステンレス製便器と熱水消毒である。
この問題で問われていること
器材の危険度に応じた処理の水準を選べるか。
しくみから理解する
スポルディングの分類では、器材を①クリティカル(無菌の組織または血管に入るもの。滅菌が必要)、②セミクリティカル(粘膜または損傷した皮膚に触れるもの。高水準消毒または滅菌)、③ノンクリティカル(健常な皮膚に触れるもの。低水準消毒または洗浄)に分ける。便器はノンクリティカルに当たり、洗浄と熱水消毒で十分になる。ステンレスは熱に耐えるため、熱水消毒(一般に80℃で10分程度)が適する。熱水消毒は、薬剤を使わず、残留もなく、環境と作業者への負担が小さい方法になる。
選択肢ごとの確認
手術用持針器は、無菌の組織に入るクリティカルな器材であり、滅菌が必要になる。第4級アンモニウム塩は低水準消毒薬であり、滅菌の代わりにはならない。高圧蒸気滅菌が標準的な方法になる。
軟性内視鏡は、粘膜に触れるセミクリティカルな器材になる。高水準消毒(過酢酸、フタラール、グルタラールなど)を行う。高圧蒸気滅菌は高温と高圧にさらすため、光学系と樹脂の部分を損傷し、適さない。
ベッド柵は、健常な皮膚が触れるノンクリティカルな器材になる。洗浄、または低水準消毒(第4級アンモニウム塩、両性界面活性剤)、あるいはアルコールによる清拭で足りる。グルタラールは高水準消毒薬で、刺激性と毒性が強く、蒸気の吸入により粘膜と気道を傷めるため、環境の消毒には用いない。密閉した容器で、換気の確保された場所で扱う。
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混同しやすいポイント
判断の手順は、①その器材はどこに触れるか(無菌の組織か、粘膜か、健常な皮膚か)、②必要な水準は何か(滅菌、高水準、低水準)、③その器材の材質は、その方法に耐えるか、の3段階になる。誤肢は、①水準が足りない(持針器に低水準消毒薬)、②材質に合わない(内視鏡に高圧蒸気滅菌)、③水準が過剰で危険(ベッド柵にグルタラール)という3通りの誤りになっている。
理解を深める
消毒と滅菌を整理する。滅菌の方法=①高圧蒸気滅菌(高温高圧の水蒸気。確実で経済的。熱と湿気に耐える器材に用いる)、②酸化エチレンガス滅菌(低温。熱に弱い器材に用いるが、残留ガスの除去に時間を要し、毒性がある)、③過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌(低温、短時間、残留がない。金属と樹脂に用いる。紙と布は不可)、④放射線滅菌(工業的な製品の滅菌)、⑤濾過滅菌(熱に弱い液体)。消毒薬の水準=①高水準(グルタラール、フタラール、過酢酸。芽胞以外のすべての微生物に有効)、②中水準(次亜塩素酸ナトリウム、アルコール、ポビドンヨード。結核菌と多くのウイルスに有効)、③低水準(第4級アンモニウム塩、クロルヘキシジン、両性界面活性剤)。主な消毒薬の使い分け=①アルコール=手指、皮膚、器材の表面。速効性。粘膜と損傷した皮膚には用いない。ノロウイルスと芽胞には効きにくい。②次亜塩素酸ナトリウム=ノロウイルス、環境、リネン、排泄物の処理。金属を腐食し、有機物により失活する。酸性の薬剤と混ぜると有毒な塩素ガスが発生する。③ポビドンヨード=皮膚と粘膜。手術部位の消毒。効果の発現に時間を要する。④クロルヘキシジン=手指と皮膚。粘膜には原則として用いない(アナフィラキシーの報告がある)。標準予防策=すべての患者の血液、体液、分泌物、排泄物、粘膜、損傷した皮膚を、感染の可能性があるものとして扱う。手指衛生、個人防護具、呼吸器衛生と咳エチケット、器材の適切な処理、環境の整備、リネンの取り扱い、安全な注射手技、腰椎穿刺時のマスク着用。感染経路別予防策=接触、飛沫、空気の3つ。
間違えやすい考え方
組合せを問う型で、誤肢が水準不足・材質不適・過剰の3通りである。器材がどこに触れるかで切る。
5分で振り返る
①スポルディングの分類=クリティカル(無菌の組織に入る。滅菌)、セミクリティカル(粘膜に触れる。高水準消毒または滅菌)、ノンクリティカル(健常な皮膚に触れる。低水準消毒または洗浄)。②便器とベッド柵はノンクリティカル。熱水消毒(80℃で10分程度)または洗浄で足りる。③手術用持針器はクリティカルで、高圧蒸気滅菌が必要。第4級アンモニウム塩は低水準消毒薬で代用できない。④軟性内視鏡はセミクリティカルで高水準消毒。高圧蒸気滅菌は光学系と樹脂を損傷する。⑤グルタラールは高水準消毒薬で刺激性と毒性が強く、環境の消毒には用いない。⑥次亜塩素酸ナトリウムはノロウイルスに有効だが、金属を腐食し、酸性の薬剤と混ぜると塩素ガスが発生する。⑦アルコールはノロウイルスと芽胞に効きにくい。
1分チェック
- ステンレス製便器の処理は。→ 熱水消毒(ノンクリティカル)。
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