点眼薬の投与について正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
点眼薬の投与について正しいものを問う。眼から溢れた薬液は拭き取る、である。
この問題で問われていること
点眼の手順を、感染と薬の作用の両面から説明できるか。
しくみから理解する
点眼薬は、通常1滴が0.05mL程度であるのに対し、結膜嚢が保持できる容量はおよそ0.03mLしかない。したがって、1滴でも溢れる。溢れた薬液を放置すると、①皮膚の炎症とかぶれ(とくに副腎皮質ステロイド薬、緑内障の薬、抗菌薬)、②薬液が頬を伝って不快、③細菌の繁殖、を招くため、清潔なティッシュペーパーやガーゼで軽く押さえて拭き取る。
選択肢ごとの確認
点眼時は下眼瞼を軽く下方へ引き、下結膜嚢へ滴下する。上眼瞼を上げるのではない。上を見てもらいながら、下眼瞼を引いて袋状の部分を作り、そこへ落とす。角膜へ直接落とすと、刺激が強く、反射的に閉眼して薬液が流れ出てしまう。
点眼容器の先端は、眼瞼、結膜、睫毛、そして皮膚のいずれにも触れさせない。触れると、容器の中の薬液が汚染され、次に使うときに眼へ細菌を運ぶことになる。1〜2cm離して滴下する。
点眼後は眼球を圧迫しない。圧迫は眼球に負担をかけ、とくに眼科手術の後では危険になる。行うのは、①静かに閉眼して1〜5分程度そのままにする、②目頭(涙嚢部)を軽く押さえる(涙点圧迫)、の2つになる。涙点圧迫は、薬液が鼻涙管を通って鼻粘膜から吸収され、全身への作用が現れることを防ぐ。緑内障に用いるベータ遮断薬では、全身へ吸収されると徐脈と気管支の収縮を起こしうるため、とくに重要になる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①手技の誤り(上眼瞼を上げる)、②清潔の誤り(先端を接触させる)、③圧迫の誤り(眼球を押す)になる。正しい手順は、①手指衛生、②薬剤と患者の確認、③上を向いてもらう、④下眼瞼を軽く引く、⑤容器を1〜2cm離し、下結膜嚢へ1滴、⑥静かに閉眼、⑦涙点を軽く圧迫(1〜5分)、⑧溢れた薬液を拭き取る、になる。複数の点眼薬を使う場合は、5分以上の間隔をあける。順序は、水性→懸濁性→油性→眼軟膏の順が原則になる。
理解を深める
与薬の技術を整理する。点眼=上記の手順に加え、①1本の点眼薬を複数の患者で共用しない、②開封後の使用期限を守る、③他の人の点眼薬を使わない、④コンタクトレンズは原則として外す(防腐剤がレンズに吸着する)、⑤自己管理では、鏡を見て行う、または寝た姿勢で行う方法を指導する、⑥手が震える場合は補助具を用いる、⑦点眼できたか分からない場合の工夫として、冷たい液のほうが落ちたことを感じ取りやすいという方法が紹介されることがある。ただし保管の条件は製剤ごとに定められており、常温保存を指定するものや、冷蔵により性状が変わるものがある。保管方法は表示と添付文書に従い、変更する場合は薬剤師または処方医に確認する。点耳=①薬液を体温程度に温める(冷たいとめまいを起こす)、②患側を上にした側臥位、③成人は耳介を後上方へ、小児(3歳未満)は後下方へ引いて外耳道をまっすぐにする、④滴下後5〜10分そのままの体位を保つ。点鼻=①鼻をかんでから、②仰臥位で頭を後ろへ倒す、または座位で頭を後屈する、③滴下後しばらくその姿勢を保つ。坐薬=①側臥位で膝を曲げる、②肛門から成人で5cm程度、小児で2〜3cm挿入する、③挿入後しばらく肛門を押さえる、④効果の発現は経口より速い場合がある、⑤解熱薬と下剤を併用する場合は、下剤を先に、時間をあけて投与する。経皮=①貼付部位を毎回変える、②皮膚の状態を確認する、③加温すると吸収が増えるため注意する(貼ったまま入浴と電気毛布の使用を避ける薬がある)。舌下錠=噛まず、飲み込まず、溶けるまで舌の下に置く。口腔粘膜から吸収され、肝臓での代謝を受けずに全身へ回る。共通=6つの正しい確認、アレルギーの確認、そして効果と副作用の観察。
間違えやすい考え方
手技の正誤を問う型で、誤肢が手技・清潔・圧迫の3点を誤る。結膜嚢へ落とし、触れず、押さえないで切る。
5分で振り返る
①点眼は、上を向いてもらい、下眼瞼を軽く引いて下結膜嚢へ滴下する。上眼瞼を上げるのではない。②容器の先端は、眼瞼、結膜、睫毛、皮膚のいずれにも触れさせない。1〜2cm離す。③点眼後は静かに閉眼し、目頭(涙嚢部)を1〜5分軽く押さえる(涙点圧迫)。眼球そのものは圧迫しない。④涙点圧迫は、鼻粘膜からの吸収による全身作用を防ぐ。緑内障のベータ遮断薬では徐脈と気管支収縮を防ぐため重要。⑤1滴は0.05mL程度、結膜嚢の容量は0.03mL程度なので必ず溢れる。拭き取らないと皮膚のかぶれを招く。⑥複数の点眼薬は5分以上あけ、水性→懸濁性→油性→眼軟膏の順。⑦点眼薬を複数の患者で共用しない。
1分チェック
- 点眼の後は。→ 溢れた薬液を拭き取る(眼球は圧迫しない、涙点は圧迫する)。
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