52 歳の女性が上腹部痛と吐血を主訴に受診し輸血を行うこととなった。 輸血時の対応で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
上腹部痛と吐血で受診し輸血を行うことになった52歳女性について、輸血時の対応で正しいものを問う。交差適合試験の結果を医師と看護師で確認することである。
この問題で問われていること
輸血の安全を確保する手順を、誤りやすい点まで押さえているか。
しくみから理解する
輸血による最も重大な事故は、血液型の異なる製剤を投与する不適合輸血になる。原因の多くは、患者の取り違えと、検体の取り違えという人為的な誤りにある。したがって、交差適合試験(クロスマッチ)の結果、血液型、製剤の番号、有効期限、そして患者の氏名を、必ず複数の医療者で、患者のもとで、声に出して確認する。医師と看護師の2人による確認は、この防止策の中心になる。
選択肢ごとの確認
赤血球製剤は融解しない。2〜6℃で保存し、そのまま使用する。30〜37℃で融解するのは新鮮凍結血漿になる。融解には専用の恒温槽を用い、融解後は速やかに使用する。赤血球製剤を加温するのは、大量輸血と急速輸血、そして寒冷凝集素症の場合に限られ、専用の加温器を用いる。
血液型検査と交差適合試験用の採血を同時に行うことは、原則として避ける。血液型は、異なる時点で2回、別々に採血して検査することが推奨される。同時に採血すると、検体の取り違えが起きた場合、2回とも同じ誤った血液の結果になり、誤りを検出できない。時点を分けることで、取り違えを見つけられる。
アレルギー反応の初回観察は、輸血開始から15分後ではなく、開始直後から行う。とくに最初の5分間はベッドサイドを離れず観察し、開始から15分後に再度観察する。急性の溶血性反応とアナフィラキシーは、開始直後から数分以内に起こりうるため、初回の観察を15分後まで待つことはできない。加えて、開始からしばらくは緩徐な速度で投与する。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①製剤の取り扱い、②検体の採取、③観察の時期という、輸血の安全に関わる3つの要点をそれぞれ誤っている。とくに②は、なぜ2回に分けるのかという理由(同じ誤りが2回繰り返されるのを防ぐ)を理解しておくと確実になる。③も、「15分後に確認する」という手順は存在するが、それは初回ではなく2回目の観察になる点が引っかけになる。
理解を深める
輸血療法を整理する。製剤と保存=①赤血球液=2〜6℃、有効期間は採血後28日間。②新鮮凍結血漿=マイナス20℃以下、有効期間は採血後1年間。使用時に30〜37℃で融解し、融解後は直ちに使用する。やむを得ない場合は2〜6℃で保存し、24時間以内に使用する。③濃厚血小板=20〜24℃で振盪しながら保存。有効期間は採血後4日間。低温では機能が失われるため冷蔵しない。手順=①同意の取得(説明と文書による同意)、②血液型検査(異なる時点で2回)、③不規則抗体スクリーニング、④交差適合試験、⑤製剤の受領と外観の確認(色調の変化、凝集、破損、有効期限)、⑥患者のもとで複数の医療者による確認(患者の氏名、血液型、製剤番号、有効期限、交差適合試験の結果)、⑦専用の輸血セット(濾過器つき)を用いる、⑧他の薬剤と混注しない。とくに乳酸リンゲル液などのカルシウムを含む輸液と同一ラインで用いない(凝固する)、⑨開始直後は緩徐に、5分間は側を離れず観察、15分後に再度観察、以後も定期的に観察、⑩終了後も観察を続ける。副作用=①急性(開始から24時間以内)=溶血性反応(血液型不適合。発熱、悪寒、腰背部痛、血色素尿、ショック、腎不全、播種性血管内凝固)、発熱性非溶血性反応、アレルギーとアナフィラキシー、輸血関連急性肺障害、輸血関連循環過負荷、細菌感染。②遅発性=遅発性溶血性反応、輸血後移植片対宿主病(放射線照射により予防する)、ウイルス感染(肝炎、ヒト免疫不全ウイルス)、鉄過剰症。異常時の対応=直ちに中止し、ルートを保持したまま生理食塩液へ切り替え、医師へ報告、バイタルサインの測定、製剤と輸血セットを保管して原因の究明に用いる。
間違えやすい考え方
手順の正誤を問う型で、誤肢が製剤の取り扱い・採血・観察の時期を誤る。取り違えを防ぐ仕組みで切る。
5分で振り返る
①輸血の最大の危険は不適合輸血で、原因の多くは患者と検体の取り違え。②患者のもとで、複数の医療者が、氏名・血液型・製剤番号・有効期限・交差適合試験の結果を声に出して確認する。③血液型検査は、異なる時点で2回、別々に採血する。同時採血だと取り違えが2回とも同じ誤りになり検出できない。④赤血球液は2〜6℃保存でそのまま使う。30〜37℃で融解するのは新鮮凍結血漿。⑤濃厚血小板は20〜24℃で振盪保存。冷蔵しない。⑥観察は開始直後から。最初の5分間は側を離れず、15分後に再度観察する。⑦カルシウムを含む輸液と同一ラインで用いない。⑧異常時は直ちに中止し、生理食塩液へ切り替え、製剤とセットを保管する。
1分チェック
- 輸血前に確認するのは。→ 交差適合試験の結果を医師と看護師で(患者のもとで)確認する。
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