成人の後腸骨稜からの骨髄穿刺で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
成人の後腸骨稜からの骨髄穿刺について正しいものを問う。骨髄液吸引時に痛みが生じる、である。
この問題で問われていること
検査の手順と、患者が経験する感覚を説明できるか。
しくみから理解する
骨髄穿刺では、皮膚と骨膜に局所麻酔を行うが、骨髄そのものには麻酔が効かない。骨髄液を吸引する瞬間に、骨髄腔の内圧が急に下がるため、鈍く強い痛み、あるいは吸い込まれるような独特の感覚が生じる。これは避けられないものであり、事前に「吸引のときに一瞬強い痛みがあります」と説明しておくことが、患者の心構えと協力につながる。説明せずに行うと、驚きと不信を招き、体動によって危険が生じることもある。
選択肢ごとの確認
後腸骨稜からの穿刺では、腹臥位または側臥位で行う。仰臥位では、穿刺部位が体の下になり実施できない。仰臥位で行うのは、胸骨からの穿刺になる。ただし胸骨は、心臓と大血管に近く危険を伴うため、成人では後腸骨稜が第一に選ばれる。
穿刺時は深呼吸を促さない。呼吸に伴って体が動くと、穿刺の位置がずれ、危険になる。「動かないでください」「楽に呼吸してください」と伝え、体位を保つよう支える。深呼吸を促すのは、胸腔穿刺と中心静脈カテーテルの抜去時など、空気の流入を防ぐ目的がある場面になる(それらでも息を止める、または呼気で行うといった具体的な指示になる)。
終了後、当日の入浴は避ける。穿刺部位からの感染を防ぐため、当日はシャワーも含めて控え、翌日以降に医師の許可を得て行う。加えて、穿刺後は圧迫止血を行い、しばらく仰臥位で穿刺部位を圧迫する体位を保つ。血小板減少と凝固異常がある患者では、出血の危険が高いため、より長く圧迫し、観察を続ける。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①体位、②呼吸の指示、③検査後の生活という3点になる。判断の手がかりは、それぞれ「その部位に届くか」「動いてよいか」「感染と出血の危険はどうか」になる。とくに「深呼吸を促す」は、他の検査(胸腔穿刺など)の手順と混同しやすいため、目的の違いで区別する。
理解を深める
骨髄穿刺を整理する。目的=血液疾患の診断(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群)、原因不明の血球の異常の精査、悪性腫瘍の骨髄への転移の確認、そして治療の効果の判定。部位=成人では後腸骨稜(上後腸骨棘)が第一選択。前腸骨稜、胸骨も用いられるが、胸骨は心臓と大血管に近く、穿孔の危険があるため慎重に行う。小児では脛骨も用いられる。手技=①体位(腹臥位または側臥位。側臥位では膝を抱えて背中を丸める)、②穿刺部位の消毒と清潔野の作成、③局所麻酔(皮膚、皮下、骨膜)、④骨髄針を刺入し、骨髄液を吸引(塗抹標本用)、⑤必要に応じて骨髄生検(組織を採取)、⑥圧迫止血、⑦滅菌ガーゼで被覆。看護=①検査前=説明と同意、出血傾向の確認(血小板数、凝固能、抗凝固薬の使用)、アレルギーの確認、排泄を済ませる、体位の練習。②検査中=体位の保持の介助、声かけ、状態の観察(顔色、疼痛、迷走神経反射による血圧低下と徐脈)、清潔操作の介助。③検査後=圧迫止血(10〜15分程度、出血傾向があればより長く)、安静(1時間程度)、バイタルサインと穿刺部位の観察(出血、腫脹、疼痛、発赤)、当日の入浴は避ける、翌日以降に医師の許可を得る、発熱と痛みの増強があれば連絡するよう伝える。患者の不安=「骨に針を刺す」という説明は強い恐怖を生む。手順、所要時間(15〜30分程度)、痛みの程度と時期、そして終わった後のことを、具体的に伝える。検査結果を待つ間の不安にも配慮する。
間違えやすい考え方
手技の正誤を問う型で、誤肢が体位・呼吸・検査後の生活を誤る。部位に届くか、動いてよいか、感染の危険はどうかで切る。
5分で振り返る
①骨髄穿刺では、皮膚と骨膜に局所麻酔を行うが、骨髄そのものには効かない。吸引の瞬間に鈍く強い痛みが生じる。②事前に「吸引のとき一瞬強い痛みがあります」と説明する。③成人の第一選択は後腸骨稜(上後腸骨棘)。腹臥位または側臥位で行う。仰臥位で行うのは胸骨穿刺だが、心臓と大血管に近く危険を伴う。④穿刺時は深呼吸を促さない。体が動くと位置がずれる。⑤終了後は圧迫止血(10〜15分、出血傾向があればより長く)と安静(1時間程度)。⑥当日の入浴とシャワーは避け、翌日以降に医師の許可を得る。⑦検査前に、血小板数、凝固能、抗凝固薬の使用を確認する。⑧迷走神経反射による血圧低下と徐脈に注意する。
1分チェック
- 骨髄穿刺で避けられないのは。→ 吸引時の痛み(骨髄には麻酔が効かない)。
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