中心静脈栄養法を受けている患者の看護について適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
中心静脈栄養法を受けている患者の看護について適切なものを問う。カテーテルの固定位置を毎日確認することである。
この問題で問われていること
この治療で最も重大な合併症と、その予防を理解しているか。
しくみから理解する
中心静脈カテーテルは、体の動き、体位の変換、そして固定材の緩みにより、少しずつ位置がずれることがある。先端が抜けて浅い位置へ移動すると、高濃度の輸液が細い静脈を傷めて静脈炎を起こし、また血管外へ漏れると組織の障害を招く。逆に深く入りすぎると、不整脈と心穿孔の危険がある。したがって、①体外に出ているカテーテルの長さ(目盛り)、②固定の状態、③刺入部の状態を毎日確認することが必要になる。
選択肢ごとの確認
刺入部は、見えないように覆うのではなく、観察できる状態にする。透明な半透過性のドレッシング材を用いることで、発赤、腫脹、滲出、そして出血を、剥がさずに毎日観察できる。不透明なガーゼで覆う場合は、より頻繁に交換して観察する。
刺入部を定期的に消毒するという表現は適切でない。ドレッシング材の交換は定期的に行い(透明なもので7日ごと、ガーゼで2日ごとが目安。汚染、湿潤、剥がれがあれば直ちに)、その際に消毒を行うが、「定期的な消毒」そのものが看護の要点ではない。加えて、頻回な消毒はかえって皮膚を傷め、常在菌叢を乱す。現在の考え方は、必要なときに、適切な消毒薬(クロルヘキシジンアルコールなど)で、正しい手技で行うことになる。
予防的な抗菌薬の投与は行わない。効果が示されておらず、耐性菌を生み、また副作用の危険を伴う。カテーテル関連の血流感染は、抗菌薬ではなく、①適切な挿入時の手技(高度な無菌操作)、②手指衛生、③刺入部の管理、④接続部の消毒、⑤不要になったら速やかに抜去する、という一連の対策により予防する。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①観察を妨げる、②手段を目的にする、③薬で予防しようとする、という3つになる。中心静脈栄養法の管理の中心は、感染の予防と、カテーテルの位置の維持になる。両方とも、毎日の観察によって成り立つ。「見えるようにして、毎日見る」が原則になる。
理解を深める
中心静脈栄養法を整理する。適応=消化管が使えない、または経腸栄養では必要量を満たせない場合。長期の絶食、広範囲の腸切除、腸閉塞、重症の炎症性腸疾患、消化管瘻など。原則として、消化管が使えるなら経腸栄養を優先する(腸を使わないと腸粘膜が萎縮し、細菌が体内へ移行しやすくなる)。挿入部位=内頸静脈、鎖骨下静脈、大腿静脈、そして末梢挿入型中心静脈カテーテル(上腕から挿入)。先端は上大静脈に置き、挿入後に胸部エックス線で位置を確認する。合併症=①挿入時=気胸、血胸、動脈穿刺、空気塞栓、不整脈、神経損傷。②留置中=カテーテル関連血流感染、血栓、閉塞、位置のずれ、破損。③代謝性=高血糖と低血糖(急な中断で低血糖を起こすため、中止する際は段階的に減量する)、電解質の異常、再栄養症候群、肝機能障害、必須脂肪酸の欠乏、微量元素とビタミンの欠乏(とくにビタミンB1の欠乏は乳酸アシドーシスとウェルニッケ脳症を招くため、必ず補充する)。看護=①感染の予防(手指衛生、接続部の消毒、輸液ラインの管理、輸液の調製は清潔な環境で、脂肪乳剤は12時間以内に投与、側管からの投与を最小限にする)、②毎日の観察(刺入部、固定、体外の長さ、発熱、悪寒)、③血糖の測定、④水分出納と体重、⑤電解質と肝腎機能、⑥口腔ケア(絶食では唾液が減り、口腔内の環境が悪化する)、⑦腸を使う機会を早く作る、⑧空気塞栓の予防(接続の確認、輸液ポンプの使用、ルート交換時の体位)。
間違えやすい考え方
看護の要点を問う型で、誤肢が観察を妨げる・手段を目的にする・薬で予防するものである。毎日見ることで切る。
5分で振り返る
①カテーテルは体動と固定の緩みで位置がずれる。浅くなれば静脈炎と漏れ、深すぎれば不整脈と心穿孔の危険がある。②毎日、体外に出ている長さ、固定の状態、刺入部を確認する。③刺入部は透明な半透過性のドレッシング材で覆い、剥がさずに観察できるようにする。④ドレッシング材の交換は、透明なもので7日ごと、ガーゼで2日ごとが目安。汚染・湿潤・剥がれがあれば直ちに。⑤予防的な抗菌薬は投与しない。耐性菌を生む。⑥感染の予防=手指衛生、挿入時の高度な無菌操作、接続部の消毒、不要になったら速やかに抜去。⑦急な中断は低血糖を招く。中止は段階的に。⑧ビタミンB1を必ず補充する(欠乏で乳酸アシドーシスとウェルニッケ脳症)。
1分チェック
- 中心静脈カテーテルで毎日確認するのは。→ 固定位置(体外の長さ)と刺入部。
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