高尿酸血症〈hyperuricemia〉 で正しいのはどれか。
公式正答:2
解説
高尿酸血症について正しいものを問う。痛風発作は飲酒で誘発される、である。
この問題で問われていること
尿酸の代謝と、発作の誘因・治療の原則を押さえているか。
しくみから理解する
アルコールは、複数の経路で尿酸値を上げ、発作を誘発する。①代謝の過程でアデノシン三リン酸が消費され、その分解により尿酸の産生が増える、②乳酸が増え、腎からの尿酸の排泄が妨げられる、③利尿作用による脱水で血中の尿酸が濃縮される、④ビールにはプリン体が多く含まれる(ただし、蒸留酒でも尿酸値は上がるため、アルコールそのものが問題になる)。加えて、飲酒の場では高プリン体の食品を摂ることも多い。したがって、飲酒は代表的な誘因になる。
選択肢ごとの確認
痛風結節は疼痛を伴わない。長期にわたる高尿酸血症により、尿酸塩の結晶が耳介、肘、手足の関節周囲、そしてアキレス腱などに沈着して塊を作ったもので、通常は痛みがない。痛みを伴うのは急性の関節炎(痛風発作)になる。
急性期に尿酸降下薬を新たに開始してはならない。血中の尿酸値が急に変動すると、関節に沈着した結晶が剥がれ落ち、発作をかえって悪化させ、また遷延させる。急性期は、非ステロイド性抗炎症薬、コルヒチン、または副腎皮質ステロイド薬で炎症を抑える。尿酸降下薬は、発作が落ち着いてから(おおむね2週間程度あけて)開始する。既に服用している場合は、中断せずに継続する。
目標は9.0mg/dL以下ではない。高尿酸血症の定義が7.0mg/dLを超えるものであり、治療の目標は6.0mg/dL以下になる。6より低く保つことで、沈着した結晶が溶けやすくなる。「7で診断、6で管理」と覚える。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①症状の誤り(結節に痛みがあるとする)、②治療の時期の誤り(急性期に尿酸降下薬)、③目標値の誤り(9.0)になる。とくに②は、実際の診療で問題になる重要な点であり、「発作中は尿酸値を動かさない」と覚える。③は、7と6という2つの数値を対にして押さえる。
理解を深める
高尿酸血症と痛風を整理する。尿酸=核酸に含まれるプリン体が代謝されてできる最終産物。3分の2が腎から、3分の1が腸管から排泄される。病型=①尿酸産生過剰型、②尿酸排泄低下型(日本人に多い)、③混合型。原因=遺伝的な素因、肥満、過食、アルコール、果糖の多い飲料、激しい運動、脱水、薬剤(利尿薬、少量のアスピリン、免疫抑制薬)、腎機能の低下、そして細胞が大量に壊れる状態(悪性腫瘍の治療=腫瘍崩壊症候群)。痛風発作=第1中足趾節関節(足の親指のつけ根)に最も多く、発赤、腫脹、熱感、そして歩けないほどの激痛を伴う。数日から10日程度で自然に軽快するが、繰り返す。誘因=飲酒、暴飲暴食、脱水、激しい運動、外傷、手術、ストレス、そして尿酸値の急な変動。合併症=痛風結節、尿路結石(尿酸結石。尿が酸性だと生じやすい)、腎障害(痛風腎)、そして高血圧、脂質異常症、糖尿病、心血管疾患との合併が多い(メタボリックシンドロームとの関連)。治療=①生活の改善(体重の管理、アルコールの制限=日本酒1合、ビール500mL、ウイスキー60mL程度までを目安に、できれば休肝日を設ける、プリン体の摂取を1日400mg以下に、水分は尿量を確保する目的で多めに摂るが、量は腎機能、心機能、体液の状態に応じて決める。高血圧、慢性腎臓病、心不全を併存することが多く、水分制限の指示がある場合はそれに従う、有酸素運動、激しい無酸素運動は避ける)、②薬物(尿酸生成抑制薬=アロプリノール、フェブキソスタット。尿酸排泄促進薬=ベンズブロマロン。病型に応じて選ぶ)、③尿のアルカリ化(尿路結石の予防)、④発作時は抗炎症薬。プリン体の多い食品=レバー、白子、あん肝、魚の干物、煮干し、鰹節、エビ、イワシ、そしてビール。指導の要点=発作の痛みが治まると受診も服薬も中断しやすい。無症状でも高尿酸血症は続き、腎障害と心血管疾患の危険を高めることを伝え、継続を支える。
間違えやすい考え方
疾患の正誤を問う型で、誤肢が症状・治療の時期・目標値を誤る。発作中は尿酸値を動かさないで切る。
5分で振り返る
①アルコールは、尿酸の産生を増やし、腎からの排泄を妨げ、脱水を招くため、発作を誘発する。蒸留酒でも尿酸値は上がる。②痛風結節は通常は痛みがない。長期の高尿酸血症により尿酸塩の結晶が沈着した塊。③急性期に尿酸降下薬を新たに開始しない。尿酸値の急な変動が発作を悪化させ遷延させる。既に服用中なら中断しない。④急性期は非ステロイド性抗炎症薬、コルヒチン、副腎皮質ステロイド薬で炎症を抑える。⑤高尿酸血症の定義は7.0mg/dLを超えるもの、治療の目標は6.0mg/dL以下。「7で診断、6で管理」。⑥発作は第1中足趾節関節に最も多い。⑦誘因=飲酒、暴飲暴食、脱水、激しい運動、外傷、手術、尿酸値の急な変動。⑧水分は尿量を確保する目的で多めに摂るが、量は腎機能、心機能、体液の状態による。水分制限の指示がある場合はそれに従う。
1分チェック
- 痛風発作の誘因は。→ 飲酒(目標は6.0mg/dL以下、診断は7.0mg/dL超)。
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