下腿の介達牽引を受けている患者が足背のしびれを訴えている。 看護師が確認すべき項目で優先度が高いのはどれか。
公式正答:1
解説
下腿の介達牽引を受けている患者が足背のしびれを訴えた際に、優先して確認する項目を問う。下肢の肢位である。
この問題で問われていること
しびれの原因を、解剖の知識から特定できるか。
しくみから理解する
足背のしびれは、総腓骨神経の障害を示す所見になる。総腓骨神経は、腓骨頭の外側を、皮膚のすぐ下を通って回り込むため、外部からの圧迫に極めて弱い。下肢が外旋した肢位になると、腓骨頭の外側がベッドや包帯、副子に押しつけられ、この神経が圧迫される。したがって、まず下肢の肢位を確認し、外旋していないかを見ることが優先される。放置すれば、足関節の背屈ができなくなる下垂足を残す。
選択肢ごとの確認
牽引の方向も確認すべき項目だが、しびれの直接の原因としては肢位が先になる。方向のずれは、牽引の効果と整復の位置に影響する。
重錘の重さも、しびれの直接の原因ではない。重すぎれば疼痛と皮膚の障害を招くが、足背という限局した部位のしびれは、神経の圧迫を示している。
弾性包帯のずれも、圧迫の原因になりうるため確認する。ただし、腓骨頭部の圧迫を生じる最も多い要因は肢位の異常であり、まず肢位を見る。
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混同しやすいポイント
しびれの部位から、どの神経が障害されているかを考える。足背=総腓骨神経(浅腓骨神経)、足底=脛骨神経、大腿の前面=大腿神経、になる。総腓骨神経は腓骨頭の外側で圧迫されやすいという解剖上の特徴があり、下肢の外旋、ギプス、包帯、下肢の下に置いた枕、そして長時間の側臥位により障害される。この知識があれば、確認すべき項目が肢位であることが導ける。
理解を深める
牽引法と、それに伴う看護を整理する。介達牽引=皮膚に貼付した絆創膏やスポンジバンド、そして弾性包帯を介して力を加える方法。骨折の整復と固定、疼痛の軽減、そして筋の攣縮の緩和を目的とする。皮膚牽引の重量は体重比の一律上限で決めず、整形外科の指示に重量(kg)を明記し、装置、年齢、目的、皮膚・神経血管状態に応じる。成人の短期皮膚牽引で約5kgを用いる例はあるが普遍値ではなく、皮膚障害のため短期間に限る。直達牽引=骨に鋼線やピンを刺入し、直接牽引する方法。より大きな力を加えられる。刺入部の感染の予防が要点になる。看護=①牽引の3要素(重錘が床につかず宙に浮いていること、ロープが滑車から外れず直線であること、牽引の方向が正しいこと)を毎日確認する、②重錘を手で支えない、勝手に外さない、③体位(対抗牽引が働くよう、体が牽引の方向へずり落ちていないか。足底がベッドの端についていないか)、④循環と神経の観察(末梢の色、温度、腫脹、動脈の拍動、感覚、運動=足趾の動き。5つのPで評価する=疼痛、蒼白、脈拍の消失、感覚異常、麻痺)、⑤皮膚の観察(絆創膏によるかぶれ、圧迫による発赤、踵部の褥瘡)、⑥腓骨頭部の圧迫の回避(外旋を防ぐ枕と足底板の使用。ただし枕の位置が腓骨頭にかからないようにする)、⑦深部静脈血栓症の予防(足関節の底背屈運動、弾性ストッキング、水分)、⑧関節の拘縮と筋力の低下の予防(他の関節の運動)、⑨排泄と清潔の援助、⑩長期の臥床に伴う合併症(肺炎、便秘、褥瘡、認知機能の低下)の予防、⑪疼痛の管理、⑫説明(牽引の目的、動いてよい範囲、してはいけないこと)。コンパートメント症候群=筋区画の内圧が上昇し、循環が障害されて筋と神経が壊死する。強い疼痛(他動的に伸展させると増強する)、感覚異常、腫脹、緊満が特徴になる。緊急の処置(筋膜切開)を要するため、早期の発見が命に関わる。
間違えやすい考え方
優先度を問う型で、誤肢が牽引の設定に関わる項目である。しびれの部位から神経を特定して切る。
5分で振り返る
①足背のしびれは総腓骨神経の障害を示す。②総腓骨神経は腓骨頭の外側を皮膚のすぐ下を通り、外部からの圧迫に極めて弱い。③下肢が外旋すると腓骨頭の外側が圧迫される。まず肢位を確認する。④放置すれば足関節の背屈ができない下垂足を残す。⑤しびれの部位=足背は総腓骨神経、足底は脛骨神経、大腿前面は大腿神経。⑥皮膚牽引の重量は整形外科の具体的指示(kg)に従い、装置、年齢、目的、皮膚・神経血管状態で調整する。体重の5分の1を普遍的上限にしない。⑦牽引の3要素=重錘が宙に浮いている、ロープが滑車から外れず直線、牽引の方向が正しい。⑧観察は5つのP=疼痛、蒼白、脈拍の消失、感覚異常、麻痺。⑨コンパートメント症候群は、他動的な伸展で増強する強い疼痛が特徴で、緊急の筋膜切開を要する。
1分チェック
- 介達牽引中の足背のしびれは。→ 総腓骨神経の圧迫。まず下肢の肢位(外旋)を確認する。
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