令和元年度(2019 年度)「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関 する法律に基づく対応状況等に関する調査」の結果において、養護者による高齢者 虐待に関する説明で正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
令和元年度の高齢者虐待の対応状況等に関する調査の結果について、養護者による虐待の説明で正しいものを問う。被虐待者の認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクⅡが最も多い、である。
この問題で問われていること
統計の主要な数値を、順位まで押さえているか。
しくみから理解する
この調査では、養護者による虐待を受けた高齢者のうち、認知症高齢者の日常生活自立度がランクⅡである者が最も多い。ランクⅡは、日常生活に支障をきたす症状と行動、そして意思疎通の困難さが多少みられるが、誰かが注意していれば自立できる状態を指す。この分布が示しているのは、被虐待者にランクⅡの人が多いという事実である。これは、その段階に該当する高齢者の数そのものが多いことでも説明できるため、分布から虐待の起こりやすさを直接に導くことはできない。仮説としては、①症状が現れ始めて介護者が対応に戸惑う、②本人にも自覚があり葛藤が生じる、③まだ支援につながっていないことが多い、といった条件が重なる時期であることが考えられる。
選択肢ごとの確認
夫による虐待が最も多いわけではない。虐待者として最も多いのは息子で、次いで夫、娘の順になる。息子が最も多い背景には、①介護を担う男性が増えている、②介護の技術と知識が乏しい、③相談できる相手が少ない、④仕事との両立と経済的な困難、⑤閉じた関係になりやすい、といった要因が指摘されている。
被虐待者の9割が女性というのは過大になる。女性がおよそ7割強を占めるが、9割ではない。
心理的虐待が全体の6割を占めるというのも誤りになる。最も多いのは身体的虐待でおよそ6割強、次いで心理的虐待がおよそ4割、介護等放棄がおよそ2割、経済的虐待がおよそ1割強、性的虐待は1%未満になる(複数に該当する場合があるため、合計は100%を超える)。
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混同しやすいポイント
覚えるべき順位は、①虐待者=息子が最も多い、②種別=身体的虐待が最も多い、③被虐待者=女性が7割強、④年齢=80歳代が最も多い、⑤自立度=ランクⅡが最も多い、の5点になる。誤肢は、いずれも順位または割合を誤っている。統計の設問では、細かい数値より順位と大まかな割合を押さえる。加えて、これらの数値は年度により多少変動するため、傾向として理解する。
理解を深める
高齢者虐待を整理する。高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)=平成17年制定、平成18年施行。対象は65歳以上。虐待の種別=①身体的虐待、②介護等放棄(ネグレクト)、③心理的虐待、④性的虐待、⑤経済的虐待の5つ。虐待の主体=①養護者(家族等)によるもの、②養介護施設従事者等によるもの、の2つに分けて規定されている。通報=①生命または身体に重大な危険が生じている場合は、発見した者に通報の義務がある、②それ以外の場合も、努力義務として通報する。③通報先は市町村。④通報したことを理由に、守秘義務違反に問われない。⑤施設の従事者が施設内の虐待を通報した場合、そのことを理由とする解雇その他の不利益な取り扱いは禁止されている。市町村の対応=①事実の確認(訪問調査)、②立入調査(必要に応じて、警察署長へ援助を求めることができる)、③高齢者の保護(やむを得ない事由による措置=本人の同意が得られなくても施設へ入所させる)、④養護者への支援(相談、指導、助言、負担の軽減のための短期入所)、⑤面会の制限。予防と早期発見=①介護者の負担の把握(介護の期間、他に頼れる人の有無、経済状況、介護者自身の健康と睡眠、閉じこもりの有無)、②サービスの導入、③相談先の周知、④地域包括支援センターの関与、⑤徴候の把握(不自然な外傷、体重の減少、脱水、不衛生、極端な怯え、受診の中断、金銭の不明)。背景の理解=虐待の多くは、介護者の疲弊、知識の不足、そして孤立から生じる。加害者を罰することが目的ではなく、双方を支えて関係を立て直すことが法の趣旨になる。
間違えやすい考え方
統計の順位を問う型で、誤肢が順位と割合を誤る。5つの順位を押さえて切る。
5分で振り返る
①令和元年度の調査では、被虐待者の認知症高齢者の日常生活自立度はランクⅡが最も多い。誰かが注意していれば自立できる段階である。この分布から虐待の起こりやすさを直接導くことはできないが、介護者が対応に戸惑い、まだ支援につながっていない時期であることが仮説として挙げられる。②虐待者は息子が最も多く、次いで夫、娘。③種別は身体的虐待が最も多く(6割強)、次いで心理的虐待(4割)、介護等放棄(2割)、経済的虐待(1割強)。④被虐待者は女性が7割強、年齢は80歳代が最も多い。⑤高齢者虐待防止法の対象は65歳以上。種別は身体的、介護等放棄、心理的、性的、経済的の5つ。⑥生命または身体に重大な危険が生じている場合は通報の義務がある。通報先は市町村。⑦通報を理由に守秘義務違反に問われず、施設従事者は不利益な取り扱いを受けない。
1分チェック
- 養護者による虐待で最も多いのは。→ 虐待者は息子、種別は身体的虐待、自立度はランクⅡ。
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