高齢者に経口薬の薬効が強く現れる理由はどれか。
公式正答:4
解説
高齢者に経口薬の薬効が強く現れる理由を問う。血清アルブミンの減少である。
この問題で問われていること
薬が体内でどう扱われるかを、加齢の変化と結びつけられるか。
しくみから理解する
多くの薬は、血中でアルブミンと結合した形(結合型)と、結合していない形(遊離型)で存在する。作用を発揮するのは遊離型のみで、結合型は貯蔵されている状態になる。加齢と低栄養により血清アルブミンが減少すると、結合できる薬が減り、遊離型の割合が増える。その結果、同じ投与量でも作用が強く現れ、副作用も生じやすくなる。とくに、アルブミンとの結合率が高い薬(ワルファリン、フェニトイン、ジアゼパム、非ステロイド性抗炎症薬など)で影響が大きくなる。
選択肢ごとの確認
骨密度の低下は、骨折の危険に関わるが、薬の効き方には関与しない。
胃酸分泌の減少は、一部の薬の溶解と吸収に影響しうるが、薬効を強める主な理由にはならない。むしろ、酸性の環境で溶ける薬では吸収が減る方向に働く。
消化管運動の低下は、薬が吸収される部位に到達するまでの時間を延ばし、作用の発現を遅らせる方向に働く。吸収される総量そのものは、大きく変わらないことが多い。
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混同しやすいポイント
薬物動態の4つの過程(吸収、分布、代謝、排泄)のうち、どこが変化するかを考える。加齢では、①吸収=大きな変化は少ない、②分布=アルブミンの減少により遊離型が増える。体内水分量の減少により水溶性薬物の血中濃度が上がり、体脂肪の割合の増加により脂溶性薬物が蓄積して作用が遷延する、③代謝=肝血流量と肝の代謝能の低下により、代謝が遅くなる、④排泄=腎血流量と糸球体濾過量の低下により、排泄が遅くなる、という変化がある。誤肢は、吸収に関わるものと、薬とは無関係なものになる。
理解を深める
高齢者の薬物療法を整理する。加齢による薬物動態の変化=上記の4過程。加えて、薬に対する感受性そのものが高まる(同じ血中濃度でも作用が強く出る。とくに中枢に作用する薬)。多剤併用=①高齢者は複数の疾患を持つため、処方が増える、②薬剤の数が増えるほど、相互作用と副作用、そして飲み忘れが増える、③6剤以上で有害事象が明らかに増えるとされる、④「症状に薬を足す」ことの連鎖(処方カスケード=薬の副作用を新たな症状と捉え、さらに薬を足す)に注意する。とくに注意する薬=①ベンゾジアゼピン系の睡眠薬と抗不安薬(転倒、せん妄、認知機能の低下、依存)、②抗コリン作用のある薬(口渇、便秘、尿閉、認知機能の低下、せん妄)、③非ステロイド性抗炎症薬(消化管出血、腎障害)、④利尿薬(脱水、電解質異常、起立性低血圧)、⑤ジギタリス(中毒。悪心、不整脈、視覚の異常)、⑥血糖降下薬(低血糖。高齢者では症状が現れにくく、認知機能の低下として現れることがある)、⑦抗凝固薬(出血)。看護=①服薬状況の確認(実際に飲めているか。残薬の確認)、②飲みやすさの工夫(一包化、お薬カレンダー、大きな文字、剤形の変更、服用回数を減らす)、③嚥下の状態の確認(錠剤が大きい、粉が飲みにくい)、④副作用の観察(高齢者の副作用は、ふらつき、食欲不振、便秘、意欲の低下、混乱として現れ、加齢や認知症と間違われやすい)、⑤他の医療機関と薬局からの処方の把握(お薬手帳を一つにまとめる)、⑥市販薬とサプリメントの確認、⑦減薬の検討を医師と共有する、⑧本人と家族への説明。
間違えやすい考え方
理由を問う型で、誤肢が吸収に関わるものと無関係なものである。分布の変化で切る。
5分で振り返る
①薬は血中でアルブミンと結合した形と遊離した形で存在し、作用するのは遊離型のみ。②加齢と低栄養でアルブミンが減ると、遊離型の割合が増え、同じ量でも作用が強く現れる。③とくにワルファリン、フェニトイン、ジアゼパム、非ステロイド性抗炎症薬で影響が大きい。④加齢による薬物動態の変化=吸収は大きく変わらない、分布はアルブミンの減少と体内水分量の減少・体脂肪の増加、代謝は肝血流量の低下、排泄は糸球体濾過量の低下。⑤脂溶性薬物は体脂肪に蓄積して作用が遷延する。⑥6剤以上で有害事象が明らかに増える。⑦処方カスケード=副作用を新たな症状と捉えてさらに薬を足す連鎖に注意する。⑧高齢者の副作用は、ふらつき、食欲不振、意欲の低下、混乱として現れ、加齢や認知症と間違われやすい。
1分チェック
- 高齢者で薬効が強く出る理由は。→ 血清アルブミンの減少(遊離型が増える)。
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