新生児や乳児が胎児期に母体から受け取った抗体は次のどれか。
公式正答:3
解説
胎盤を通れる抗体はIgGだけ。だから新生児は母親のIgGを借りて生後しばらくを守られる。
この問題で問われていること
免疫グロブリンの5種類それぞれの特徴を言えるか。胎盤通過性という性質を知っているか。
しくみから理解する
免疫グロブリンにはIgG・IgA・IgM・IgD・IgEの5種類がある。IgGは血中で最も多く(全体の約70〜75%)、分子が比較的小さく、胎盤を能動的に通過できる唯一の抗体である。妊娠後期に母体から胎児へ移行するため、正期産児は生後しばらく母体由来のIgGに守られる。この抗体は生後数か月かけて減っていき、児自身の産生が追いつくまでのあいだに一時的に抗体量が最も低くなる時期(生後3〜6か月ごろ)がある。IgAは分泌型として初乳と母乳に多く含まれ、腸管粘膜で感染を防ぐが、胎盤は通らない。IgMは分子が大きく胎盤を通れないので、臍帯血でIgMが高ければ胎内感染を疑う。
選択肢ごとの確認
初乳と母乳に多く含まれ、乳児の腸管を守る。ただしこれは出生後に授乳を通じて与えられるもので、胎児期に胎盤を通って受け取るものではない。設問は「胎児期に」と限定している。
B細胞の表面に存在し、抗原受容体として働くとされる。血中の量はごくわずかで、胎盤も通らない。
胎盤を通過できる唯一の免疫グロブリン。妊娠後期に母体から胎児へ移行する。
5量体で分子が大きく胎盤を通れない。感染の初期に最初につくられる抗体なので、臍帯血や新生児の血中で高値なら胎内感染を示す。
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混同しやすいポイント
母乳のIgAと胎盤経由のIgGを混同しやすい。「胎児期=胎盤=IgG」「出生後=母乳=IgA」と、時期と経路をセットで覚える。どちらも母親から与えられる受動免疫だが、届く道が違う。
理解を深める
免疫グロブリンの5種類は特徴を1行ずつで覚えられる。IgG=血中に最も多い・胎盤を通る・二次応答の主体。IgA=分泌液(初乳・唾液・涙・腸液)に多い・粘膜免疫。IgM=5量体で最大・感染初期に最初に出る・胎盤を通らない。IgD=B細胞表面の受容体。IgE=I型アレルギーと寄生虫感染・肥満細胞に結合。この分類は予防接種の時期の考え方にもつながる。母体由来のIgGは生後3〜6か月ごろに減っていくため、児自身の免疫をつける必要が生じる。ただし日本の定期接種は、ヒブ、小児用肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルスがいずれも生後2か月から始まる。開始の時期は、その疾患にかかる危険が高い月齢と、ワクチンごとの有効性・安全性の根拠によって決まるもので、母体由来IgGの低下だけで決まるわけではない。
間違えやすい考え方
同じ「母親から受け取る免疫」のなかで、経路と時期を入れ替える型。設問の限定語(胎児期に)が分かれ目になっている。
5分で振り返る
IgG=血中最多(約70〜75%)・胎盤を通過する唯一の抗体・二次応答の主体。IgA=分泌型として初乳と母乳・唾液・腸液に多く粘膜を守る。IgM=5量体で最大・感染初期に最初に出る・胎盤を通らない(臍帯血で高値なら胎内感染)。IgD=B細胞表面の受容体。IgE=I型アレルギーと寄生虫。母体由来IgGは生後3〜6か月で減る。ただし日本の定期接種は生後2か月から始まり、開始時期は疾患の危険とワクチンごとの根拠で決まる。
1分チェック
- 胎盤を通過できる抗体はどれか
- 母乳に多く含まれる抗体はどれか
- 臍帯血のIgMが高いと何を疑うか
- 5種類の免疫グロブリンの特徴を1行ずつ言えるか
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