学童期の肥満で正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
学童期の肥満について正しいものを問う。成人期の生活習慣病のリスク因子である、である。
この問題で問われていること
小児期の肥満が、その後にどうつながるかを説明できるか。
しくみから理解する
小児期の肥満が成人期の肥満へ移行する割合は、学童期でおよそ3〜4割、思春期でおよそ7割とされる。年齢が上がるほど、また肥満の程度が重いほど、移行する危険が高まる。加えて、小児のうちから、脂質異常症、耐糖能の異常、高血圧、そして脂肪肝といった、生活習慣病の前段階となる所見が現れる。したがって、学童期の肥満は、成人期の生活習慣病の危険因子として位置づけられ、この時期からの介入が重要になる。加えて、いじめ、自己評価の低下、そして運動を避ける悪循環といった、心理社会的な影響も生じる。
選択肢ごとの確認
カウプ指数で評価するのは乳幼児期になる。学童期には肥満度(標準体重に対して実測体重が何%上回るかを示す値。20%以上で軽度、30%以上で中等度、50%以上で高度の肥満と判定する)、またはローレル指数を用いる。カウプ指数は、体重(g)÷身長(cm)の2乗×10で求め、生後3か月から5歳頃までの評価に用いる。
症候性の肥満がほとんどを占めることはない。小児の肥満の大部分は、摂取エネルギーが消費を上回ることによる単純性(原発性)肥満になる。症候性(二次性)肥満は、内分泌疾患(クッシング症候群、甲状腺機能低下症、成長ホルモンの分泌不全)、視床下部の障害、遺伝性の症候群、そして薬剤(副腎皮質ステロイド薬)によるもので、全体のごく一部にとどまる。ただし、低身長を伴う肥満では、症候性を疑って精査する。
食事でタンパク質の摂取を制限することはしない。成長期にあるため、タンパク質、カルシウム、鉄、そしてビタミンは、必要量を確保する。制限するのは、菓子、清涼飲料、揚げ物、そして脂質と糖質の過剰になる。加えて、極端なエネルギー制限による減量は行わず、身長が伸びることで肥満度が下がることを目指す(体重を維持しながら身長が伸びれば、肥満度は改善する)。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①評価の指標(乳幼児の指標を学童に当てはめる)、②原因の割合、③食事の内容という3点になる。とくに①は、指数と対象年齢の組み合わせを正確に覚える。カウプ指数=乳幼児、ローレル指数と肥満度=学童期以降、体格指数=成人になる。
理解を深める
小児の成長の評価と肥満を整理する。評価の指標=①カウプ指数(乳幼児。体重(g)÷身長(cm)の2乗×10。15〜18程度が標準だが、月齢により基準が変わる)、②ローレル指数(学童。体重(kg)÷身長(cm)の3乗×10の7乗。160以上で肥満とされるが、身長の影響を受けやすい)、③肥満度(性別・年齢別・身長別の標準体重を用いる。現在の学校保健で主に使われる)、④成長曲線とパーセンタイル値(縦断的に追うことが最も重要。1点の値より、曲線から外れていく動きに意味がある)、⑤体格指数(成人)。肥満の判定=幼児では肥満度15%以上でふとりぎみ、20%以上でややふとりすぎ、30%以上でふとりすぎ。学童では20%以上で軽度肥満、30%以上で中等度肥満、50%以上で高度肥満。対応=①生活習慣の見直し(食事の内容と時間、間食、清涼飲料、夜更かし、画面を見る時間、身体活動)、②家族全体で取り組む(子どもだけに我慢させない)、③運動(楽しめるもの、続けられるもの。競争と苦痛にしない)、④成長を止めない(極端な制限をしない)、⑤自己評価を傷つけない(体重や体型を責めない。できたことを認める)、⑥学校との連携、⑦合併症の確認(血圧、血液検査、脂肪肝)、⑧症候性を疑う所見(低身長、発達の遅れ、特徴的な顔貌、急激な体重増加)があれば精査。やせ=学童期のやせも問題になる。神経性やせ症の発症が低年齢化しており、成長曲線が下方へ外れる動きを見逃さない。学校保健=定期健康診断で、身長と体重を測定し、成長曲線を用いて評価する。
間違えやすい考え方
疾患の正誤を問う型で、誤肢が評価の指標・原因・食事を誤る。指数と対象年齢の対応で切る。
5分で振り返る
①小児期の肥満が成人期の肥満へ移行する割合は、学童期でおよそ3〜4割、思春期でおよそ7割。年齢と肥満の程度が上がるほど危険が高まる。②小児のうちから脂質異常症、耐糖能の異常、高血圧、脂肪肝が現れる。③評価はカウプ指数ではなく、肥満度またはローレル指数を用いる。カウプ指数は生後3か月から5歳頃までの指標。④学童では肥満度20%以上で軽度、30%以上で中等度、50%以上で高度の肥満。⑤小児の肥満の大部分は単純性(原発性)で、症候性はごく一部。ただし低身長を伴う肥満では症候性を疑う。⑥成長期なのでタンパク質は制限しない。制限するのは菓子、清涼飲料、揚げ物、脂質と糖質の過剰。⑦極端なエネルギー制限はせず、身長が伸びることで肥満度が下がることを目指す。⑧体重や体型を責めず、自己評価を傷つけない。
1分チェック
- 学童期の肥満は。→ 成人期の生活習慣病の危険因子(肥満度で評価する)。
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