A さん(32 歳、初産婦)は前置胎盤〈placenta previa〉の ため妊娠37 週0日の午前10 時から帝王切開術を受ける予定である。 手術前日の看護師の対応で適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
前置胎盤のため妊娠37週0日に帝王切開術を受ける32歳初産婦について、手術前日の看護師の対応を問う。輸血の準備ができているか確認することである。
この問題で問われていること
この疾患で最も警戒すべき事態を特定できるか。
しくみから理解する
前置胎盤では、胎盤が子宮口を覆っているため、①手術の際に胎盤を切開または剥離することになり、大量出血が生じやすい、②子宮下部は収縮する力が弱く、剥離面からの止血が得られにくい、③癒着胎盤を合併していることがあり、その場合はさらに大量の出血となって子宮全摘出を要することもある、という理由により、産科危機的出血に至る危険が高い。したがって、輸血の準備(血液型、不規則抗体、交差適合試験、そして必要な単位数の確保)を、手術の前に確実に整えておくことが最も重要になる。
選択肢ごとの確認
浣腸を行うことは禁忌になる。腸管の蠕動を促すことで子宮の収縮を誘発し、出血を招く危険がある。前置胎盤では、内診と経腟の操作も出血を誘発するため避ける(診断と評価は経腟超音波検査で慎重に行う)。
夕食が禁食となっているかを確認することは適切でない。手術前日の夕食は通常どおり摂取でき、絶食となるのは前日の夜(一般に21時以降)以降になる。麻酔の方法と施設の方針により異なるが、前日の夕食まで禁食にする必要はない。加えて、手術に向けて必要な栄養と体力を保つことも重要になる。
下肢に間欠的空気圧迫装置を装着するのは、手術の当日、手術室で開始することが一般的になる。妊娠中は血液が固まりやすい状態にあり、静脈血栓塞栓症の予防は重要だが、前日から装着するものではない。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①禁忌の処置、②時期の誤り、③時期の誤りになる。この疾患の要点は「出血」の一語であり、そこから、してはいけないこと(子宮の収縮を誘発する処置、経腟の操作)と、しておくべきこと(輸血の準備、静脈路の確保、血液検査)が導ける。
理解を深める
前置胎盤を整理する。定義=胎盤が子宮下部に付着し、内子宮口に及ぶもの。全前置胎盤、部分前置胎盤、辺縁前置胎盤に分けられる。危険因子=帝王切開の既往、子宮内容除去術の既往、多産、高年妊娠、多胎、喫煙。症状=妊娠中期以降の警告出血(痛みを伴わない性器出血が特徴。常位胎盤早期剥離では、持続する腹痛と子宮の硬直を伴う点が異なる)。診断=経腟超音波検査。妊娠30週以降に診断を確定する(それ以前は、子宮の成長に伴って胎盤の位置が相対的に上がることがある)。管理=①安静、②出血時は入院、③子宮収縮抑制薬、④貧血の管理(鉄剤、自己血の貯血)、⑤ステロイドによる胎児の肺成熟の促進(早産が見込まれる場合)、⑥分娩は帝王切開(経腟分娩は禁忌)、⑦時期は妊娠37週前後の計画的な手術が原則。出血があれば、その時点で緊急に行う。看護=①出血の観察(量、色、持続、腹痛の有無)、②安静の保持と、それに伴う苦痛(腰痛、便秘、退屈、不安)への対応、③排便のコントロール(いきみを避ける。緩下薬を用いる。浣腸は行わない)、④内診と経腟の操作を避ける、⑤静脈路の確保、⑥血液検査と輸血の準備、⑦胎児の状態の観察、⑧緊急時の体制(手術室、麻酔科、新生児科、輸血部門との連携。大量出血への対応の手順を共有しておく)、⑨本人と家族への説明(不安が強い。何が起こりうるか、どう備えているかを伝える)、⑩術後の観察(子宮収縮、出血、バイタルサイン、尿量)。産科危機的出血=分娩に伴う大量出血。原因は、弛緩出血、産道の裂傷、前置胎盤と癒着胎盤、常位胎盤早期剥離、そして羊水塞栓症になる。早期の認識と、輸血を含む集学的な対応が救命につながる。
間違えやすい考え方
術前の対応を問う型で、誤肢が禁忌の処置と時期の誤りである。「出血」の一語で切る。
5分で振り返る
①前置胎盤では、胎盤が子宮口を覆うため、手術で大量出血が生じやすい。②子宮下部は収縮する力が弱く止血が得られにくい。癒着胎盤を合併すれば子宮全摘出を要することもある。③輸血の準備(血液型、不規則抗体、交差適合試験、単位数の確保)を手術前に整える。④浣腸は禁忌。腸の蠕動が子宮収縮を誘発し出血を招く。内診と経腟の操作も避ける。⑤前日の夕食は通常どおり。絶食は前日の夜以降。⑥間欠的空気圧迫装置は手術当日に手術室で開始する。⑦症状は痛みを伴わない性器出血(警告出血)。常位胎盤早期剥離は持続する腹痛と子宮の硬直を伴う。⑧経腟分娩は禁忌。妊娠37週前後の計画的な帝王切開が原則。
1分チェック
- 前置胎盤の帝王切開の前日に。→ 輸血の準備の確認(浣腸は禁忌)。
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