長期に大量飲酒をした後で、急に断酒した際にみられるのはどれか。
公式正答:2
解説
長期に大量飲酒をした後で、急に断酒した際にみられるものを問う。振戦せん妄である。
この問題で問われていること
離脱症状と、慢性の影響を区別できるか。
しくみから理解する
アルコールを長期に大量に摂取していると、中枢神経は抑制された状態に順応する。急に断つと、その抑制が失われ、神経が過剰に興奮する。早期(断酒後6〜48時間)には、手指の振戦、発汗、頻脈、血圧の上昇、悪心、不安、不眠、そしてけいれん発作が現れる。断酒後48〜72時間頃に、最も重い離脱症状である振戦せん妄が現れる。粗大な振戦、著しい自律神経の亢進(発熱、頻脈、発汗)、見当識の障害、そして幻視(小動物や虫が見える小動物幻視が特徴)を伴う。適切に治療しなければ死に至ることもある。
選択肢ごとの確認
病的酩酊は、少量の飲酒でも、意識の混濁と著しい興奮、そして了解不能な行動が現れるものになる。断酒による症状ではなく、飲酒時の反応の異常になる。
アルコール性認知症は、長期の飲酒による脳の萎縮と機能の低下により生じる、慢性の状態になる。断酒した直後に現れるものではない。
コルサコフ症候群は、ビタミンB1の欠乏により生じる。前向性健忘(新しいことを覚えられない)、逆行性健忘、見当識の障害、そして作話を特徴とする慢性の状態になる。ウェルニッケ脳症(眼球運動の障害、失調性歩行、意識の障害)から移行することが多い。これも断酒の直後に現れるものではない。
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混同しやすいポイント
「断酒によって現れるか」「長期の飲酒の結果として蓄積するか」で分ける。誤肢は、飲酒時の異常反応(病的酩酊)と、慢性の脳の障害(アルコール性認知症、コルサコフ症候群)になる。時間の軸で整理すると、①飲酒時=急性中毒、病的酩酊、②断酒後6〜48時間=早期離脱(振戦、発汗、けいれん)、③断酒後48〜72時間=振戦せん妄、④長期=認知症、コルサコフ症候群、肝障害、末梢神経障害になる。
理解を深める
アルコール依存症を整理する。身体の合併症=①肝(脂肪肝、肝炎、肝硬変、肝がん)、②膵(急性・慢性膵炎)、③消化管(食道静脈瘤、胃炎、マロリー・ワイス症候群)、④神経(ウェルニッケ脳症、コルサコフ症候群、末梢神経障害、小脳の変性)、⑤心(心筋症、不整脈、高血圧)、⑥血液(貧血、血小板減少)、⑦栄養障害(ビタミンB1、葉酸、亜鉛)、⑧悪性腫瘍(口腔、咽頭、食道、肝、大腸、乳房)、⑨外傷。離脱への対応=①ベンゾジアゼピン系薬剤による症状の管理、②ビタミンB1の補充(必ず、ブドウ糖の投与より先に、または同時に行う。糖の負荷はビタミンB1を消費し、ウェルニッケ脳症を誘発する)、③水分と電解質の補正、④安全の確保(幻覚と見当識障害による転倒、転落、離院。静かで明るすぎない環境、そばに付き添う)、⑤バイタルサインとけいれんの観察、⑥身体合併症の治療。治療=①断酒が目標(近年は、飲酒量の低減を当面の目標とする考え方も取り入れられている)、②心理社会的な治療(集団療法、認知行動療法、動機づけ面接)、③自助グループへの参加、④薬物療法(抗酒薬、飲酒欲求を抑える薬)、⑤家族への支援。看護=①責めない、②「意志の問題」としない、③本人が自分の問題として認識する過程を支える、④再飲酒を失敗として扱わず、そこから学ぶ、⑤家族の共依存(世話を焼くことで飲酒を支えてしまう関係)への気づきを支える、⑥退院後の生活の設計(通院、自助グループ、居場所、仕事)、⑦身体の管理を継続する。
間違えやすい考え方
症状の時期を問う型で、誤肢が飲酒時の異常と慢性の障害である。時間の軸で切る。
5分で振り返る
①長期の大量飲酒では中枢神経が抑制に順応し、断つと神経が過剰に興奮する。②断酒後6〜48時間=早期離脱(手指の振戦、発汗、頻脈、血圧上昇、悪心、不安、不眠、けいれん発作)。③断酒後48〜72時間=振戦せん妄。粗大な振戦、著しい自律神経の亢進、見当識障害、小動物幻視。治療しなければ死に至ることもある。④病的酩酊は、少量の飲酒で意識混濁と著しい興奮が現れる、飲酒時の反応の異常。⑤アルコール性認知症とコルサコフ症候群は、長期の飲酒による慢性の状態。⑥コルサコフ症候群はビタミンB1欠乏による。前向性健忘、逆行性健忘、見当識障害、作話。⑦ビタミンB1は、ブドウ糖の投与より先に、または同時に補充する。糖の負荷がウェルニッケ脳症を誘発する。
1分チェック
- 急に断酒した後48〜72時間に現れるのは。→ 振戦せん妄(小動物幻視)。
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