精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉において、精神科病 院で隔離中の患者に対し、治療上で必要な場合に制限できるのはどれか。
公式正答:1
解説
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律において、精神科病院で隔離中の患者に対し、治療上必要な場合に制限できるものを問う。家族との面会である。
この問題で問われていること
いかなる場合でも制限できない権利を挙げられるか。
しくみから理解する
この法律にもとづく告示により、いかなる場合も制限できないものが定められている。①信書の発受(ただし、刃物や薬物などが同封されていると疑われる場合は、患者の目の前で開封し、危険物を取り除いて渡すことはできる。信書そのものを制限してはならない)、②都道府県、地方法務局その他の人権擁護に関する行政機関の職員、および患者の代理人である弁護士との電話、③同じくこれらの者との面会、④退院と処遇改善の請求。一方、家族等との面会は、治療上必要な場合に、医師の判断により一時的に制限することができる。したがって、正答は家族との面会になる。
選択肢ごとの確認
患者からの信書の発信は、いかなる場合も制限できない。手紙を出すことは、外部との連絡と権利の行使の手段であり、絶対的に保障される。
患者からの退院の請求も、いかなる場合も制限できない。患者と家族等は、都道府県知事に対して退院と処遇の改善を請求することができ、これを妨げてはならない。
人権擁護に関する行政機関の職員との電話も、いかなる場合も制限できない。これらの連絡先は、公衆電話の設置場所に掲示するなど、患者が知ることができるようにしておく必要がある。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
覚え方は、「外部の権利機関とのつながりと、退院を求める権利は絶対に切らない」になる。誤肢はすべて、この外部とのつながりに関わる。家族は、治療上の理由(患者の病状に悪影響を及ぼす場合など)により、一時的に制限しうる。ただし、その場合も、制限の理由を診療録に記載し、患者に説明する必要がある。
理解を深める
精神保健福祉法における行動制限を整理する。原則=行動の制限は、医療または保護に欠くことのできない限度において行われるものとし、患者の自由の制限は必要最小限にとどめる。隔離=内側から出ることができない部屋に一人だけ入れること。12時間を超える隔離は、精神保健指定医の判断による(12時間以内であれば指定医でない医師も可能)。要件=①他の患者との人間関係を著しく損なうおそれがある、②自殺企図または自傷行為が切迫している、③他の患者に対する暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為が認められる、④急性精神運動興奮等のため、不穏、多動、爆発性などが目立ち、他の方法ではきわめて困難である、⑤身体的合併症のため、隔離が必要である。実施中=①医師は原則として少なくとも1日1回診察する、②定期的な会話等による観察と、臨床的観察を適切に行う、③洗面、入浴、掃除等、清潔の保持に配慮する、④隔離を行った理由、開始と解除の日時を診療録に記載する、⑤患者に理由を知らせるよう努める。身体的拘束=隔離よりさらに制限が強く、精神保健指定医の判断を要する(時間を問わない)。要件=①自殺企図または自傷行為が著しく切迫している、②多動または不穏が顕著である、③そのまま放置すれば生命にまで危険が及ぶおそれがある。実施中=①常時の臨床的観察、②医師による頻回の診察、③深部静脈血栓症と肺塞栓症の予防(下肢の運動、水分、弾性ストッキング)、④解除に向けた検討を継続する。入院形態=任意入院、医療保護入院(家族等の同意と精神保健指定医の診察)、措置入院(自傷他害のおそれ。2人以上の指定医の診察が一致。都道府県知事が決定)、緊急措置入院、応急入院。精神医療審査会=入院の必要性と処遇の妥当性を審査する。
間違えやすい考え方
権利の制限を問う型で、誤肢がすべて絶対に制限できない権利である。外部の権利機関とのつながりで切る。
5分で振り返る
①いかなる場合も制限できないもの=信書の発受、人権擁護に関する行政機関の職員および代理人である弁護士との電話と面会、退院と処遇改善の請求。②家族等との面会は、治療上必要な場合に医師の判断で一時的に制限できる。③信書に危険物が同封されていると疑われる場合は、患者の目の前で開封し危険物を取り除く。信書そのものは制限しない。④隔離が12時間を超える場合は精神保健指定医の判断による。⑤身体的拘束は、時間を問わず精神保健指定医の判断を要する。⑥隔離中は、医師が原則として1日1回以上診察し、理由と開始・解除の日時を診療録に記載する。⑦身体的拘束では深部静脈血栓症と肺塞栓症の予防を行う。⑧行動の制限は必要最小限にとどめる。
1分チェック
- 隔離中に制限できるのは。→ 家族との面会(信書、権利機関との電話と面会、退院請求は不可)。
この問題に対応する教材の確認中です。