感染徴候のない在宅療養者に対する床上での排便の援助において、訪問看護師が 行う感染対策で適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
感染徴候のない在宅療養者に対する床上での排便の援助において、訪問看護師が行う感染対策を問う。援助時には使い捨てのエプロンを着用することである。
この問題で問われていること
標準予防策を、在宅の場面に当てはめられるか。
しくみから理解する
標準予防策では、すべての人の血液、体液、分泌物、排泄物、粘膜、そして損傷した皮膚を、感染の可能性があるものとして扱う。排泄物に触れる可能性のある援助では、手袋に加え、衣服が汚染されるおそれがあるため、使い捨てのエプロン(またはガウン)を着用する。感染徴候の有無にかかわらず行うのが標準予防策であり、この点がこの設問の要点になる。加えて、在宅では、看護師の衣服が次の利用者宅へ汚染を持ち込む媒介になりうるため、防護具の使用と交換が重要になる。
選択肢ごとの確認
使用済みのオムツを感染性廃棄物として処分することは適切でない。在宅で生じる排泄物のついたオムツは、感染性廃棄物ではなく、一般廃棄物として、市町村の定める方法で処分する。感染性廃棄物として扱うのは、医療機関等から生じる、血液の付着した鋭利な器具、透析の器具、そして特定の感染症に関わるものになる。在宅では、注射針など鋭利な物だけを、専用の容器に入れて医療機関へ返却する仕組みが一般的になる。
使用済みの寝衣を次亜塩素酸ナトリウム液に浸すことも、この場面では過剰になる。感染徴候がなければ、通常の洗濯(家庭用の洗剤で洗い、乾燥させる)で足りる。次亜塩素酸ナトリウムは、ノロウイルスなどによる汚染が明らかな場合に用いる。加えて、色落ちと繊維の劣化を招く。
陰部洗浄で使用したボトルの洗浄に中性洗剤を用いないという記述も誤りになる。中性洗剤による洗浄は、有機物を除去する基本の手段であり、むしろ必要になる。洗浄した後に、乾燥させることが重要になる(湿ったまま置くと細菌が増殖する)。
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混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも「過剰な対策」または「必要な対策の否定」になる。感染対策の原則は、①すべての人に標準予防策を行う、②必要以上のことはしない(過剰な対策は、費用と手間を増やすだけでなく、療養者と家族に不必要な負担と、感染源であるかのような印象を与える)、③在宅では、生活の場であることを踏まえ、家庭で継続できる方法を選ぶ、になる。
理解を深める
在宅における感染対策を整理する。標準予防策=①手指衛生(訪問の前後、援助の前後、手袋を外した後)。目に見える汚染がなければアルコール手指消毒が第一選択で、携帯用の手指消毒薬を持参する。流水と石けんによる手洗いは、目に見える汚染があるとき、クロストリジオイデス・ディフィシルやノロウイルスへの対応、食事の前や排泄の後に行う、②手袋(血液、体液、排泄物、粘膜、損傷した皮膚に触れるとき)、③エプロンとガウン(衣服が汚染されるおそれがあるとき)、④マスクとゴーグル(飛散のおそれがあるとき)、⑤器材の適切な処理(持参した物品は、使い捨てにするか、消毒して次へ持ち込まない)、⑥鋭利な物の安全な取り扱い(リキャップをしない、専用容器へ)。在宅に特有の配慮=①訪問の順序(感染のある人を最後にする)、②持ち込みと持ち出しの防止(訪問バッグを床に直接置かない、必要な物だけ室内へ持ち込む、聴診器と血圧計は消毒する)、③生活の場であることへの配慮(過度に厳重な防護は、療養者と家族を傷つける。必要性を説明する)、④家族への指導(手洗い、オムツの処理、汚染された衣類の洗濯、嘔吐物の処理、換気)、⑤廃棄物(一般廃棄物として市町村の方法で。鋭利な物は医療機関へ返却)、⑥療養環境(清潔、換気、湿度、そして水回りの衛生)、⑦看護師自身の健康管理(予防接種、体調不良時の対応)。感染症が疑われる場合=①症状の把握と報告、②接触の状況の確認、③追加の予防策(接触、飛沫、空気)、④訪問の方法の調整、⑤医師と保健所への連絡、⑥家族と同居者への説明。在宅では、療養者と家族が主体となって行うため、続けられる方法を一緒に考えることが要点になる。
間違えやすい考え方
感染対策を問う型で、誤肢が過剰な対策と必要な対策の否定である。標準予防策と生活の場という観点で切る。
5分で振り返る
①標準予防策は、感染徴候の有無にかかわらず、すべての人の血液・体液・分泌物・排泄物・粘膜・損傷した皮膚に適用する。②排泄物に触れる援助では、手袋に加え、衣服が汚染されるおそれがあるためエプロンかガウンを着用する。③在宅で生じるオムツは一般廃棄物として市町村の方法で処分する。感染性廃棄物ではない。鋭利な物だけ専用容器で医療機関へ返却する。④感染徴候がなければ寝衣は通常の洗濯で足りる。次亜塩素酸ナトリウムはノロウイルス等の汚染が明らかな場合。⑤陰部洗浄のボトルは中性洗剤で洗い、乾燥させる。⑥訪問の順序は、感染のある人を最後にする。訪問バッグを床に直接置かない。⑦過剰な対策は、療養者と家族に不必要な負担と印象を与える。
1分チェック
- 在宅の排便援助では。→ 手袋に加えて使い捨てエプロンを着用する。
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