A さん(68 歳、男性)は妻(68 歳)と2人暮らし。膀胱癌〈bladder cancer〉で尿 路ストーマを造設している。A さんはストーマ装具の交換に慣れてきたため、妻と日帰りで近くの温 泉地を旅行する計画を立てており、外来看護師に助言を求めた。 外来看護師がA さんに助言する内容で適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
尿路ストーマを造設した68歳男性が、妻と日帰りで温泉地を旅行する計画について助言を求めた際の内容を問う。装具の交換に必要な物品一式を2回分持参することである。
この問題で問われていること
予期しない事態への備えという観点で助言できるか。
しくみから理解する
外出と旅行では、①発汗と入浴により装具が剥がれやすくなる、②漏れが生じる、③装具を破損する、といった予期しない事態が起こりうる。装具一式を予備として持参していれば、その場で交換して行動を続けられる。逆に、持っていなければ旅行を中断せざるを得ず、次の外出への不安も強まる。したがって、余分に持参することを勧めることが、最も実際的で有用な助言になる。加えて、その物品は手荷物として身につけて持つ(預けたり車に置いたりしない)ことも伝える。
選択肢ごとの確認
旅行中の水分摂取を1日1,000mL以内に控えることは適切でない。尿路ストーマでは、尿路感染と結石を防ぐため、十分な水分を摂って尿量を確保することが基本になる。目安として1日1,500〜2,000mL程度を勧める。制限すると、尿が濃縮され、感染と結石、そして装具内での結晶の付着を招く。トイレの心配から水分を控えがちになるため、むしろ「控えないでください」と伝える必要がある。
他の入浴客がいなければ装具を外して入浴できる、という助言も適切でない。尿路ストーマでは尿が持続的に流出するため、装具を外しての入浴は現実的でない。装具を装着したまま入浴する(装具は防水性があり、湯に浸かっても差し支えない。心配であれば上から専用のカバーを用いる)。なお、消化管ストーマでは、排便の時間を見計らって装具を外して入浴することも可能だが、公衆浴場では装着したまま入るのが一般的になる。加えて、「他の客がいなければ」という条件づけは、ストーマがあることを隠すべきものとして扱っており、本人の自己認識にも影響する。
オストメイト対応のトイレがなければ旅行先を変更する、という助言も適切でない。オストメイト対応の設備があれば便利だが、なくても旅行はできる。通常のトイレでも、多目的トイレでも、工夫すれば処理は可能になる。事前に設備の場所を調べておくことは勧めるが、それを旅行の可否の条件にすると、生活の範囲を不必要に狭めることになる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①水分を制限する、②装具を外す、③行き先を制限する、という、いずれも生活を狭める方向の助言になる。ストーマケアの指導の目的は、その人がこれまでの生活を続けられるようにすることであり、制限を増やすことではない。「できるようにするにはどうするか」という視点で助言する。
理解を深める
ストーマケアを整理する。種類=①消化管ストーマ(結腸ストーマ=便の性状は部位により異なる。上行結腸では水様、下行結腸とS状結腸では固形に近い。回腸ストーマ=水様で消化酵素を含み、皮膚を傷めやすい。排出量が多く、脱水と電解質異常に注意する)、②尿路ストーマ(回腸導管、尿管皮膚瘻。尿が持続的に流出する)。装具=面板とストーマ袋。単品系と二品系がある。交換の間隔は、装具の種類と皮膚の状態により3〜7日程度。日常生活=①入浴(装具を着けたまま入れる。消化管ストーマでは外して入ることも可能。公衆浴場では着けたまま)、②衣服(締めつけない。ベルトの位置に注意する)、③食事(尿路ストーマでは水分を十分に。消化管ストーマでは、閉塞を起こしやすい食品=きのこ、海藻、こんにゃく、繊維の多いものをよく噛む。においとガスに影響する食品を知っておく)、④運動(腹圧のかかる運動と接触の多い競技は相談する。傍ストーマヘルニアの予防)、⑤仕事と外出(予備の装具、多目的トイレの場所、非常用の袋)、⑥性生活、⑦災害への備え(装具を1〜2週間分、持ち出せる場所に)。合併症=皮膚障害(最も多い。漏れ、面板の孔の大きさ、剥離刺激、発汗)、ストーマの陥没と脱出、狭窄、傍ストーマヘルニア、出血、壊死。制度=身体障害者手帳(膀胱または直腸機能障害)、日常生活用具の給付(装具の費用の助成)、オストメイト対応トイレ、そして患者会。心理的な支援=ボディイメージの変化、においと音への不安、他者に知られることへの恐れ、性生活への影響。造設前からの関わり(ストーマサイトマーキング=本人が見えて、しわとくぼみを避け、腹直筋を貫き、皮膚のたるみと骨突起を避ける位置に印をつける)が、その後の生活を大きく左右する。
間違えやすい考え方
助言を問う型で、誤肢がすべて生活を狭める方向である。備えを増やして生活を続ける方向で切る。
5分で振り返る
①外出では、発汗と入浴で装具が剥がれる、漏れる、破損するといった事態が起こりうる。予備の装具一式を持参すれば、その場で交換して行動を続けられる。②予備は手荷物として身につけて持つ。③尿路ストーマでは、尿路感染と結石を防ぐため水分を十分に摂り、1日1,500〜2,000mL程度を目安とする。制限しない。④装具は防水性があり、装着したまま入浴できる。公衆浴場では着けたまま入るのが一般的。⑤オストメイト対応トイレがなくても旅行はできる。行き先を制限しない。⑥指導の目的は、これまでの生活を続けられるようにすること。⑦合併症で最も多いのは皮膚障害。⑧災害に備えて装具を1〜2週間分、持ち出せる場所に置く。
1分チェック
- ストーマ保有者の旅行では。→ 装具一式を予備として持参する(水分は控えない)。
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