A さん(76 歳、女性)は1人暮らし。脳血管疾患〈cerebrovascular disease〉で右 半身麻痺があり、障害高齢者の日常生活自立度判定基準はB-2 である。週に2回の訪問看護を利用している。 食事の準備と介助および食後の口腔ケアのため訪問介護を利用することになった。 訪問介護の担当者は、A さんのケアについて訪問看護師に助言を求めた。 訪問看護師が訪問介護の担当者に助言する内容で正しいのはどれか。
公式正答:2
解説
右半身麻痺があり日常生活自立度がB-2の76歳女性について、訪問介護の担当者へ助言する内容を問う。野菜は繊維に対し垂直に切って調理する、である。
この問題で問われていること
食べやすい形態にする調理の工夫を説明できるか。
しくみから理解する
野菜の繊維は、束になって走っている。繊維に沿って(平行に)切ると、長い繊維がそのまま残り、噛み切りにくく、口の中でまとまらず、飲み込みにくい。繊維に対して垂直に切ると、繊維が短く断たれ、噛み切りやすく、食塊としてまとまりやすくなる。加えて、隠し包丁を入れる、加熱時間を長くする、そして厚みを薄くするといった工夫を組み合わせる。嚥下に障害がある人にとって、調理の段階での配慮は、誤嚥の予防に直結する。
選択肢ごとの確認
本問は右半身麻痺を前提に頸部回旋の向きを問うが、実践では麻痺側だけから患側回旋を一律に処方しない。回旋側の咽頭腔を狭めて反対側へ食塊を誘導する効果は、咽頭の片側機能障害など特定の所見に対して嚥下評価で確認する。顎引きや体幹角度も同様に個別評価する。
歯肉出血がみられたら口腔ケアを中止する、という助言は誤りになる。歯肉からの出血は、多くの場合、歯垢の蓄積による炎症(歯肉炎)の徴候であり、むしろ清掃が必要な状態を示す。中止すると炎症が悪化する。柔らかい歯ブラシを用い、力を弱め、丁寧に清掃を続ける。ただし、出血が止まりにくい場合(抗凝固薬の使用、血小板減少)は、方法を調整し、歯科と相談する。口腔内の細菌は誤嚥性肺炎の原因になるため、口腔ケアは肺炎の予防そのものになる。
食事中に好きなテレビ番組を見せることも適切でない。注意が食事から逸れると、嚥下のタイミングが乱れ、誤嚥の危険が高まる。食事に集中できる環境(テレビと会話を控える、視野に余計な物を置かない)を整える。
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混同しやすいポイント
嚥下の代償姿勢は、麻痺側という情報だけで一律に選ばない。頸部回旋、顎引き、体幹角度、側臥位は、嚥下評価で障害部位と実際の効果を確認して採用する。姿勢が逆効果になる患者もいるため、言語聴覚士等の評価と再評価に結び付ける。
理解を深める
嚥下障害への援助は、病歴、口腔・神経所見、食事場面の観察、必要に応じた嚥下内視鏡・造影検査で障害部位と誤嚥を評価して選ぶ。顎引き、頸部回旋、体幹角度、側臥位は全員に共通する安全姿勢ではなく、特定の機能障害に対する代償手段として実際の効果を確認する。食形態、とろみ、一口量、介助速度、口腔ケア、食後の姿勢も同様に個別化し、むせ、湿性嗄声、残留、疲労、体重、発熱を再評価する。
間違えやすい考え方
援助の正誤を問う型で、誤肢が姿勢・口腔ケア・環境を誤る。誤嚥を防ぐという一点で切る。
5分で振り返る
①食材の切り方や形態は嚥下評価に合わせる。②頸部回旋は回旋側の咽頭腔を狭め、反対側へ食塊を誘導し得るが、適応は障害部位の評価で決める。③顎引き、体幹後傾、側臥位も全員に有効ではなく、評価で効果を確認する。④口腔ケアは出血リスクと炎症を評価して方法を調整する。⑤食事に集中できる環境を整える。⑥液体の粘度と食後姿勢も残留・誤嚥を再評価して個別化する。
1分チェック
- 食べやすくする切り方は。→ 繊維に対して垂直(頸部の回旋は患側へ)。
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