糸球体濾過量の推定に用いられる生体内物質はどれか。
公式正答:4
解説
糸球体濾過量(GFR)の推定に日常で使われるのはクレアチニン。イヌリンが最も正確だが体外から投与する物質なので「生体内物質」ではない。
この問題で問われていること
腎機能検査に使われる物質の性質を区別できるか。設問の「生体内物質」という限定を読めるか。
しくみから理解する
糸球体濾過量を正確に測るには、糸球体で自由に濾過され、尿細管で再吸収も分泌もされない物質のクリアランスを調べる。この条件を完全に満たすのがイヌリンで、これが標準法になる。しかしイヌリンは植物由来の多糖類で、体外から点滴して測る必要があり手間がかかる。そこで日常臨床では、体内で常に一定量つくられるクレアチニンを使う。クレアチニンは筋肉のクレアチンリン酸が代謝されてできる老廃物で、産生量が筋肉量に比例してほぼ一定、糸球体で自由に濾過される。ごくわずかに尿細管から分泌されるためGFRをやや過大評価するが、実用上は十分とされる。
選択肢ごとの確認
蛋白質代謝の最終産物で濾過されるが、尿細管で相当量が再吸収される。しかも脱水や消化管出血、高蛋白食で値が変動しやすい。腎機能の指標にはなるが、GFRの推定には向かない。
GFR測定の標準法だが、体内でつくられる物質ではなく外から投与する。設問が「生体内物質」と限定しているので当てはまらない。
ヘモグロビンの代謝産物。肝臓で処理され胆汁へ排泄される。腎機能の指標ではない。
体内で筋肉から一定量つくられ、糸球体で自由に濾過される。日常のGFR推定に使う。
腎血漿流量(RPF)の測定に使う物質。糸球体で濾過され、さらに尿細管から分泌されて一回の通過でほぼすべて除去されるので、GFRではなく腎血流の指標になる。しかもこれも外から投与する物質。
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混同しやすいポイント
イヌリンは「最も正確」なので選びたくなるが、設問の限定語「生体内物質」で外れる。設問の条件語を先に確認する習慣がここで効く。
理解を深める
クレアチニンは筋肉量に比例するため、筋肉の少ない高齢者ややせた人では、腎機能が落ちていても血清クレアチニンが上がりにくい。そこで年齢・性別で補正した推算糸球体濾過量(eGFR)が用いられる。それでも筋肉量の極端な人では誤差が出るので、シスタチンCという筋肉量に影響されない指標も使われる。クレアチニンクリアランスは24時間蓄尿で求めるが、蓄尿の失敗が誤差になりやすい。第115回午後 問16でクレアチニンクリアランスが正答になっているのはこの流れ。
間違えやすい考え方
「最も正確なもの」と「実際に使うもの」を並べ、設問の条件語で分ける型。設問に限定語(生体内・日常臨床で・簡便に)があるときは必ず線を引く。
5分で振り返る
GFRの理想的な指標=自由に濾過され、再吸収も分泌もされない物質。標準法はイヌリン(外来性・点滴が必要)。日常はクレアチニン(内因性・筋肉から一定量産生・自由に濾過)。年齢と性別で補正したのがeGFR。筋肉量に影響されない指標としてシスタチンC。尿素は再吸収されるうえ変動が大きい。パラアミノ馬尿酸は腎血漿流量の指標。
1分チェック
- GFRの推定に日常で使う物質は何か
- GFR測定の標準法に使う物質は何か。なぜ日常では使わないか
- パラアミノ馬尿酸は何の測定に使うか
- eGFRはなぜ年齢と性別で補正するか
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