次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(32歳、初産婦)は妊娠39週4日に3,200gの男児を経腟分娩で出産した。分娩時に会陰切開縫合術を受けた。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後9点、5分後10点であった。分娩時の出血量200mL、分娩所要時間12時間30分であった。分娩室から病室に帰室する前に尿意を自覚したためトイレまで歩行し、排尿があった。
産褥4日、看護師はA さんに退院指導をすることにした。A さんの児の経過は 順調である。 A さんと児が受けられるサービスとして、看護師が退院指導時に説明するのは どれか。
公式正答:4
解説
経過が順調な産婦と児が受けられるサービスとして、退院指導時に説明するものを問う。乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)である。
この問題で問われていること
母子保健の事業を、対象と目的で区別できるか。
しくみから理解する
乳児家庭全戸訪問事業は、児童福祉法にもとづき、市町村が実施する。生後4か月までの乳児がいるすべての家庭を訪問し、①子育てに関する情報の提供、②親子の心身の状況と養育環境の把握、③養育についての相談と助言、④支援が必要な家庭を、適切なサービスへつなぐ、ことを行う。「全戸」であるため、問題の有無にかかわらず、すべての家庭が対象になる。したがって、経過が順調なこの母子にも当てはまる。
選択肢ごとの確認
養育支援訪問事業は、乳児家庭全戸訪問事業などにより、支援が特に必要と判断された家庭に対して行われる。養育に関する指導と助言、そして家事や育児の援助を、継続的に提供する。すべての家庭が対象ではない。
育成医療の給付は、障害者総合支援法にもとづく自立支援医療の一つになる。18歳未満で、身体に障害があるか、そのまま放置すれば将来障害を残すと認められる児に対し、その障害を除去または軽減する手術等の医療費を助成する。経過が順調な児は対象にならない。
養育医療の給付は、母子保健法にもとづく。出生時の体重が2,000g以下、または生活力が特に薄弱で、医師が入院を必要と認めた未熟児に対し、その医療費を助成する。この児は3,200gで経過も順調であり、対象にならない。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①支援が必要と判断された家庭、②障害のある児、③未熟児という、いずれも特定の対象に限られる事業になる。「すべての家庭が対象か、特定の対象か」で分ける。名称の似た「育成医療」と「養育医療」の区別も、繰り返し問われる。育成医療=障害の除去・軽減(18歳未満、自立支援医療)、養育医療=未熟児の入院(母子保健法)、と対にして覚える。
理解を深める
母子保健の制度を整理する。母子保健法にもとづくもの=①妊娠の届出と母子健康手帳の交付、②妊産婦と乳幼児の健康診査(1歳6か月児健診と3歳児健診は市町村に義務づけ)、③妊産婦と新生児の訪問指導、④未熟児の訪問指導、⑤養育医療(未熟児の入院医療費)、⑥保健指導、⑦低出生体重児の届出(2,500g未満。市町村へ)、⑧産後ケア事業(心身のケアと育児の支援。宿泊型、通所型、訪問型)、⑨こども家庭センター(母子保健と児童福祉を一体的に担う。従来の子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点を統合)。児童福祉法にもとづくもの=①乳児家庭全戸訪問事業、②養育支援訪問事業、③地域子育て支援拠点事業、④一時預かり事業、⑤保育所、⑥児童相談所、⑦小児慢性特定疾病医療費助成。その他=①自立支援医療(育成医療、更生医療、精神通院医療。障害者総合支援法)、②小児の医療費助成(各自治体)、③出産育児一時金と出産手当金(医療保険)、④児童手当、⑤育児休業給付(雇用保険)。健やか親子21=母子保健の国民運動計画。基盤課題として、切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策、学童期・思春期から成人期に向けた保健対策、そして子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり。重点課題として、育てにくさを感じる親に寄り添う支援と、妊娠期からの児童虐待防止対策を掲げる。退院指導での説明=①健診の時期、②予防接種の予定、③訪問の仕組み、④相談先(保健センター、こども家庭センター、産後ケア)、⑤緊急時の受診の目安、⑥母乳と育児の支援、⑦産後の心身の変化と、つらいときの相談先。
間違えやすい考え方
事業の対象を問う型で、誤肢が特定の対象に限られる事業である。全戸が対象かどうかで切る。
5分で振り返る
①乳児家庭全戸訪問事業は児童福祉法にもとづき、市町村が生後4か月までの乳児がいるすべての家庭を訪問する。②内容=情報の提供、心身の状況と養育環境の把握、相談と助言、支援が必要な家庭を適切なサービスへつなぐ。③養育支援訪問事業は、支援が特に必要と判断された家庭が対象。継続的に指導と家事・育児の援助を行う。④育成医療は、18歳未満で障害を除去・軽減する手術等の医療費を助成する(自立支援医療、障害者総合支援法)。⑤養育医療は、出生体重2,000g以下などの未熟児の入院医療費を助成する(母子保健法)。⑥低出生体重児(2,500g未満)は市町村へ届け出る。⑦1歳6か月児健診と3歳児健診は市町村に義務づけられている。⑧こども家庭センターが、母子保健と児童福祉を一体的に担う。
1分チェック
- すべての乳児家庭が対象なのは。→ 乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)。
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