次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(35歳、男性、会社員)は妻(32歳、主婦)と子ども(2歳)と3人暮らし。5年前にうつ病〈depression〉と診断された。半年前に営業部門に異動し、帰宅後も深夜まで仕事をする日が続いていた。「仕事のことが気になってしまい、焦りと不安ばかりが増して眠れない。会社に行くのが苦しい、入院させてもらえないか」と訴えがあり、休養と薬物の調整を目的として精神科病院に入院となった。入院後、Aさんから「実は薬を飲むのが嫌で、途中から飲むのをやめていたんです。薬を飲みたくないのですが、どうしたらよいでしょうか」と看護師に相談があった。
A さんのうつ症状は改善し、多職種で退院に向けた話し合いを始めた。会社の 休職制度を利用し休んでいるA さんは、「薬が効いたので、今後も薬を飲み続ける ことが大切だと思っている。異動したばかりなので仕事に早く戻らなければと思う が、休職してからずっと入院しているので、すぐに働ける自信がない」と看護師に 話した。 退院に向けてA さんが利用する社会資源で適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
会社の休職制度を利用して休んでおり、「すぐに働ける自信がない」と話す患者が、退院に向けて利用する社会資源を問う。リワーク支援である。
この問題で問われていること
在職中か離職しているかで、就労支援の資源を分けられるか。
しくみから理解する
リワーク支援は、休職している人が、職場へ復帰することを目的として行うプログラムになる。①生活のリズムを整える、②通勤に近い形で通所する、③集中力と作業能力を回復する、④対人関係の練習を行う、⑤休職に至った要因を振り返り、再発を防ぐ方法を考える、といった内容が含まれる。実施の場は、医療機関(医療リワーク)、地域障害者職業センター(職リハリワーク)、そして企業内になる。この患者は在職中であり、復職を目指しているため、この支援が最も適合する。
選択肢ごとの確認
就労継続支援は、一般の企業等での就労が困難な人に対し、就労の機会と、生産活動の機会を提供するものになる(雇用契約を結ぶA型と、結ばないB型がある)。この患者は在職中であり、対象にならない。
障害者社会適応訓練事業は、精神障害のある人を協力事業所に委託し、集中力、対人能力、そして仕事への持久力を養う訓練を行うものになる。主に、離職している人の社会復帰を目的とする。
ジョブコーチによる支援は、職場適応援助者が職場へ出向き、本人と事業主の双方に、業務の遂行と職場適応のための支援を行うものになる。対象には、新たに就職する人だけでなく在職中の人も含まれ、復職の場面でも職場での支援として用いられる。ただしこの患者は、まだ復職前の準備段階にあり、職場へ出向いて行う支援を受ける段階に至っていない。生活リズムを整え、作業能力を回復させる段階には、リワーク支援が適合する。
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混同しやすいポイント
就労支援を、①在職中で復職を目指す=リワーク支援、②離職しており一般就労を目指す=就労移行支援、③一般就労が困難=就労継続支援、④就職後の職場適応=ジョブコーチと就労定着支援、で整理する。この患者は「会社の休職制度を利用して休んでいる」と明記されており、在職中であることが読み取れる。この一点が判断の鍵になる。
理解を深める
精神障害のある人の就労支援を整理する。制度と資源=①リワーク支援(在職中の復職支援)、②就労移行支援(一般就労を目指す訓練。原則2年間)、③就労継続支援A型(雇用契約あり)とB型(雇用契約なし)、④就労定着支援(就職後の職場定着を支える)、⑤地域障害者職業センター(職業評価、職業準備支援、ジョブコーチ)、⑥公共職業安定所の専門援助部門、⑦障害者就業・生活支援センター(就業と生活の両面を一体的に支援)、⑧障害者雇用率制度(民間企業に法定雇用率が課される)。復職の進め方=①主治医による復職可能の判断、②産業医と会社による判断(両者は別。主治医は日常生活が送れる水準、会社は業務を遂行できる水準を見るため、判断が食い違うことがある)、③リハビリ出勤(試し出勤)、④段階的な業務の再開(短時間から、負荷の軽い業務から)、⑤配置と業務量の調整、⑥定期的な面談によるフォロー。再発の予防=①休職に至った要因の分析(業務量、業務の内容、人間関係、異動、役割の変化、家庭の状況)、②自分の不調のサインを知る、③早めに相談する、④生活のリズム、⑤服薬の継続、⑥完全に元どおりを目指さない(同じ働き方に戻れば同じことが起こりうる)。この事例の要因=異動、深夜まで続く業務、そして服薬の中断が重なっている。復職にあたっては、業務の調整と、服薬の継続、そして早めの相談の仕組みが必要になる。看護師の役割=本人の焦り(「早く戻らなければ」)と、実際の準備状態との差を、共に確かめ、段階を踏むことを支える。
間違えやすい考え方
資源を選ぶ型で、誤肢が離職者向けと就職後の支援である。在職中で復職を目指すという点で切る。
5分で振り返る
①リワーク支援は、休職している人が職場へ復帰することを目的とするプログラム。②内容=生活リズムを整える、通勤に近い形で通所する、集中力と作業能力の回復、対人関係の練習、休職に至った要因の振り返りと再発予防。③実施の場=医療機関、地域障害者職業センター、企業内。④就労継続支援は、一般就労が困難な人に就労と生産活動の機会を提供する(A型は雇用契約あり、B型はなし)。⑤障害者社会適応訓練事業は、主に離職している人が対象。⑥ジョブコーチは、職場へ出向いて本人と事業主を支援する。対象は新規就職者だけでなく在職者も含み、復職の場面でも用いられる。ただし職場へ出向いて行う支援なので、復職前の準備段階には合わない。⑦主治医の判断(日常生活が送れる)と産業医・会社の判断(業務を遂行できる)は別で、食い違うことがある。⑧完全に元どおりを目指さない。同じ働き方に戻れば同じことが起こりうる。
1分チェック
- 休職中の復職支援は。→ リワーク支援。
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