次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(65歳、女性、要支援1)は1人暮らし。慢性心不全〈chronicheartfailure〉で定期的に外来受診していた。下肢の浮腫と息切れを自覚し、心不全の増悪があると診断されて入院となった。入院治療によって、両下肢に軽度の浮腫はあるが歩行による息切れは消失し、退院することになった。Aさんは退院後の生活について「近くのスーパーに歩いて買い物に行くのが楽しみですが、息切れが心配です。何に気をつけたらよいですか」と病棟看護師に話した。
買い物についてA さんに助言する内容で最も適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
退院後、近くのスーパーへ歩いて買い物に行くことを楽しみにしているが息切れが心配だと話す65歳女性への助言を問う。途中で息切れを感じたら座って休むことである。
この問題で問われていること
楽しみを守りながら安全を確保する助言を選べるか。
しくみから理解する
この患者は、歩行による息切れが消失した状態で退院しており、買い物という楽しみを続けたいと考えている。心不全の管理では、活動を一律に制限するのではなく、症状を目安に自分で調整できるようにすることが基本になる。「息切れを感じたら座って休む」という助言は、①本人が自分の状態を判断する基準になる、②活動を続けながら安全を保てる、③自己管理の力を育てる、という3つを同時に満たす。加えて、休んで回復するかどうかが、増悪を見分ける手がかりにもなる。
選択肢ごとの確認
宅配サービスを利用することは、選択肢の一つとして伝えてよいが、最も適切な助言ではない。この患者は「歩いて買い物に行くのが楽しみ」と述べており、それを取り上げることは、生活の質と活動量の両方を下げる。心不全の管理では、適度な活動がむしろ推奨される。
移動に車椅子を利用することも適切でない。歩行による息切れは消失しており、車椅子を要する状態ではない。加えて、歩かなくなることで、筋力と運動耐容能が低下し、かえって心不全の管理を難しくする。
荷物を両手に分散して持つことも、この場面の助言としては適切でない。両手がふさがると、転倒の際に手をつけず、また手すりをつかめない。加えて、荷物の重さそのものが心臓への負担になるため、①一度に多く買わない、②回数を分ける、③カートやキャリーバッグを使う、④重い物は宅配を組み合わせる、といった工夫を勧める。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①楽しみを奪う、②活動を減らす、③危険を増やす、の3つになる。心不全の患者への活動の助言では、「制限する」ことより「安全に続ける方法」を伝える。誤肢1と2は、安全ではあるが、生活を狭める方向になる。判断の基準は「本人の望む生活を保ちながら、危険を減らせるか」になる。
理解を深める
慢性心不全の在宅での管理を整理する。活動=①運動を主体とする心臓リハビリテーションにより、運動耐容能と生活の質が改善し、心不全による入院が減ることは一貫して示されている。慢性心不全における総死亡の減少については、多くの解析で有意に示されていない、②活動を一律に制限しない、③息切れの程度を目安にする(会話ができる程度、翌日に疲れが残らない程度)、④動作の工夫(休みながら、分けて、ゆっくり、重い物を持たない、いきまない、上肢を挙げる動作と前かがみの姿勢を減らす)、⑤環境(気温の差を避ける。冬の入浴と脱衣所、朝の外出)、⑥入浴(湯温は40℃前後、深く浸からない、長湯しない、食後すぐを避ける)。自己管理=①毎日の体重(同じ条件で)、②血圧と脈拍、③症状の記録、④塩分(1日6g未満)、⑤水分(指示による)、⑥服薬の継続、⑦禁煙と節酒、⑧感染の予防(ワクチン)、⑨定期受診。増悪の徴候=①体重の増加(3日で2kg以上)、②息切れの悪化、③夜間の呼吸困難と、起坐呼吸、④浮腫、⑤疲れやすさ、⑥食欲不振、⑦動悸。これらがあれば連絡するよう、具体的な基準とともに伝える。一人暮らしへの配慮=①変化に気づいてくれる人がいないため、本人が記録し、自分で気づける仕組みを作る、②緊急時の連絡手段、③訪問看護と、地域の見守り、④配食と買い物の支援(必要になったとき)、⑤社会とのつながりを保つ(孤立は、受診の中断と、生活の乱れにつながる)。看護の要点=疾患の管理と、その人の望む生活を、両立させる方法を一緒に見つけることになる。
間違えやすい考え方
助言を問う型で、誤肢が楽しみを奪う・活動を減らす・危険を増やすものである。望む生活を保ちながら危険を減らす方向で切る。
5分で振り返る
①心不全の管理では、活動を一律に制限せず、症状を目安に自分で調整できるようにする。②「息切れを感じたら座って休む」は、自分の状態を判断する基準になり、活動を続けながら安全を保て、自己管理の力を育てる。③宅配と車椅子は安全だが、楽しみと活動量を奪い、筋力と運動耐容能を下げる。④荷物を両手に持つと、転倒時に手をつけず手すりもつかめない。一度に多く買わず、回数を分け、カートを使う。⑤心臓リハビリテーションにより、運動耐容能と生活の質が改善し、心不全による入院が減る。慢性心不全における総死亡の減少は、多くの解析で有意に示されていない。⑥動作の工夫=休みながら、分けて、ゆっくり、いきまない、上肢を挙げる動作を減らす。⑦増悪の徴候=3日で2kg以上の体重増加、息切れの悪化、夜間の呼吸困難、浮腫、疲れやすさ。⑧一人暮らしでは、本人が記録して自分で気づける仕組みを作る。
1分チェック
- 息切れが心配な心不全の患者には。→ 息切れを感じたら座って休む(活動は制限しない)。
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