次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(65歳、女性、要支援1)は1人暮らし。慢性心不全〈chronicheartfailure〉で定期的に外来受診していた。下肢の浮腫と息切れを自覚し、心不全の増悪があると診断されて入院となった。入院治療によって、両下肢に軽度の浮腫はあるが歩行による息切れは消失し、退院することになった。Aさんは退院後の生活について「近くのスーパーに歩いて買い物に行くのが楽しみですが、息切れが心配です。何に気をつけたらよいですか」と病棟看護師に話した。
退院後3週、A さんの浮腫は改善し心不全〈heart failure〉の 増悪もなかった。A さんは「同年代の人との交流を広げたいと思っています。利用できるサービスはありますか」と訪 問看護師に質問した。 訪問看護師が地域包括支援センターに相談してA さんに提案する社会資源はど れか。
公式正答:1
解説
「同年代の人との交流を広げたい」と話す要支援1の65歳女性に、地域包括支援センターに相談して提案する社会資源を問う。高齢者サロンである。
この問題で問われていること
本人の希望に対応する資源を選べるか。
しくみから理解する
高齢者サロンは、地域の住民が主体となって運営する、高齢者の集いの場になる。お茶を飲みながらの歓談、体操、趣味の活動、そして行事などを通じて、交流と社会参加の機会を提供する。介護保険のサービスではなく、地域の互助の活動として、地域包括支援センターと社会福祉協議会が関わることが多い。この患者は、心不全は安定し、浮腫も改善しており、要支援1で歩行もできる。医療的な管理やリハビリテーションではなく、交流そのものを求めているため、この資源が最も適合する。
選択肢ごとの確認
療養通所介護は、常に看護師による観察を要する、重度の要介護者または末期の悪性腫瘍のある人を対象とする通所サービスになる。この患者は該当しない。
通所リハビリテーションは、医師の指示にもとづき、理学療法士等がリハビリテーションを提供するものになる。機能の維持と回復を目的とし、交流を主目的とするものではない。なお、安定期の慢性心不全そのものは心臓リハビリテーションの適応であり、息切れが消失したことをもってリハビリテーションが不要になるわけではない。この選択肢が適切でないのは、本人の希望が同年代との交流であり、機能訓練を目的とするサービスとは目的が合わないためである。
共同生活援助は、障害のある人が共同で生活する住まいになる。この患者には自宅があり、また障害福祉サービスの対象でもない。
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混同しやすいポイント
誤肢は、①重度の人向け、②機能訓練が目的、③住まいという、いずれも本人の希望と状態に合わないものになる。資源を選ぶときは、①本人が何を求めているか(交流)、②本人の状態はどうか(要支援1、歩行可能、症状は安定)、の2つを照合する。医療と介護のサービスだけでなく、地域の互助の活動も選択肢に含める視点が問われている。
理解を深める
地域の互助の資源を整理する。介護予防・日常生活支援総合事業=①介護予防・生活支援サービス事業(訪問型サービス、通所型サービス、その他の生活支援。要支援者と、基本チェックリストにより事業対象者と判断された人が利用できる)、②一般介護予防事業(すべての高齢者が対象。介護予防の普及啓発、地域介護予防活動支援、地域リハビリテーション活動支援)。通いの場=住民が主体となって運営する、体操、茶話会、サロン、そして趣味の活動の場。介護予防の効果に加え、社会参加と孤立の予防に寄与する。参加している高齢者は、要介護になる危険が低いことが示されている。その他の資源=①老人クラブ、②地域活動支援、③ボランティア活動、④シルバー人材センター、⑤公民館と生涯学習の講座、⑥認知症カフェ、⑦子ども食堂と多世代交流の場、⑧買い物と移動の支援、⑨見守りのネットワーク(自治会、民生委員、配達事業者との連携)。地域包括支援センターの役割=これらの資源を把握し、本人の希望と状態に合わせて紹介し、必要なら新たな資源の開発にも関わる(生活支援体制整備事業、生活支援コーディネーター)。社会参加の意義=①身体機能の維持、②認知機能の維持、③抑うつの予防、④生活のリズム、⑤役割と生きがい、⑥変化に気づいてもらえる関係(一人暮らしでは、これが安全に直結する)。この患者は一人暮らしであり、交流の場を持つことは、心不全の管理という点でも意味を持つ。体調の変化に周囲が気づき、受診を促すきっかけになりうる。看護の視点=療養者の生活を、医療と介護のサービスだけで組み立てない。その人が地域の中で暮らし続けられるよう、人とのつながりを含めて考える。
間違えやすい考え方
資源を選ぶ型で、誤肢が重度向け・機能訓練・住まいである。本人の希望と状態の照合で切る。
5分で振り返る
①高齢者サロンは、地域の住民が主体となって運営する集いの場。歓談、体操、趣味の活動を通じて交流と社会参加の機会を提供する。②介護保険のサービスではなく、地域の互助の活動。地域包括支援センターと社会福祉協議会が関わる。③この患者は要支援1、歩行可能、症状は安定しており、交流そのものを求めている。④療養通所介護は、常に看護師の観察を要する重度の要介護者と末期の悪性腫瘍のある人が対象。⑤通所リハビリテーションは、医師の指示にもとづく機能の維持と回復が目的。⑥共同生活援助は障害のある人の住まい。⑦通いの場に参加している高齢者は、要介護になる危険が低いことが示されている。⑧一人暮らしでは、交流の場が、体調の変化に周囲が気づくきっかけにもなる。
1分チェック
- 交流を広げたい要支援の高齢者には。→ 高齢者サロン(地域の通いの場)。
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