次の文を読み、問いに答えよ。午前9時頃、震度5強の地震が発生した。二次救急医療機関の救命救急病棟に勤務する看護師は、自身の身の安全を確保し、揺れが収まると病院の災害発生時のマニュアルに沿って行動を開始した。病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。
この時点の看護師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
公式正答:4・5
解説
震度5強の地震の直後、人工呼吸器1名、輸液ポンプ3名、酸素療法3名が入院している救命救急病棟の看護師の対応を2つ問う。入院患者の状態の把握と、使用中の医療機器の作動状況の確認である。
この問題で問われていること
発災直後にまず守るべきものを判断できるか。
しくみから理解する
災害時の行動は、①自分の安全の確保、②目の前の患者の安全の確保、③被害状況の把握と報告、④組織的な対応、という順序で進む。事例では、既に自分の安全は確保されている。次に必要なのは、いま病棟にいる患者が無事かを確かめることになる。とくに、人工呼吸器、輸液ポンプ、そして酸素療法という生命維持に直結する機器を使用している患者では、停電、配管の損傷、機器の転倒と破損により、直ちに生命に関わる。したがって、患者の状態の把握と、機器の作動状況の確認が最優先になる。
選択肢ごとの確認
被災状況の報告は必要だが、患者の安全を確認した後になる。報告するためにも、まず何が起きているかを把握しなければならない。
入院患者の避難誘導は、この時点では行わない。避難が必要かどうかは、建物の被害、火災の有無、そして指示によって決まる。生命維持装置を使用している患者を、根拠なく動かすことは、かえって危険になる。加えて、避難の判断は個々の看護師が行うものではなく、組織として決定する。
傷病者の受け入れ準備も、この時点では優先されない。二次救急医療機関として、いずれ受け入れ体制を整えることになるが、まず自施設の患者と設備の安全を確認しなければ、受け入れることはできない。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも「後で必要になるが、いまではない」ものになる。判断の基準は「いま最も生命に関わるのは何か」になる。生命維持装置を使用している患者がいる病棟では、電源と酸素の確保が、直ちに生死を分ける。加えて、この設問は「マニュアルに沿って行動を開始した」直後の場面であり、組織的な対応が始まる前の、その場での初動を問うている。
理解を深める
災害時の医療機関の対応を整理する。発災直後(初動)=①自分の安全(身を守る、落下物、転倒)、②患者の安全(けが、転倒、機器の状態)、③火災の有無、④避難経路の確認、⑤機器と設備(電源、酸素、吸引、水、通信)、⑥被害状況を、定められた方法で報告、⑦指揮命令系統への合流。生命維持装置への備え=①人工呼吸器=無停電電源装置と非常電源の確認、用手換気の器具(バッグバルブマスク)を各床に、電源が失われた場合の手順を訓練しておく、②酸素=配管の損傷に備え、酸素ボンベの残量と配置を確認する、③輸液ポンプ=内蔵バッテリーの残り時間を把握し、必要なら自然滴下へ切り替える、④吸引=携帯用の吸引器。病院の体制=①災害対策本部の設置、②被害状況の把握(人、建物、設備、ライフライン)、③診療の継続の可否の判断、④職員の参集、⑤入院患者の安全確保と、必要に応じた転院、⑥傷病者の受け入れ(トリアージ区域、治療区域の設置)、⑦広域災害救急医療情報システムへの入力、⑧記録、⑨業務継続計画にもとづく運用。備え(平時)=①マニュアルの整備と、実際の訓練、②備蓄(水、食料、医薬品、燃料、電源)、③連絡手段(衛星電話、無線)、④職員の参集基準、⑤患者と家族への説明、⑥地域の医療機関との連携。看護師の役割=発災直後は、その場にいる看護師の判断が患者の生死を分ける。したがって、日頃の訓練と、手順の理解が不可欠になる。「マニュアルがどこにあるか」ではなく、「体が動くか」が問われる。
間違えやすい考え方
初動を問う型で、誤肢が後で必要になるものである。いま最も生命に関わるかで切る。
5分で振り返る
①災害時の行動の順序=自分の安全→目の前の患者の安全→被害状況の把握と報告→組織的な対応。②人工呼吸器、輸液ポンプ、酸素療法は生命維持に直結し、停電と配管の損傷で直ちに生命に関わる。③被災状況の報告は、把握してからでなければできない。④避難誘導は、建物の被害、火災の有無、そして組織の判断による。生命維持装置の患者を根拠なく動かさない。⑤傷病者の受け入れは、自施設の患者と設備の安全を確認してから。⑥備え=人工呼吸器には非常電源と用手換気の器具、酸素にはボンベ、輸液ポンプには内蔵バッテリーの把握と自然滴下への切り替え。⑦発災直後は、その場の看護師の判断が生死を分ける。日頃の訓練が不可欠。
1分チェック
- 発災直後の病棟では。→ 患者の状態と、医療機器の作動状況を確認する。
この問題に対応する教材の確認中です。