緩和ケアの目標で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
緩和ケアの目標として正しいものを問う。生活の質(QOL)の向上である。
この問題で問われていること
緩和ケアの定義を、目的の面から説明できるか。
しくみから理解する
世界保健機関の定義では、緩和ケアは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者と家族に対して、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し、的確に評価し対応することを通じて、苦痛を予防し和らげ、生活の質を改善する取り組みとされる。すなわち目標は、生活の質の向上になる。治癒を目指す治療と対立するものではなく、診断されたときから並行して行われる。死を早めることも遅らせることも意図しない、という点も定義に含まれる。
選択肢ごとの確認
疾病の治癒は、緩和ケアの目標ではない。治癒を目指す治療と並行して行われることはあるが、緩和ケアそのものは苦痛の緩和と生活の質の改善を目的とする。
余命の延長も目標ではない。定義では、死を早めることも遅らせることも意図しないとされる。ただし、症状が適切に緩和されることで、結果として生活の質だけでなく生存期間にも良い影響が及ぶことが示された研究もある。
在院日数の短縮は、医療の提供体制に関わる指標であり、緩和ケアの目標ではない。患者の生活の質を犠牲にして在院日数を短くすることは、本来の趣旨に反する。
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混同しやすいポイント
「緩和ケア=終末期のケア」という理解が、最も多い誤解になる。現在の定義では、緩和ケアは診断されたときから、治療と並行して提供される。がんに限らず、心不全、慢性閉塞性肺疾患、腎不全、神経難病、認知症など、生命を脅かす疾患すべてが対象になる。この設問の誤肢は、治癒、延命、効率という、いずれも別の目的を示しており、生活の質という視点が緩和ケアの中核であることを浮かび上がらせる。
理解を深める
緩和ケアの実際は、多面的な苦痛(全人的苦痛)に対応することになる。身体的苦痛=痛み、呼吸困難、悪心・嘔吐、倦怠感、食欲不振、便秘、浮腫。精神的苦痛=不安、抑うつ、恐れ、いらだち、孤独感。社会的苦痛=仕事、経済、家族の役割、人間関係。スピリチュアルな苦痛=生きる意味への問い、自責、死への恐れ。これらは互いに影響し合うため、身体症状の緩和だけでは十分でない。がん疼痛の管理では、世界保健機関の方式にもとづき、経口で、時間を決めて、患者ごとに、そして細かい配慮をもって投与する。オピオイドの導入時には、便秘(ほぼ必発で予防的に緩下薬を用いる)、悪心・嘔吐(数日で耐性ができる)、眠気(同様)への対応をあらかじめ計画する。呼吸困難には、オピオイド、酸素、そして環境の調整(送風、体位、換気)が用いられる。制度としては、緩和ケア病棟入院料、緩和ケア診療加算、外来緩和ケア管理料があり、緩和ケアチームは医師、看護師、薬剤師、心理職などで構成される。がん対策基本法とがん対策推進基本計画では、緩和ケアを診断のときから提供することが明記されている。
間違えやすい考え方
定義の目的を問う型で、誤肢が治癒・延命・効率という別の目的である。生活の質という中核で切る。
5分で振り返る
①緩和ケアの目標は生活の質の向上。②世界保健機関の定義=生命を脅かす病に直面する患者と家族に対し、苦痛を早期に見出し評価し対応して、苦痛を予防し和らげる。③死を早めることも遅らせることも意図しない。④終末期に限らず、診断されたときから治療と並行して行う。⑤がんに限らず、心不全、慢性閉塞性肺疾患、腎不全、神経難病、認知症も対象。⑥全人的苦痛=身体的・精神的・社会的・スピリチュアル。⑦オピオイドの導入時は便秘(予防的に緩下薬)、悪心・嘔吐、眠気への対応をあらかじめ計画する。
1分チェック
- 緩和ケアの目標は。→ 生活の質(QOL)の向上(治癒でも延命でもない)。
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