体温変化をとらえ、体温調節の指令を出すのはどれか。
公式正答:3
解説
体温のセットポイントを決め、産熱と放熱の指令を出しているのは視床下部。体温調節のすべてがここから始まる。
この問題で問われていること
体温調節中枢の場所を言えるか。視床下部にどんな中枢が集まっているかという知識の一部として問われている。
しくみから理解する
視床下部の前部(視索前野)には温度に反応するニューロンがあり、流れてくる血液の温度そのものを感知する。加えて皮膚の温度受容器と冷受容器からの情報も届く。視床下部はこれらを統合して、あらかじめ定められた設定温度(セットポイント)と比べる。実際の体温がセットポイントより低ければ産熱を増やし放熱を減らす指令(ふるえ・皮膚血管収縮・立毛・代謝亢進)を出し、高ければ放熱を増やす指令(発汗・皮膚血管拡張)を出す。感染時に発熱するのは、細菌などの外因性発熱物質が体内で内因性発熱物質(インターロイキン1など)を産生させ、プロスタグランジンE2を介して視床下部のセットポイント自体を上げるからである。 【接地元】ガイトン生理学 体温、体温調節、発熱、人体の構造と機能 第5版 体温調節
選択肢ごとの確認
脳幹の一部で、呼吸調節中枢や角膜反射の中枢がある。体温調節中枢ではない。
随意運動の調節と姿勢・平衡の維持。
体温調節中枢。前部が熱放散、後部が熱産生を担う。
「暑いから服を脱ぐ」といった行動性の体温調節には関わるが、自律性の体温調節(発汗・血管の収縮拡張・ふるえ)の指令を出しているのは視床下部。
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混同しやすいポイント
行動性体温調節(衣服の調節・冷房をつける)と自律性体温調節(発汗・ふるえ・血管運動)は別の仕組み。設問が「指令を出す」中枢を問うている以上、自律性のほうを答える。
理解を深める
視床下部の役割を場所で分けると理解しやすい。前部(視索前野)が障害されると熱放散ができずうつ熱になり、後部が障害されると熱産生ができず低体温になる。熱中症のうち熱射病は中枢神経障害を伴う重症病態である。皮膚が乾燥することもあるが、労作性熱射病などでは発汗が続くこともあり、発汗停止を必須所見とはしない。解熱薬(アセトアミノフェン・NSAIDs)はプロスタグランジンの産生を抑えてセットポイントを下げることで熱を下げる。一方、うつ熱にはセットポイントの上昇がないので解熱薬は効かず、物理的な冷却が要る。
間違えやすい考え方
脳の部位を並べて中枢の場所を問う定番型。視床下部にある中枢(体温・摂食・飲水・概日リズム・下垂体調節)を一覧で覚えておく。
5分で振り返る
体温調節中枢は視床下部(前部=熱放散、後部=熱産生)。血液温を直接感知し、皮膚の温度受容器からの情報も統合してセットポイントと比較する。低ければふるえ・皮膚血管収縮・立毛・代謝亢進、高ければ発汗・皮膚血管拡張。感染時はプロスタグランジンE2がセットポイントを上げて発熱する。うつ熱はセットポイントが正常のまま体温が上がる状態で、解熱薬が効かない。
1分チェック
- 体温調節中枢はどこにあるか
- セットポイントとは何か
- 視床下部の前部と後部はそれぞれ何を担当するか
- 発熱とうつ熱の違いは何か
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